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フォシーガの飲み方|飲むタイミングや注意点など基本情報を解説
フォシーガは、体内の余分な糖を尿として排出させるSGLT2阻害薬です。
食事で摂取した糖の吸収をカットして血糖値を改善するだけではなく、体重減少効果も期待できるため、ダイエット薬としても活用できます。
今回は、そんなフォシーガの飲み方を知りたいという方に向けて、安全に最大限の効果を引き出すための以下のポイントを解説していきます。
この記事を読むことでフォシーガの正しい飲み方をマスターできますので、ぜひ最後までご覧ください。
- フォシーガの飲み方は目的によって異なる
- ダイエットにおける飲み方
- 糖尿病治療における飲み方
- 慢性心不全や慢性腎臓病治療における飲み方
- フォシーガはいつ飲むべき?最適な飲むタイミングとは
- フォシーガを飲む時の注意点
- 飲む間隔は24時間あける
- 食事しない時は飲まない
- 飲み忘れは気がついたタイミングですぐに飲む
- お酒の飲みすぎに注意
- 水分補給をしっかりおこなう
- 飲むときに注意が必要な方や併用注意薬を確認する
- フォシーガを飲めない人(禁忌)
- フォシーガの正しい飲み方を知り、安全に効果を実感しよう
- フォシーガの飲み方に関するよくある質問
- フォシーガとメトホルミンを併用する時の飲み方は?
- フォシーガはピルと一緒に飲んでも良い?
- フォシーガを飲むと尿糖検査で陽性になる?
フォシーガの飲み方は目的によって異なる
フォシーガの飲み方は、目的によってそれぞれ異なります。
フォシーガは、主にダイエット、糖尿病の治療、慢性心不全や慢性腎臓病の治療に効果が期待できます。
目的別にそれぞれ飲み方を解説していきますので、ご自身に合う項目をお選びください。
また、フォシーガには飲む期間の制限がなく、長期投与が可能な医薬品です。
長期投与におけるメリットや注意点については別の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はあわせてご覧ください。
ダイエットにおける飲み方
- 1日1回、5mgを飲む。
ダイエットを目的とする場合、1日1回5mgを水またはぬるま湯で飲みます。
フォシーガは5mgと10mgの用量があるため、5mgを購入した方は1回1錠、10mgを購入した方はピルカッターで錠剤を半分に割り、1回1/2錠を飲みましょう。
基本的に、ダイエット目的でフォシーガを飲む場合は5mgで十分とされています。
初めて飲む方は5mgから開始し、継続的に飲み続けても効果が出ない場合に10mgへ増量してください。
ただし、増量すると副作用のリスクも高まるため、飲んだ後は体調の変化に注意しましょう。
なお、フォシーガのダイエット効果や効果があらわれるまでの期間については、別の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
糖尿病の治療における飲み方
<2型糖尿病>
1日1回5mgを飲む。
効果不十分な場合は10mgに増量する。
<1型糖尿病>
インスリン製剤と併用して1日1回5mgを飲む。
効果不十分な場合は10mgに増量する。
糖尿病の治療目的の場合、1日1回5mgを水またはぬるま湯で飲みます。
基本的には1型2型にかかわらず1回の用量は5mgで、1型糖尿病の場合はインスリン製剤と併用するとされています。
5mgを飲み続けても血糖値が改善しない場合は10mgに増量できますが、糖尿病の治療目的の場合は、自己判断での増量は避けて医師の指示に従ってください。
慢性心不全や慢性腎臓病治療における飲み方
- 1日1回、10mgを飲む。
慢性心不全や慢性腎臓病治療の場合、1日1回10mgを水またはぬるま湯で飲みます。
ただし、1型糖尿病を合併している場合は、医師の管理のもと1日1回5mgから開始しましょう。
eGFRが25mL/min/1.73m2未満の方は飲むときに注意が必要であるため、必ず医師の指示に従ってください。 また、末期腎不全の方や透析中の方はフォシーガを飲めません。
慢性心不全や慢性腎不全の場合、フォシーガを飲むにあたり制限や注意事項があるので、自己判断はせず医師に相談したうえで治療をおこないましょう。
なお、フォシーガの腎臓への効果や心不全への効果については、別の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はあわせてご覧ください。
フォシーガはいつ飲むべき?最適な飲むタイミングとは
フォシーガは、朝に飲むことで最も効果を発揮します。
フォシーガの効果は1回飲むと24時間持続するため、朝に飲めばその日の食事で摂取した糖の吸収を大きくカットしてくれるのです。
