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グルコバイとメトホルミンの併用|違いを比較

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グルコバイとメトホルミンの併用は効果を高められることから、よくある医師の処方パターンのひとつでもあります。

とはいえ、同じ糖尿病の治療薬。
「本当に併用していいの?」
「どういう違いがあるの?」
「飲み方や注意点は?」
といった疑問があるのではないでしょうか?

そこでこの記事では、グルコバイとメトホルミン併用の効果や飲み方について、両者の違いを比較しながら解説していきます。

併用のメリットやデメリットをわかりやすく紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

グルコバイとメトホルミンの併用

グルコバイとメトホルミンの併用

グルコバイとメトホルミンは作用に違いがあるため、副作用のリスクを抑えながら効果を高めることできる相性の良い飲み合わせです。

グルコバイは、小腸粘膜微絨毛膜に存在しているグルコアミラーゼ、スクラーゼ、マルターゼを用量依存的に阻害することで、食後の血糖値の上昇を抑えます。
一方、メトホルミンは肝臓における糖新生を抑制することで、血糖値の上昇を抑える作用があります。

このように、グルコバイとメトホルミンは作用の違いから、相乗効果で血糖値を下げるのです。
また、作用の違いから副作用が重複しないため、どちらかの飲む量を増やすことで効果を強めようとするよりも、併用したほうが副作用のリスクを抑えられます。

様々な臨床試験の結果からも、グルコバイとメトホルミンは併用することで良好な血糖コントロールが得られるとされており、相性の良い飲み合わせといえるでしょう。

ただし、グルコバイとメトホルミンを併用する際は、低血糖に注意しなければなりません。
併用によって効果が強くなることで血糖値が下がり過ぎてしまい、低血糖に陥りやすくなるためです。
とくに初めて併用する場合は、グルコバイの服用量を少なめの50㎎にして試すなど工夫して飲みましょう。

低血糖には注意が必要ですが、グルコバイとメトホルミンの併用は副作用リスクを抑えて効果を強くできるため、相性の良い飲み合わせといえるでしょう。

グルコバイとメトホルミンのダイエット効果

グルコバイとメトホルミンは、血糖値の急上昇に反応して効果を発揮するため、近年ダイエット目的でも飲まれることが増えてきました。

また、それぞれ以下のようなダイエット効果を持ちます。

・メトホルミン
過剰な食欲を抑制して食べ過ぎを防ぎ、余分な糖を便で排泄させる働きがある

・グルコバイ
血糖値だけではなくインスリンの上昇も抑制するため、食欲を減少させながら血糖値を安定させる

糖尿病の治療はもちろんですが、食欲の抑制や血糖値の安定などは、すぐれたダイエット効果でもあります。
とくに、メトホルミンは食べ過ぎや間食予防に、グルコバイは糖質や炭水化物を多く摂取した際に効果的です。

そのうえ、このようなグルコバイとメトホルミンの効果は、血糖値の急上昇に反応してから効果を発揮するため、安全性の高さもあってダイエット目的で飲まれ始めるようになりました。

グルコバイとメトホルミン併用の飲み方

グルコバイとメトホルミン併用の飲み方

併用する場合の飲み方は以下の通りです。

【グルコバイとメトホルミン併用の飲み方】
・1日3回
・食直前のタイミングで一緒に飲む
・次に飲むまで6時間の間隔を空ける

グルコバイとメトホルミンを食直前にまとめて飲みましょう。
メトホルミンは食前でも食後でも飲めますが、グルコバイは食前に飲む必要があるため、同時に飲むときは注意してください。

ここからは、グルコバイとメトホルミンそれぞれの飲み方を簡単にご紹介します。

【グルコバイの飲み方】
・1日3回朝昼夕の食直前に服用(1回1錠)
・効果的な飲み方は、毎食事の10分前に服用すること
・食後の服用は効果が発揮されない
・次の服用まで4~5時間空けて服用

【メトホルミンの飲み方】
・1日2~3回食前および食後に服用(1回1錠)
・次の服用まで6時間以上(最低3時間)空けて服用

※どちらも、コップ一杯程度の水またはぬるま湯で飲みます。

それぞれの飲み方を参照するため、グルコバイとメトホルミン併用の飲み方は上記のようになります。

グルコバイとメトホルミンの違いを比較

グルコバイとメトホルミンはどちらも糖尿病治療薬ですが、比較すると様々な違いがあり、作用の他にも分類、成分なども違います。
わかりやすくグルコバイとメトホルミンの違いを比較した表は、以下の通りです。

