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睡眠薬 - 非ベンゾジアゼピン系の種類や特徴を解説
睡眠薬は、作用メカニズムによって5種類に分けられています。
それぞれ睡眠を促すメカニズムが異なるため、どのタイプが自分に適しているのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、自然に近い眠気を誘発する「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」の作用や種類などを詳しく解説していきます。
また、そのほかの睡眠薬との作用の違いについてもご紹介していますので、睡眠薬の使用を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠薬 - 非ベンゾジアゼピン系一覧
不眠症の治療に用いられる非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、以下の4種類です。
・アモバン
・マイスリー
・ルネスタ
・ソナタ
いずれも超短時間型の睡眠薬のため、入眠障害改善に使用されることがほとんどです。
作用時間が短いことから、翌日まで効果が残る可能性が低く副作用のリスクが少ないのが特徴です。
ただし、体質や体格、その日の体調によっては、効果の強さや持続時間には個人差があるため、自分に適した睡眠薬を選択することが大切です。
ここからは、それぞれの有効成分や特徴、どこで購入できるかなどをご紹介していきます。
アモバン
アモバン 取り扱いなし |
アモバンの有効成分は「ゾピクロン」で、1989年から不眠症の改善目的で、長く使用されてきた睡眠薬です。
向精神薬に指定されているため、厚生労働省 の輸入規制により医療機関でのみ処方が可能です。
効果が約4時間持続するため、翌日の起床時間が早い場合や睡眠時間が短い場合の使用は避けた方がよいでしょう。
マイスリー
マイスリー 取り扱いなし |
マイスリーの有効成分は「ゾルビデム」です。
非ベンゾジアゼピン系の中でもっとも睡眠に関わる受容体への作用が強いとされているため、高い睡眠効果が期待できます。
また、効果の持続時間は2時間で、翌日まで眠気が残ることがほとんどありません。
アモバン同様に市販はされておらず、厚生労働省に輸入規制により医療機関での処方のみになります。
ルネスタ
ルネスタの有効成分は、「エスゾピクロン」です。
非ベンゾジアゼピン系の中でも効果の持続時間が長く5時間作用するため、入眠障害だけでなく中途覚醒にも効果的です。
ルネスタは医療機関での処方、または個人輸入で購入できます。
従来の睡眠薬は処方日数が制限されていますが、ルネスタは依存性が低いことから、処方日数の制限が定められていません。
ソナタ
ソナタの有効成分は「ザレプロン」で、もっとも即効性に優れており持続時間は1時間と短く、翌日まで効果を持ち越すことが少ないです。
そのため、めまいや健忘などの副作用が起こる可能性が低いとされています。
海外では多く使用されている睡眠薬ですが、日本国内では未承認のため個人輸入でのみ購入が可能です。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のメカニズム
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、脳内のベンゾジアゼピン受容体に作用して、脳機能を低下させることで自然な眠気を誘発します。
ベンゾジアゼピンには、ω1とω2 の2種類の受容体があります。
催眠と鎮静作用に関与するω1受容体と、抗不安や抗けいれん、筋弛緩作用に関与するω2受容体です。
従来のベンゾジアゼピン系は両方の受容体に作用するのに対し、非ベンゾジアゼピン系はω1受容体のみに作用します。
そのため、全身の筋肉が緩むことによるふらつきや転倒などの副作用が軽減されています。
非ベンゾジアゼピン系と他のメカニズムの違い
睡眠薬には睡眠を促すメカニズムによって、以下の5種類に分類されます。
・バルビツール酸系
・ベンゾジアゼピン系
・非ベンゾジアゼピン系
・オレキシン受容体拮抗薬
・メラトニン受容体作動薬
- 効果の強さ:
バルビツール酸系>ベンゾジアゼピン系>非ベンゾジアゼピン系>オレキシン受容体>メラトニン受容体
非ベンゾジアゼピン系は、ベンゾジアゼピン系を改良した睡眠薬です。
睡眠のみに作用し、効き目も強すぎたり弱すぎたりすることがないため、比較的副作用や依存性も低いとされています。
服用している睡眠薬の効き目が強いと感じている場合は、非ベンゾジアゼピン系に変更するとよいでしょう。
また、ジェネリック医薬品も存在しているため、できるだけ費用を抑えたい方にもおすすめです。
非ベンゾジアゼピン系のメリット
非ベンゾジアゼピン系のメリットとして、以下があげられます。
・睡眠が深くなりノンレム睡眠が増える
・作用時間が短いため翌日に眠気が残らない
・筋肉を緩める作用が少なく、ふらつきなどの副作用がおこりにくい
・ベンゾジアゼピン系に比べて依存性が低い
深い睡眠を促す作用があるため、ノンレム睡眠が増え睡眠の質が上がります。
また、作用時間が短く翌日まで眠気が残らないため、日中の活動に影響しにくいです。
そのほかにも、副作用のふらつきや転倒などが起こりにくいことから、高齢者の方にも比較的使用しやすいことがメリットといえます。
非ベンゾジアゼピン系のデメリット
非ベンゾジアゼピン系のデメリットとしては、以下があげられます。
・作用時間が超短時間
・まれに服用後に健忘の症状がでる可能性がある
・種類が少ない
超短時間型の睡眠薬のため入眠障害には向いていますが、中途覚醒や早朝覚醒には不向きです。
また、まれに服用後に記憶を失うなどの健忘症状が起こる恐れがあります。
そのほかにも、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は4種類しか存在しないため、選択肢が少ないこともデメリットになります。
非ベンゾジアゼピン系の市販薬
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は市販されていません。
乱用や依存を防ぐためであり、一度に処方できる量も制限されています。
市販薬にも睡眠を促す睡眠改善薬が存在しますが、医療機関で処方される睡眠薬とは効果が全く異なります。
非ベンゾジアゼピン系に限らず、睡眠薬はドラッグストアや薬局などでは購入できません。
そのため、医療機関で処方してもらう、または個人輸入で購入する必要があります。
よくある質問
ここからは、睡眠薬に関するよくある質問にお答えしていきます。
睡眠薬の使用を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は認知症になりやすいですか?
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の服用で、認知症になるという明確な根拠はありません。
ある研究では、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が認知症のリスクを高めるという報告がある一方で、明らかな関係性は認められなかったという結果も出ています。
また、アメリカの医療機関の調査では、睡眠薬よりも睡眠不足の方が認知機能を低下させることが明らかになっています。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が認知症の直接的な要因になるとは、考えにくいでしょう。
非ベンゾジアゼピン系の副作用は何ですか?
主な副作用として、以下の症状があげられます。
・ふらつき
・頭痛
・めまい
・一過性前向性健忘 など
作用時間が短い睡眠薬ですが、体質や体調によっては効果が翌日まで残る場合があります。
そのため、自動車運転や危険を伴う機械などの操作は控えてください。
また、発現頻度はまれですが、入眠までの記憶がなく、途中で目覚めても覚えていないなどの健忘症状が起こることがあります。