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糖尿病の治療法3つ|食事療法・運動療法・薬物療法

糖尿病の治療法3つ|食事療法・運動療法・薬物療法

糖尿病の治療法は食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。
これら3つをどのように組み合わせるかは、患者一人ひとりの病状によって異なります。

「糖尿病は治らない」といわれていますが、「血糖値を良い状態に保つこと」が糖尿病の治療になります。

糖尿病は放置すればどんどん悪化していく病気です。
治療法についてよく知り、生活習慣の改善や治療に役立てていきましょう。

糖尿病の治療法を正しく選ぶ

糖尿病の治療法を正しく選ぶ

糖尿病は、正しく治療すれば改善できます
糖尿病を発症した原因や病状に合わせて治療を行えば、血糖値を正常化できるからです。

糖尿病を発症する原因には、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンが関係しています。
インスリンは血糖値を下げるホルモンで、働きが弱くなったり、分泌されなくなると、血糖値が高い状態が続き糖尿病を発症します。

糖尿病は、発症の原因によって4種類に分けられます。

・1型糖尿病
・2型糖尿病
・妊娠糖尿病
・その他の原因による糖尿病

それぞれ効果的な治療法が異なるため、自分がどれに当てはまるのか正しく診断してもらうことも重要です。

1型糖尿病の治療法

1型糖尿病はインスリンを分泌できないため、薬物療法がメインになります。

自己免疫の異常やウイルス感染により、膵臓の一部が破壊されることが原因で発症します。
膵臓からインスリンがほとんど、または全く出なくなるため、生涯にわたってインスリン製剤による注射を続けなければなりません。

薬物療法がメインになりますが、食事療法や運動療法にも取り組みます
インスリンの効きやすい体を維持することや、インスリン量の増量を予防するために、食事療法や運動療法も必要な治療になるからです。

2型糖尿病の治療法

2型糖尿病の場合、インスリンを分泌する機能は保たれていることが多いため、食事療法と運動療法が基本になります。
食事療法と運動療法を続けてもなお、十分な効果が得られなかった場合に薬物療法を追加します。

2型糖尿病は糖尿病になりやすい体質の遺伝や、生活習慣の乱れによって、インスリンの機能が低下しています。
インスリンの効きが低下した状態をインスリン抵抗性、インスリンを作る能力が低下した状態をインスリン分泌低下といい、この2つが重なることで発症します。

薬物療法では、インスリン抵抗性とインスリン分泌低下、どちらの割合が大きいかに合わせて薬を選択します。

妊娠糖尿病の治療法

2型糖尿病と同じように、まずは食事療法や運動療法をおこないます。
改善が見られない場合には薬物療法を追加します。

妊娠糖尿病は、妊娠をきっかけに初めて診断された、糖尿病には至らない糖代謝異常のことです。
妊娠時に胎盤から分泌されるホルモンや酵素の影響により、インスリンが効きにくくなることが原因で血糖値が上昇します。

糖尿病の内服薬は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中は使用できません。
薬物療法ではインスリン製剤を注射します

その他の原因による糖尿病

1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病のいずれにも分類されない糖尿病のことをいいます。

遺伝子の異常や、糖尿病以外の病気や薬剤によって血糖値が上昇することが原因です。

内服薬やインスリン注射などの薬物療法をおこないますが、血糖値を上昇させる原因となった薬の投与を中止すれば血糖値が正常になる場合もあります。
中止が難しい場合は他の薬剤と併用することになるため、医師とよく相談しながら治療を進める必要があります。

糖尿病の治療法3つ

糖尿病の治療法3つ

糖尿病の治療法は3つを組み合わせておこないます。

・食事療法
・運動療法
・薬物療法

ここまでの解説では、糖尿病を発症する原因によって効果的な治療法が異なることを説明しました。
ここからは、治療法の取り組み方や目的について解説していきます。

食事療法

食事療法

食事療法は、膵臓に負担のかからない食生活にすることです。
暴飲暴食や、不規則な時間の食事は膵臓に大きな負担をかけてしまいます。
過食や偏食をせず、規則正しく食事をとりましょう。

厳しい食事制限をする必要はありません。
ビタミン、ミネラル、タンパク質といった栄養バランスのとれた食事を、決まった時間にとることで、血糖値の乱高下を防ぎます。

食事療法によって膵臓の負担が軽くなれば、インスリンの機能は回復していきます。
また、食事時間が一定になると、インスリン製剤を投与するタイミングをうまく合わせることができるため、インスリンによる薬物療法をおこなっている患者さんは血糖管理がおこないやすくなります。