グルコバイ メトホルミン
商品名 グルコバイ メトグルコ
成分名 アカルボース メトホルミン
分類 食後過血糖改善剤 ビグアナイド系経口血糖降下剤
効果 糖尿病の食後過血糖の改善 2型糖尿病の改善
副作用 腹部膨満・鼓腸、放屁増加、軟便 下痢、悪心、食欲不振、腹痛

グルコバイが腎臓に働きかけるのに対して、メトホルミンは肝臓に働きかけるという違いがあります。
また、飲んだ後の作用即効性は、メトホルミンに比べてグルコバイの方が高いことが特徴です。

グルコバイとメトホルミンを比較すると、同じ糖尿病治療薬でも様々な違いがあるということがわかります。

①グルコバイとは

グルコバイとは

グルコバイはα-グルコシダーゼ阻害剤に分類されている、アカルボースを有効成分とする2型糖尿病の治療薬です。

食後の血糖値の上昇を抑える効果があり、水に溶けやすいという特徴を持ちます。

グルコバイ自体に脂肪燃焼効果はありませんが、血糖値の上昇を防ぐことでインスリンの分泌を抑えます。
そのため、糖が脂肪に変わるのを防ぎ、結果として太りにくい身体を作ることから、ダイエット目的でも飲まれるようになりました。

OD錠(口腔内崩壊錠)というラムネのように口の中で溶かして飲むタイプの錠剤もあり、飲む力が低下している人や高齢者にも飲みやすくなっています。
また、グルコバイ単独では低血糖を起こす可能性がきわめて低く、副作用が起きても軽度なことが多いため、副作用が不安な人にもおすすめです。

グルコバイや有効成分アカルボースは、こういった効果や飲みやすさ、副作用のリスクの低さから、2型糖尿病の治療薬としてよく使用されます。

② メトホルミンとは

 メトホルミンとは

メトホルミンは有効成分の名称で商品名はメトグルコ、ビグアナイド系経口血糖降下剤に分類される2型糖尿病の治療薬として、1950年代から製造販売されています。

メトホルミンはコストパフォーマンスに優れることから、現在も2型糖尿病の第1選択薬として推奨されている医薬品です。

また、メトホルミンは2型糖尿病の治療をはじめ、一部の不妊治療においても厚生労働省に承認されており、様々な目的でも使用されています。

さらに体型に関わらず服用できるため、ダイエット目的やアンチエイジングなど、痩せている人が体形維持や若返りのために飲むことも可能です。

安全性に関しても、メトホルミンだけでは低血糖が起こりにくく、副作用が不安な人でも安心して飲むことができます。

このように様々な用途で使用されるようになったメトホルミンですが、現在ではジェネリック医薬品が世界中で製造販売され、2型糖尿病の治療薬として多くの国で処方されています。

グルコバイとメトホルミンの注意点

それぞれグルコバイとメトホルミンの注意点は、下記の通りです。

[グルコバイ]
ラクツロース(排ガスや排便の促進薬)との併用注意
消化器系の副作用のリスクを高めてしまうため注意が必要です。

腸閉塞
副作用による腸内ガスの増加によって稀に腸閉塞を引き起こすため、腹痛が続く場合や吐き気や嘔吐などの症状があれば、服用を中断しましょう。

[メトホルミン]
過度のアルコール摂取
乳酸アシドーシスのリスクが上がるため、メトホルミンと過度のアルコールは併用禁忌です。
※乳酸アシドーシス…体内の乳酸濃度が高まりすぎて、呼吸困難や昏睡などを引き起こす可能性のある副作用

ヨード造影剤
造影剤との飲み合わせがよくありません。とくにヨード造影剤の使用時は休薬しましょう。
※造影剤…検査時に画像診断をしやすくするために臓器に色を付ける医薬品

以上がグルコバイとメトホルミンの注意点です。

①グルコバイとメトホルミンの副作用

グルコバイとメトホルミンの副作用と、併用するときに注意したい副作用について順番に紹介します。

[グルコバイの副作用]
おもな副作用:低血糖、おならの増加、おなかの張り、下痢、排便回数の増加、腹痛、吐き気
重大な副作用:低血糖、腸閉塞、黄疸、重篤な肝機能障害、肝硬変および高アンモニア血症など

[メトホルミンの副作用]
おもな副作用:消化器症状(下痢、吐き気、腹痛、食欲減退)
重大な副作用:乳酸アシドーシス、低血糖、肝機能障害、横紋筋融解症など

また倦怠感や嘔吐、筋肉痛などが重大な副作用の初期症状である可能性もあるため注意が必要です。

[併用するときに注意したい副作用]
おもな副作用:消化器症状(吐き気、腹痛)
重大な副作用:低血糖

とくに、グルコバイとメトホルミンを併用するときは、低血糖の副作用に注意してください。
併用によって血糖値を下げる効果が高まるため、効きすぎて低血糖を引き起こす恐れがあります。

