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妊婦の不眠症-原因と対処法を解説
妊娠中の女性は体調が変化しやすく、様々な症状が現れることがあります。
その中でも、不眠の症状に悩まされる方も少なくありません。
そこで、この記事では妊娠中の不眠症に悩んでいる方に向けて、妊娠中の不眠症の原因や対処法について解説していきます。
妊婦の不眠症の原因
妊娠中の不眠症の原因は、妊娠時期によって異なります。
これは、ホルモン分泌のパターンや体の不調、不安などが妊娠時期によって変化していくためです。
例えば、妊娠初期はホルモン分泌の影響で眠りにくくなったり、妊娠中期以降は胎動の増加や頻尿、こむら返りなどで夜中に目が覚めたりします。
そのため、妊娠中の不眠症の原因は時期によって異なるのです。
次の項目で、妊娠時期ごとの不眠症の原因を詳しく解説していきます。
妊娠初期(13週6日まで)
妊娠初期の不眠症の原因は、以下の通りです。
・ホルモンバランスの変化
・つわり
・日中に眠りすぎている
・体温の上昇
・頻尿
・不安(流産や胎児の先天性疾患、高齢出産など)
日中の眠気の増加や体温の上昇は、ホルモンバランスの変化が大きく影響しています。
また、つわりや頻尿といった体の不調によって眠れないこともあります。
妊娠初期は一般的に通常よりも眠気が増すとされていますが、これらの原因によって不眠症になることもあるのです。
妊娠中期(14週0日~27週6日)
妊娠中期の不眠症の原因は、以下の通りです。
・胎動
・頻尿
・不安(切迫早産などの不安)
妊娠中期になると胎動を感じるようになることや、腎臓を通過する血液量が最も多くなることによる頻尿によって、夜中や早朝に目が覚めてしまうことが増えます。
さらに、妊娠中期には切迫早産などの不安を抱えていて眠れない方もいます。
妊娠後期(28週0日~)
妊娠後期の不眠症の原因は、以下の通りです。
・動悸
・息切れ
・むくみ
・胎動
・体の痛み(腰や背中など)
・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
・皮膚のかゆみ
・こむら返り
・不安(出産や出産後の生活に対する不安)
・頻尿
妊娠後期は、血液量の増加に伴って心拍数が増えることや、貧血によって動悸や息苦しさを感じることが少なくありません。
さらに、お腹が大きくなると腰や背中の痛みを感じたり、動きづらいために運動不足になりむくみやこむら返りを引き起こします。
このような特有の症状が、妊娠後期の不眠症の原因となっているのです。
妊婦に多い不眠症の症状
妊婦さんに多い不眠症の症状は、なかなか寝付けない入眠障害です。
また、眠りが浅くて熟睡できない、夜中に目が覚めてしまうという方もいます。
このような不眠症の原因は、妊娠時期によって様々です。
その中でも、つわりや不安に襲われたり、イライラして寝付けないという方が多くいます。
寝付けない、眠りが浅い、夜中に目が覚めてしまうなどの不眠症の症状で自分も当てはまるかもしれないという方に向けて、別の記事で不眠症について詳しく解説しています。
こちらもあわせてお読みください。
- 関連ページ
- 不眠症の症状や種類について解説
妊婦でもできる不眠症への対処法
妊婦さんでもできる不眠症への対処法は、生活習慣を改善することです。
また、できるだけストレスを溜めないようにリラックスして過ごすことも効果的です。
生活習慣の改善やリラックスして過ごすことは、睡眠の質の向上につながります。
具体的な対処法は、以下の通りです。
対処法 | 理由 |
---|---|
入浴はぬるめのお湯で | お風呂に入り体温が上昇すると、その後体温が下がる タイミングで入眠しやすくなるため。 38℃~40℃くらいのぬるめのお湯につかる。 |
日中に軽い運動をする | 日中の運動は、睡眠の質を改善するため。 身体の負担にならないように、ウォーキングやマタニティヨガなどの軽めの運動を選ぶ。 ヨガの呼吸法は、心身を調整する効果があるとされており、睡眠の質が良くなると報告されている。 |