また、利尿作用により尿量が増加してトイレの回数が増えるため、遅い時間に飲むと睡眠が妨げられる可能性があります。
このため、フォシーガを飲むタイミングは朝が最適と言えるでしょう。
なお、フォシーガは食事の影響を受けないため、食前、食後にかかわらず飲むことができます。
フォシーガを飲むときの注意点
フォシーガを飲むときの注意点は以下のとおりです。
- 飲む間隔は24時間あける
- 食事しないときは飲まない
- 飲み忘れは気がついたタイミングですぐに飲む
- お酒の飲みすぎに注意
- 水分補給をしっかりおこなう
- 飲むときに注意が必要な方や併用注意薬を確認する
フォシーガを飲むときは、飲む間隔や食事の有無に応じた飲み方を守ることが大切です。
また、お酒の飲みすぎに注意したり、水分補給をしっかりおこなったりすることで副作用のリスクを軽減できます。
さらに、フォシーガを飲むときに注意が必要な方や、併用に注意が必要な医薬品などもあるので、事前に確認しておきましょう。
これらの注意点について、次の項目でひとつずつ解説していきます。
飲む間隔は24時間あける
フォシーガを飲む間隔は24時間あけましょう。
フォシーガは作用時間が長く、1度飲むと効果が1日中持続する医薬品であるためです。
フォシーガの血中半減期(血液中に吸収された有効成分の濃度が半減するまでの時間)は約12時間であるとされています。
※参照:フォシーガ錠5mg・10mg
飲んでから12時間が経過すると、その後は成分が緩やかに代謝されていきますが、フォシーガが完全に体からなくなるまでは24時間かかるのです。
そのため、飲む間隔が短くなると血中濃度が高くなり、思わぬ健康被害につながる可能性もあります。
フォシーガを飲む間隔は必ず24時間あけてください。
食事しないときは飲まない
食事をしないときはフォシーガを飲むことを控えましょう。
食事をしないときにフォシーガを飲むと、低血糖やケトアシドーシスといった重大な副作用のリスクが高まるからです。
低血糖とは、血糖値の急激な低下によって脳や体がエネルギー不足になった状態のことで、冷や汗やふるえ、めまい、意識の低下などの症状がみられます。
ケトアシドーシスは、血液中にケトン体が溜まって血液が酸性に傾いた状態であり、吐き気や嘔吐、強い口渇、頻尿などが主な症状です。
実際にフォシーガの添付文書では、シックデイ(発熱や嘔吐、体調不良などにより食事をとれない日のこと)のときはフォシーガを飲む前に1度医師へ相談するよう指示されています。
※参照:フォシーガ錠を服用されるⅠ型糖尿病の方・ご家族の方へ
そのため、ダイエット目的でフォシーガを飲んでいる方は、食事をしないときは副作用を防ぐために飲むことを控えましょう。
糖尿病などの治療目的でフォシーガを飲んでいる方は、フォシーガを飲む前に医師へ相談してください。
飲み忘れは気がついたタイミングですぐに飲む
フォシーガを飲み忘れた場合、気がついたタイミングで1回分を飲みましょう。
ただし、次に飲むまでの時間が12時間未満の場合、飲み忘れた分はスキップして次回から再開してください。
なお、副作用のリスクが高まる原因となるため、飲み忘れたからといって1度に2回分飲むことは避けましょう。
お酒の飲みすぎに注意
フォシーガを飲んでいるときは、お酒の飲みすぎに注意しましょう。
少量であれば問題ありませんが、フォシーガを飲んでいるときにお酒を飲みすぎると、ケトアシドーシスなどの重大な副作用のリスクが高まります。
※参照:forxiga-epar-product-information
思わぬ健康被害を避けるためにも、お酒の飲みすぎには十分注意してください。
水分補給をしっかりおこなう
フォシーガを飲んでいるときは、普段以上に水分補給をしっかりおこないましょう。
フォシーガを飲むと、糖を尿として排出させる作用によって通常よりも尿量が増えるため、脱水状態になりやすいのです。
脱水状態になると、頭痛やめまい、倦怠感などの症状が起こり、悪化すると腎臓や肝臓などに重度の損傷が生じたり、意識障害を起こしたりするおそれがあります。
フォシーガを飲んでいるときは、普段よりも意識して水分補給をおこない、脱水を防ぎましょう。
飲むときに注意が必要な方や併用注意薬を確認する
フォシーガには、飲むときに注意が必要な方や、併用に注意すべき医薬品があります。
- 合併症やなんらかの病気にかかったことがある方
- 脱水を起こしやすい方
→血糖コントロールが不良な方、高齢者、利尿剤を使用している方、水分を十分に摂れない方など - 低血糖を起こしやすい方
→栄養不良の方、飢餓状態の方、食事を十分にとれていない方、食事が不規則な方、衰弱している方、激しい運動をしている方、お酒を飲む量が多い方、脳下垂体または副腎機能に異常がある方など - 尿路感染症もしくは性器感染症の方
