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メトホルミンによる下痢はいつまで続く?ひどいときの対策

メトホルミンによる下痢はいつまで続く?ひどいときの対策

下痢の症状は、メトホルミンによる副作用のひとつです。

症状としては軽度で一過性であることが多く、下痢が続く期間は症状が出始めてから1~2週間程度といわれています。

つまり、メトホルミンによる下痢は服用を続けることで体が慣れ、症状が軽減するかもしくは治まっていくということになります。

ただ、下痢は日常生活に支障をきたすつらい症状です。
できる限り副作用による下痢を防いで、安心してメトホルミンを服用したいですよね。

そこで今回は、メトホルミンによる下痢の対策や、なぜ下痢が起こるのかなどを分かりやすく解説していきます。

メトホルミンによる下痢の対策

メトホルミンによる下痢の対策

下痢の対策として、

・緊急時…腹瀉点(下痢点)というツボを押すことで一時的に下痢が和らぐ
・通常時…整腸剤を飲む

の2点があります。

また、下痢になってしまったときは脱水症状を引き起こす可能性があるので、しっかり水分補給をしてください。

体がメトホルミンに慣れてくると下痢は自然におさまります。
そのため、すぐにトイレに行ける環境であれば放置して様子を見ましょう。

下痢は、メトホルミンの副作用として40.5%の確率で起こるといわれています。
メトホルミンの副作用の中ではもっとも起こりやすい症状であり、下痢までは起こらなくても少し軟便になります。

では、メトホルミンによる副作用としての下痢の場合、市販の整腸剤を服用して治しても大丈夫なのでしょうか?
次の項でメトホルミンと整腸剤の併用について解説します。

また、メトホルミンには下痢以外にも副作用があります。
メトホルミンによる副作用全般の対策については、こちらの記事で詳しくまとめています。
副作用の種類ごとに症状や対策を分かりやすくまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。

整腸剤との併用

メトホルミンと整腸剤を併用することは可能です。
整腸剤は、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える効果があるため、それ自体が生活習慣病の予防や体調改善に役立ちます。

ただし、便秘薬、制酸剤やガス溜まりへの効果を主としている市販薬との併用には注意が必要です。

メトホルミンと市販の医薬品を併用するときは、成分や効果をよく確認してください。
不安があれば医師や薬剤師に相談しましょう。

では、次の項目で、整腸剤としてよく使用されているビオフェルミンミヤbmのメトホルミンとの併用についてより詳しく解説します。

ビオフェルミン

ビオフェルミンはメトホルミンと併用できます。

ビオフェルミンの主成分であるビフィズス菌は、メトホルミン服用後の腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化を抑制して軟便を改善する作用があるといわれています。
また、ビフィズス菌は、メトホルミンの血糖値を下げる作用には影響を与えません。

ビオフェルミンは、メトホルミンによる下痢への対策として安心して使用することができます。

ミヤbm

ミヤbmも、メトホルミンと併用できます。

ミヤbmは、主成分である酪酸菌が腸内環境のバランスを改善して軟便を改善する作用があるといわれています。

また、ビオフェルミンとミヤbmを併用することもできます。
むしろ、併用することでより大きな効果を期待できる場合もあります。
メトホルミンによる下痢の症状が重くつらいという人は、ビオフェルミンとミヤbmを併用して症状が落ち着くか見てみましょう。

では次に、そもそもなぜメトホルミンを服用することで下痢が起こるのかについて解説していきます。

なぜメトホルミンで下痢が起こるのか

なぜメトホルミンで下痢が起こるのか

メトホルミンによる下痢などの消化器症状の正確な作用機序は不明とされていますが、考えられる原因として以下のことが挙げられます。

・小腸からの糖の吸収を抑制する際に起こる腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化
・ブドウ糖代謝の変化
・セロトニン腸分泌の刺激
・胆汁酸塩の吸収不良
など

それぞれどれかひとつでも下痢を引き起こす原因となり、これらの原因すべてが組み合わさって下痢が起こる可能性もあります。

また、メトホルミンを服用することで起こる腸内細菌叢(腸内フローラ)への影響は好ましいものであり、この影響が血糖値を下げる作用につながっているという報告も挙がっています。