以上がグルコバイとメトホルミンの副作用と、併用するときに注意したい副作用です。

②グルコバイとメトホルミンの禁忌事項

グルコバイとメトホルミンが禁忌に該当する飲むことができない人、そして注意が必要な人は下記の通りです。

■飲むことができない人
・過敏症の人
・手術前後の人
・重症ケトーシスの人
・重症感染症の人
・1型糖尿病の人
・妊婦や授乳中の人
・過度のアルコール摂取した人(メトホルミンのみ)

■注意が必要な人
・栄養不足状態の人
・幼児や高齢者
・腸閉塞になったことがある人(グルコバイのみ)
・重度のヘルニアや大腸潰瘍の人(グルコバイのみ)
・胃腸傷害がある人(グルコバイのみ)
・重篤な肝障害や腎傷害のある人(グルコバイのみ)

以上が、グルコバイとメトホルミンが禁忌に該当して飲むことができない人と、注意が必要な人です。

まとめ

  • グルコバイとメトホルミン併用は副作用のリスクを抑えながら相乗効果を得られる
  • グルコバイとメトホルミンの違いは成分、分類、作用機序
  • 併用で効果が強まることによる低血糖に注意
  • グルコバイとラクツロースの併用は副作用のリスクを高めるため注意
  • メトホルミンと過度のアルコール摂取は乳酸アシドーシスのリスクが高まるため注意

グルコバイとメトホルミンは併用することで効果を高め、効率よく2型糖尿病の治療ができます。
低血糖などの副作用には注意が必要ですが、グルコバイやメトホルミンの飲む量を増やすよりも、併用する方が様々な面で効果的です。
また、ダイエット目的の場合にも併用は効果的です。
副作用のリスクを抑えつつ、相乗効果を得ることができるため、グルコバイとメトホルミン併用はおすすめの飲み合わせといえるでしょう。

Q&A

Q&A

グルコバイとメトホルミンの併用に関して、よくある質問をご紹介します。

Q.セイブルとグルコバイの違いはなに?

A.成分と服用タイミングの2つに大きな違いがあります。
セイブルはグルコバイに比べ、下痢の副作用が出やすいのが特徴です。

それぞれ違いは、下記の通りです。

■成分
セイブル:ミグリトール
グルコバイ:アカルボース

■服用タイミング
グルコバイ:食前に服用する必要があり、飲み忘れて食後に服用しても効果を発揮しない
セイブル:飲み忘れても食後30分までの服用で有効

どちらもα-グルコシダーゼ阻害剤で、血糖値の上昇を穏やかにするのに効果的です。

このように、おもなセイブルとグルコバイの違いは、成分と服用タイミングの2点です。

Q.グルコバイとベイスンの比較

A.グルコバイの方が強い効果と副作用を持ち、ベイスンの方が効果と副作用が控えめです。
グルコバイとベイスンはどちらも同じα-グルコシダーゼ阻害剤に分類されます。
比較すると、効果・副作用の強さは「グルコバイ>ベイスン」となります。

それぞれの簡単な違いは下記のとおりです。

■成分
ベイスン:ボグリボース
グルコバイ:アカルボース

■食後の血糖値を低下させる効果
グルコバイ>ベイスン

■副作用の消化器症状
グルコバイ>ベイスン

症状の重さによって、強いグルコバイか控えめなベイスンを選択するとよいでしょう。

Q.グルコバイはいつ飲むと効果的?

A.毎食事の10分前に飲むことが効果的です。

グルコバイは、ブドウ糖に分解する酵素の働きを抑えることで糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を穏やかにします。
残念ながらこの作用機序により、食後に飲んでも効果は発揮されません。
そのため、グルコバイは必ず毎食事の10分前に飲む必要があります。

Q.グルコバイを飲み忘れたときの対処法

A.飲み忘れに気づいたタイミングで対処法が異なります。
それぞれ対処法は、下記の通りです。

■食事中に気づいた場合
気づいた時点ですぐ飲む。

■食後に気づいた場合
服用せず、1回分を飛ばして次の食事から飲む。

食事中に気づいた場合はその時点で服用することができますが、食後に気づいた場合は飲むことができません。

飲み忘れに注意し、気づいたタイミングに合わせて対処しましょう。