高麗人参とは

高麗人参とは、ウコギ科の植物です。種から収穫まで約1～6年もの年数がかかります。

とてもデリケートで、かなり限定された生育条件でしか育てることができません。
そして収穫後同じ場所では10年は植物が育たないといわれるほど土の中の栄養を吸い尽くすことから、大変貴重で身体にいい薬として扱われてきました。

歴史上、古くは秦の始皇帝や漢の武帝から徳川家康など、この2000年間の偉人たちが愛用した記録が残っています。

そんな高麗人参には非常に強力な栄養素が多数凝縮されています。主成分はサポニン（ジンセノサイド）といいます。
世界の植物でも高麗人参のサポニン含有量は他の植物を遥かにしのぎます。
そのため高麗人参は、サポニンの血流改善、活力向上や美容といった効果をとても強く持っているのです。

高麗と朝鮮の違い

高麗人参は韓国産を高麗人参、または朝鮮人参と呼びますが、どちらも同じ植物です。
採れた場所で「〇〇人参」というふうに、名前に産地を入れることが一般的に浸透しています。

中国では雲南省などで産出される田七人参があり、アメリカにも同じトチバニンジン属でAmerican Ginsengという種類があります。
日本にも「信州人参」「出雲人参」「錦山人参」などがあります。

高麗人参と同じGinsengで、ウィザニア属ナス科のアシュワガンダ、ウコギ属のエゾウコギ（シベリア人参）、ファフィア属アマランサス科のブラジリアン・スマなども似た有効成分をもちます。

たくさんの種類があるなかでも特に高麗人参（朝鮮人参）には最も多くのサポニンが含まれているといわれています。

加工方法の違い

高麗人参は加工法から水参（生人参・すいじん）、白参（乾燥人参・はくじん）、紅参（べにさん・こうじん）の3種類に分けることができます。

1～4年目に収穫したものが水参、白参です。
水参はすべての加工品の原材料として使うことのできる高麗人参で、日本以外では家庭料理に使用されることもあります。

白参は水参に対して、そのままの状態や皮をはがして、水分量が12％以下になるよう太陽下や熱風で乾燥させたものをさします。水参よりは保存がきくとはいえ、長期保存には向きません

4～6年目のものが紅参です。
皮をはがさず蒸気で蒸し、水分量が14％になるまで自然乾燥によって紅色になるまで乾燥させたものをいいます。

紅参はこの工程によりサポニンが大幅に増えることが分かっており、高麗人参の中でも最高級とされます。

ちなみに7年目以降は抵抗力と栄養価値も落ちていくため、6年根である紅参がもっとも価値が高い高麗人参となります。

高麗人参に含まれる成分

高麗人参には100種類以上の成分が含まれているといわれています。
そのなかでも最も多く含まれている成分がサポニンです。

サポニン（ジンセサノイド）

高麗人参に含まれるサポニンの量は他の植物と比較にならないほど豊富なため、高麗人参（Ginseng）のサポニンには特別にジンセノサイドという名前がついています。

サポニンには更に種類があり、高麗人参には約30種類のサポニンが含まれています。

代表して例を挙げると、血管拡張効果が認められているジオール系サポニン（Rb1）や、脂質の代謝促進機能を持つとされるジオール系サポニン（Rb2）、ほかにも抗がん作用をもつサポニンなどがあります。

その他の成分

サポニン以外にも高麗人参には、鉄分、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどの人の身体にとってなくてはならない栄養素が含まれていることが知られています。

そのほかにも、タンパク質、アミノ酸、ペプチドといった窒素化合物、有機酸、脂質酸、テルペノイドなどの脂質性成分、ビタミン、炭水化物などが含まれていることがわかっています。

高麗人参の効果

高麗人参はたくさんの成分を含んでいることから身体のさまざまな場所に効果を発揮しますが、高麗人参の4大効果といわれている「疲労回復」「生活習慣病に対する効能」「血行促進」「更年期症状の改善」には特に効果的に作用します。