メトホルミンによる消化器症状は、メトホルミンの効果がしっかりと出ているために起こっていることだといえるでしょう。

では、下痢を含めた消化器症状は一体どのタイミングで起こるものなのでしょうか?
次の項目で解説していきます。

メトホルミンによる下痢が起こりやすいタイミング

メトホルミンによる下痢が起こりやすいタイミング

メトホルミンによる下痢が出やすいタイミングとして、以下のタイミングが挙げられます。

・初めてメトホルミンを飲むとき
・メトホルミンの飲む量を増やしたとき

初めてメトホルミンを飲むタイミングは、まだ体がメトホルミンに慣れていないため、どうしても下痢をはじめとする副作用が出やすくなります。
また、より大きな効果のためにメトホルミンを飲む量を増やしたタイミングも同じように注意が必要です。

下痢が起こりやすいタイミングを知っておき、いざそのタイミングが来たらきちんと対策ができるように準備をしておくと安心ですね。

メトホルミンによる下痢は慣れるのか

メトホルミンによる下痢は慣れるのか

メトホルミンを服用し続けていると、体がだんだんメトホルミンに慣れてきます。
体が慣れるにつれて下痢の症状も治まることが多いため、症状が軽ければ服用を続けて様子を見てください。
なお、体が慣れるまでの期間は多くの場合1~2週間ですが個人差があります。

下痢以外の副作用についても、メトホルミンの服用を始めたばかり、症状が軽いという場合は同じように様子を見て治まるときを待ちましょう。

下痢が続く場合や腹痛をともなう場合

下痢が続く場合や腹痛をともなう場合

では、メトホルミンによる下痢がなかなか治まらないという場合はどうすればいいのでしょうか?

先述の通り、通常であればメトホルミンによる下痢は1~2週間で改善することが多いです。

もし1~2週間を過ぎても改善されない場合は、メトホルミンを服用するタイミングを意識してみてください。
メトホルミンを食事と一緒に服用することで、体がメトホルミンを吸収するスピードが遅くなるため副作用が起きづらくなります。

また、この方法を実践しても下痢の症状が軽くならない、下痢と一緒に腹痛も起こるという場合、メトホルミンによる副作用以外に原因があるかもしれません。

そこで、次の項目から考えられる原因を2つ紹介します。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、大腸に腫瘍や炎症といった病気がないのにも関わらず、腹痛や下痢、便秘などの症状が慢性的に1カ月以上続く疾患です。

原因ははっきり解明されていませんが、体にストレスが加わることでストレスホルモンが放出され、それが腸を刺激することで症状を起こしているといわれています。

過敏性腸症候群の場合、医師の診断のもとで生活改善と服薬治療を行う必要があります。
「下痢と一緒に腹痛もある」、「最近ストレスが溜まっている」など心当たりがあれば、一度医師に相談しましょう。

なお、最近の研究ではメトホルミンがこの過敏性腸症候群の治療に役立つという結果も挙がっています。
近い将来、メトホルミンの効果に過敏性腸症候群の治療が加わるかもしれません。

糖尿病性下痢

糖尿病治療としてメトホルミンを飲んでいる場合、そもそも糖尿病が原因である糖尿病性下痢の可能性があります。

糖尿病性下痢とは、糖尿病患者うち約2割に起こる慢性的な下痢の症状です。

糖尿病を発症してから平均8年ほどで始まりますが、この下痢が始まる時期は数カ月~数十年の間と幅広いため人によってかなり変わります。

ただし、糖尿病性下痢は断続的に昼と夜に起こるものであり、腹痛はありません。

特徴的な症状なので原因としては特定しやすいですね。

糖尿病性下痢の場合も、心当たりがあれば医師に相談し、指示に従ってください。

メトホルミンによる下痢がひどい場合

メトホルミンによる下痢がひどい場合

メトホルミンによる下痢の症状がひどい場合は、整腸剤を併用することが効果的です。

メトホルミンの量を減らしたり、服用を中止したりすることでも改善はします。
ただし、もし糖尿病治療としてメトホルミンを飲んでいる場合は、自己判断で量を減らしたり中止したりはせず必ずかかりつけの医師へ相談してください。

また、あまりにも症状が重く、日常生活がままならないほどつらい場合は、メトホルミンが持つ重大な副作用につながる場合があります。
重大な副作用の場合、命に関わる危険があるため、不安な人はすぐに医療機関を受診してください。

では、次の項で重大な副作用とはどのような症状なのか詳しく解説します。

こんな症状には注意

実は、メトホルミンの重大な副作用である乳酸アシドーシスの初期症状として下痢の症状が見られる場合があります。

乳酸アシドーシスとは、血液中の乳酸が増加することで血液が酸性に傾くことで起こる疾患です。

乳酸アシドーシスの初期症状は、下痢を含めた消化器症状の他に倦怠感、筋肉痛などがあります。
そこから進行すると、過呼吸、低血圧、昏睡の症状が出始め、最悪の場合死に至ります。
乳酸アシドーシスは致死率の高い疾患であるため、初期症状のうちに対策することがとても重要です。