就寝前にPCやスマホ、テレビを見ない | パソコンやスマホ、テレビから出るブルーライトが睡眠を促すホルモンの分泌を抑えるため。 |
仮眠は短時間で | 昼間に長時間の仮眠を取ると、夜に眠れなくなる原因となるため。 昼間の仮眠は、午後のなるべく早い時間に20~30分程度にとどめておくのがおすすめ。 |
睡眠の悩みを持ったときは、これらの対処法を試してみてください。
また、周囲の方の理解や協力も大切です。
妊娠中に睡眠薬は服用できるのか
妊娠中に睡眠薬を服用できる場合もありますが、自己判断での服用はリスクが高いです。
妊娠中の睡眠薬の使用は、生活習慣を見直しても不眠症が改善しない方に対して、医師がリスクより治療の有益性が上回ると判断したときに検討されます。
妊娠中に使用されることが多いのはデパスやハルシオンなどのベンゾジアゼピン系や、アモバンやマイスリーなどの非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。
これらの睡眠薬を、短期間で必要最小量使用することが基本とされています。
なお、当サイトではアモバンの改良版の睡眠薬といわれているルネスタのジェネリック医薬品を取り扱っています。
効果や副作用などに興味がある方は、参考にしてみてください。
妊娠中に眠れないときの過ごし方
眠れないときは、眠れないことに焦らずリラックスして過ごしてください。
妊娠中は通常に比べて不眠になりやすいです。
そして、眠れないことに対してストレスや不安を感じると、さらに眠れなくなってしまうこともあります。
眠れないときの過ごし方としては、以下のような例が挙げられます。
・寝室や寝具をアロマなどで好みの香りや落ち着く香りにする
・好きな音楽や胎教を兼ねてクラシック音楽を聴く
・ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
これらの方法を試しながら、焦らずリラックスして過ごしましょう。
まとめ
妊婦さんの不眠症について、ここまでに解説したことのポイントをまとめました。
・妊娠中の不眠症の原因は以下の通り
妊娠初期(13週6日まで) | 妊娠中期 (14週0日~27週6日) |
妊娠後期(28週0日~) |
---|---|---|
・ホルモンバランスの変化 ・つわり ・寝汗 ・頻尿 ・不安(流産、胎児の先天性疾患、高齢出産)など |
・胎動 ・頻尿 ・不安(流産や早産の不安)など |
・動悸 ・息切れ ・胎動 ・体の痛み ・こむら返り ・不安(出産に対する不安、出産後の不安) ・頻尿など |
・妊婦さんもできる不眠症への対策は、日中の軽い運動やぬるめのお湯での入浴など生活習慣改善やリラックスすること
妊婦さんにとって睡眠は、自分のためにも胎児のためにも大切です。
しかし、眠れないときがあったとしても焦らず、できるだけストレスを溜めないようリラックスして過ごすことを心がけましょう。
よくある質問
妊娠中の不眠症についてのよくある質問にお答えします。
妊婦の睡眠不足は胎児にどのような影響がありますか?
妊婦さんの睡眠不足は、胎児の出生体重や成長、早産、死産に影響する可能性があるといわれています。
これは、睡眠不足によって血流が停滞することで、胎児へ栄養をスムーズに送れなくなることが関係すると考えられています。
妊娠中、お昼に眠くなるのはなぜですか?
妊娠中、昼間の眠気が強くなるのは、以下の原因が挙げられます。
①プロゲステロンの分泌量増加
プロゲステロンには体を休ませようとする作用がある
②睡眠の質が低下することによる睡眠不足
妊娠初期は基礎体温が高くなるうえ、自律神経が乱れて体温調節がしづらくなるため
③貧血
妊娠中は鉄分が胎児に優先的に送られるため
なお、眠気は妊娠15週頃、胎盤が完成してつわりが治まりはじめる時期に落ち着く方が多いです。