疲労回復

土の中の栄養素をほとんど吸い尽くして育つという高麗人参ならではの豊富なビタミンとミネラルによって、効果的に疲労を取り除く効果が期待できます。

生活習慣病に対する効能

生活習慣病である血圧を正常値に調整する作用や、血糖値を下げる効果が確認されており、高血圧、低血圧、糖尿病、脂質異常症への対策として有効です。

血行促進

血中コレステロールの多い人は血行促進と血流改善作用によって、コレステロール分解と毒素の排出に一定の効果が確認されています。

また、血流が改善されると、肩こりや冷え性の対策など非常に多くの恩恵があります。

中でも男性にとっては血流改善効果によって、ED（勃起不全）症状の回復にも期待ができます。

更年期症状の改善

とても多くの栄養素と、それに伴うさまざまな効果をもつ高麗人参は、人により違った症状としてあらわれる更年期症状に対しても有効です。

自律神経の調整作用、ストレスの緩和、不眠症改善などの効果によって、予防や改善が期待できます。

その他の効果

そのほか、免疫力向上、脳機能活性化、認知症、口臭、骨粗しょう症、薄毛予防など、4大効果以外にもたいへん多くの効果が認められています。

ED症状をはじめとするさまざまな男性機能向上にも効果が期待できます。

高麗人参が必要な人

高麗人参は滋養強壮や疲労回復のイメージが強いため、以前は中高年といった世代の人以外にはあまり身近な存在ではありませんでした。

しかし研究が進み非常に多くの健康成分が含有されていることが分かり、近年では年齢を問わない美容や、さまざまな健康増進に対して効果を発揮することがわかってきています。

高麗人参の摂取方法

ドラッグストアーやコンビニエンスストアで栄養ドリンクや漢方薬にもなってるほか、サプリメントとして摂取されています。

また韓国料理などでは食材として使用されることもあります。

手軽に摂れるうえ幅広い効果があるため、老若男女問わずに摂取することが可能です。

目安量

高麗人参は医薬品ではないので、1日の摂取量に上限はありません。
ただし、摂りすぎは身体に負担をかけてしまうもので、高麗人参が原料となっている漢方薬やサプリメントなどは、それぞれの摂取量を目安量とするとよいでしょう。

また、東洋医学の概念に、治療の過程で起こる一時的な身体反応である好転反応という症状があります。マッサージに対する揉み返しなどが代表例です。

高麗人参も成分の強い原料であるため、好転反応が出てしまった場合は、反応が収まるまで飲むのを休むなどの自己調整をおこないましょう。

効果的な飲み方

高麗人参は、胃の刺激に関係する物質や、胃に負担を与えるとされる物質が含まれていないといわれています。そのため、食前、食後などの飲用時間は関係なく飲むことができます。

健康成分が多数入っていますが、あくまで天然の植物であり、医薬品のように患部に的確に作用する類のものではありません。

毎日継続して身体に取り入れて、体質を改善していく、という方法が効果的です。

ちなみに高麗人参のなかで紅参に関しては、食前の空腹時や食間、あるいは運動後に摂取するとより効果的だといわれています。

高麗人参の副作用

高麗人参は天然の植物なので、基本的には医薬品のような副作用は心配ありません。

ただし、土中の栄養をほとんど吸い取り、非常に豊富な健康成分が含まれているぶん、飲み合わせの悪いものなどが存在している点は把握しておくべきです。

強力であるからこそ幼児、乳児、妊婦、授乳期の女性に対しては使用を控えたほうがいいともいわれています。

また、好転反応として、頭痛、睡眠障害、消化器の不調などが報告されています。

高麗人参の注意点

・血流を改善する薬のなかには併用することで効果を下げてしまうものがあるため、飲む前に医師に相談するようにしてください。

・肝臓に疾患のある方は使用を控えたほうがいい場合があります。

・糖尿病治療薬、抗うつ薬、神経興奮剤を服用中の方の摂取は控えましょう。

・主要成分のサポニンが中枢神経を正常化するはたらきが認められています。
そのため、サポニンとの相互作用があるとされる神経系や精神系の医薬品を服用中の人は、医師に確認する必要があります。

・一般的な食材に関しては、黒大豆、お茶、野菜類と一緒に摂ると薬効を弱め、カフェインや苦い料理、辛い料理と摂ると効果がマイナスに働くといわれています。
科学的根拠がないといわれているものもありますが、できるだけ一緒に摂取することは控えるようにしましょう。

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参考サイト：
・オタネニンジン