自分の症状がただの副作用であるのか、それとも乳酸アシドーシスの初期症状であるのかの区別は難しいため、メトホルミン服用中は体調の変化に注意してください。

また、下痢のときは脱水症状を起こしやすくなります。
腸の働きが悪くなることで体内の水分が軟便や水下痢として排出されてしまい、徐々に体内の水分量が減ってしまうのです。

脱水症状は乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があるため、下痢のときは常温の水を少しずつ飲んで対策をしてください。

乳酸アシドーシスと脱水症状は、ともに重症化すると命に関わる危険があります。
疑わしい症状が出たらすぐに適切な対策を取り、医療機関を受診しましょう。

メトホルミンによる下痢の予防法

メトホルミンによる下痢の予防法

ここまで下痢が起こった時の対策を解説してきましたが、この項目ではメトホルミンによる下痢を防ぐための方法をご紹介します。

メトホルミンによる下痢を防ぐ方法として効果的なものは以下の通りです。

・食事と一緒にメトホルミンを飲む
・過度な飲酒を避ける
メトホルミンの量を増やすときは、1か月程度間隔をあけながら徐々に増やしていく

過度な飲酒は、下痢の症状だけではなく脱水症状を起こしやすくするためとても危険です。
メトホルミンにおける禁忌にも指定されているので、メトホルミン服薬中は必ず飲酒の量を調節してください。

また、以下の医薬品をメトホルミンと併用することは避けましょう。

・ヨード造影剤、ゲンタマイシンなどの抗生剤、利尿剤
→ 胃腸障害を含む乳酸アシドーシスが現れやすくなるため

・イメグリミン塩酸塩
→ イメグリミン塩酸塩にも消化器症状(下痢、吐き気、便秘など)の副作用があり、メトホルミンと併用することで消化器症状が多く認められたため。

メトホルミン服用中はこれらの予防法を実践し、つらい下痢の症状をできる限り防ぎましょう。

メトホルミンで下痢になったら服薬を中止したほうがいいか

メトホルミンで下痢になったら服薬を中止したほうがいいか

メトホルミンを飲むこと自体を中止するケースは、一般的には少ないとされています。

先述の通り、メトホルミンによる下痢の症状は一過性のことが多いです。
そのため、症状が軽い場合はメトホルミンを飲み続けながら少しの期間様子を見ましょう。

しかし、下痢の症状があまりにも重く不安な場合は、一度中止して医療機関を受診してください。

まとめ

この記事で解説したことをまとめました。

  • メトホルミンを飲むと多くの人に下痢が起こる
  • 初めて服薬する場合やメトホルミンを増量したタイミングで起こりやすい
  • 一過性の場合が多く、2週間程度で改善することがほとんどだが、個人差がある
  • 減薬や休薬するときは自己判断せず医師へ相談する

メトホルミンによる下痢は、ほとんどが軽度で一過性です。
メトホルミンの服用を続けることで治まることが多く、また症状が出ているということはメトホルミンの効果が出ていることの裏返しでもあります。

様子を見ながら服用を続け、メトホルミンの効果を自身の健康生活に役立てましょう。

Q&A

Q&A

メトホルミンと下痢に関連してよくある質問にお答えします。

Q.メトホルミンの副作用に下痢と眠気の症状はある?

A. 下痢眠気はどちらもメトホルミンによる副作用の1つです。
ただし眠気の副作用は頻度が低く、1%未満の確率で起こります。

Q.メトホルミンによる下痢と一緒に吐き気も起こる?

A. 吐き気は、下痢に次いで多く起こるメトホルミンの副作用の1つです。
こちらも軽度で一過性であることが多いため、吐き気の症状が起こったら基本的にはメトホルミンを飲み続けながら様子を見ましょう。

Q.下痢をしたら痩せる?

A. メトホルミンの副作用は関係のない、通常の下痢であれば痩せることはありません。
体内の水分が排出されたり腹痛で食事が摂れなかったりすることで体重は減りますが、体脂肪は落ちていないためです。
メトホルミンによる下痢は、体重を落とす直接的な原因にはなりませんが、メトホルミンのダイエット効果や血糖値を下げる効果などが出ていることの裏返しでもあります。

ただし、効果が出ている期間中ずっと下痢の症状が出るわけではありません。
1~2週間程度で症状が治まらない場合は、医療機関を受診しましょう。