- 腎機能障害がある方
- 肝機能障害がある方
フォシーガの併用注意薬 | |
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医薬品名など | 症状 |
【糖尿病用薬】 ・インスリン製剤 ・スルホニルウレア剤 ・チアゾリジン系薬剤 ・ビグアナイド系薬剤 ・α-グルコシダーゼ阻害薬 ・速効型インスリン分泌促進薬 ・DPP-4阻害薬 ・GLP-1受容体作動薬など |
血糖降下作用が相加的に増強するおそれがある。 |
【血糖降下作用を増強する薬剤】 ・β遮断薬 ・サリチル酸薬 ・モノアミン酸化酵素阻害薬など |
血糖降下作用が増強される。 |
【血糖降下作用を減弱する薬剤】 ・副腎皮質ホルモン ・甲状腺ホルモン ・アドレナリン |
血糖降下作用が減弱される。 |
【利尿薬】 ・ループ利尿薬 ・サイアザイド系利尿薬 |
利尿作用が増強される。 |
【リチウム製剤】 ・炭酸リチウム |
リチウムの作用が減弱されるおそれがある。 |
これらに該当する方や、該当する医薬品を使用中の方は、フォシーガを飲むことで副作用のリスクが高くなったり、医薬品の作用に影響を与えたりするおそれがあります。
そのため、フォシーガを飲む前に医師へ相談してください。
なお、フォシーガの併用禁忌とされる医薬品は現在まで報告されていませんが、これらの医薬品以外に常用している医薬品がある場合も念のため医師へ相談しましょう。
フォシーガを飲めない方(禁忌)
フォシーガを飲めない方(禁忌)は以下のとおりです。
- フォシーガの成分に対して過敏症を起こしたことがある方
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡/前昏睡の方
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある方
- 重度の腎機能障害(eGFRが25mL/min/1.73m2未満)がある方、または透析中の末期腎不全の方
- 重度の肝機能障害がある方
- 妊娠している方、または妊娠の可能性がある方
- 授乳中の方
- 小児
これらに該当する方は、持病を悪化させたり副作用のリスクを高めたりするおそれがあるため、フォシーガを飲まないでください。
フォシーガの正しい飲み方を知り、安全に効果を実感しよう
フォシーガは、飲む目的や症状によって飲み方が異なるため、正しい飲み方を理解することが大切です。
糖尿病や慢性心不全、慢性腎臓病の治療として飲む場合は、医師と相談しながら症状に応じた用量に調節していきましょう。
また、フォシーガは朝に飲むことで、その日の食事に含まれる糖の吸収を大きくカットでき、最大限の効果を得られます。
さらに、飲む間隔や飲み忘れたときの対処法など、副作用のリスクを軽減するポイントを押さえることで、より安全にフォシーガを飲めるでしょう。
飲むときに注意が必要な方や併用注意薬などもあるため、事前に注意事項をしっかりと確認してください。
正しい飲み方を理解して、安全に、より効果的にフォシーガを活用してください。
フォシーガの飲み方に関するよくある質問
フォシーガの飲み方に関するよくある質問にお答えします。
フォシーガとメトホルミンを併用するときの飲み方は?
フォシーガとメトホルミンを併用するときの飲み方は、以下のとおりです。
- 朝フォシーガとメトホルミンを一緒に飲み、その後は食事のタイミングで残りのメトホルミンを飲む
フォシーガを飲む回数は1日1回ですが、メトホルミンは1日2~3回飲みます。
まずは飲み忘れを防ぐために、フォシーガとメトホルミンを朝一緒に飲むことがおすすめです。
その後は食事のタイミングで残りのメトホルミンを飲みましょう。
フォシーガとメトホルミンの併用については、別の記事で詳しく解説しています。
併用した場合のダイエット効果やより詳しい飲み方、併用するときの注意点などに興味がある方は、ぜひあわせてご覧ください。
フォシーガはピルと一緒に飲んでも良い?
フォシーガはピルと一緒に飲んでも問題ありません。
ただし、ピルの副作用やホルモンバランスの影響などの理由から体調が優れない場合は、フォシーガを飲むことを控えてください。
ちなみに、フォシーガはピルに限らず、頭痛薬や風邪薬とも併用できます。 併用する場合はご自身の体調を観察し、食事が難しいほどつらい場合はフォシーガを飲まないなど適切に判断しましょう。
フォシーガを飲むと尿糖検査で陽性になる?
フォシーガは糖を尿から排出するため、尿糖検査で陽性になる可能性があります。
そのため、健康診断前はフォシーガを飲むことを控え、医師へ相談することがおすすめです。
フォシーガによる尿糖についてや、どのくらい前から控えるべきなのかは別の記事で詳しく解説しているため、興味のある方はあわせてご覧ください。