食生活が乱れている状態で薬を飲んでも、薬の効果は得られません。
食事療法は糖尿病治療において最も重要ですので、真剣に取り組みましょう。

運動療法

運動療法

運動には血糖値を下げる効果や、インスリンの働きを高める効果があります

血液中の糖が筋肉に取り込まれてエネルギーとして消費され、筋肉の活動量が上がることによってインスリンの働きが高まるのです。

とくに、有酸素運動レジスタンス運動を組み合わせるといいとされています。
有酸素運動はウォーキングや水泳などの全身運動、レジスタンス運動は筋力トレーニングのことで、腹筋や腕立て伏せ、スクワットなどが有効です。

有酸素運動は1回20~60分を週3回以上おこないましょう。週に合計で150分以上が目標とされています。
レジスタンス運動は連続しない日数で週2~3回、数種目の運動をおこないます。1種目につき1セット10回程度から始め、慣れてきたら2~3セットを目安におこないましょう。

病状によっては運動が禁忌の場合や、制限がつく場合があるため、医師に確認した上でおこなうようにしてください。

薬物療法

薬物療法

糖尿病の薬は大きくわけると内服薬と注射薬の2つに分けられます。
血糖値を下げる作用はさまざまあり、病状に合った薬を選択します。

内服薬
・インスリンの分泌をよくする薬(スルホニル尿素薬など)
・インスリンの効きをよくする薬(ビグアナイド薬など)
・糖の吸収や排泄を調節する薬(SGLT2阻害薬など)

注射薬
・インスリンの分泌を促す薬(GLP-1受容体作動薬)
・インスリンそのものを補充する薬(インスリン製剤)

注射薬のインスリン製剤は、最近ではインスリンポンプという持続的にインスリンを注入できるものもあります。

1型糖尿病はインスリンを分泌できないことからインスリン製剤が不可欠です。
また、妊娠中の人も内服薬は服用できないため、インスリン製剤を使用します。

2型糖尿病は内服薬から使用を開始し、それでも血糖コントロールが上手くいかない場合にインスリン製剤を検討するケースが一般的です。

薬物療法が始まった後も、食事療法と運動療法は継続します。

インスリンを使わない1型糖尿病の治療法は?

残念ながら現在の医療技術では、インスリンを使わない1型糖尿病の治療法はありません。

しかし、インスリンを使わずに血糖値を正常化させる薬の開発や、膵臓の細胞移植、再生医療などの研究は進められています。
とくに膵臓の細胞移植や再生医療では、1型糖尿病を完治できる可能性があり期待されています。

将来的にはインスリン注射以外の方法で、1型糖尿病を治療できる可能性があるでしょう。

糖尿病の高齢者の治療法

高齢者であっても、食事療法や運動療法、薬物療法に取り組むことに変わりはありません。

ただし、薬物療法では注意点があります。
高齢者は糖尿病以外にも病気をもっていることが多く、投与量や他の病気で使用している薬との併用に注意が必要です。
服用中の薬がある場合は医師へ伝えもれることのないようにしましょう。

また加齢によって薬を体外へ排出する能力が低下し、体にたまりやすくなるため、薬が効きすぎることがあります。
糖尿病の薬で過剰に血糖値が下がると、低血糖が起こる可能性がありますので注意してください。

糖尿病の小児の治療法

小児も大人と同じように食事療法や運動療法、薬物療法をおこないます。

1型糖尿病はインスリン製剤による注射をおこない、2型糖尿病は食事療法・運動療法を基本に、改善が見られない場合のみ薬物療法を追加します。

2型糖尿病の治療薬は小児を対象とした臨床試験が実施されていない薬もあり、使用できる薬や年齢が限られることを配慮しておきましょう。

また、2型糖尿病は肥満を改善すると血糖値が下がることが多く、通院をやめてしまうケースがあります。
一度でも糖尿病と診断を受けたら、糖尿病体質であることに変わりありません
いつのまにか血糖値の高い状態に戻っている可能性も考えられるため、定期的な通院を心がけましょう。

糖尿病治療中の検査

糖尿病治療中の検査

治療中の通院で受ける検査は血液検査尿検査です。

治療効果を確認する指標として代表的なのは、血液検査でわかるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)です。
HdA1cは過去1~2ヶ月間の血糖値の平均がわかります。
採血前後の食事が数値に影響しないため、治療によってどのくらい血糖値が改善しているか判断することができます。

また、医療機関以外で血糖値を知る方法として、血糖測定器というものがあります。
自分で指先に針を刺すことで、血糖値を測定できる機械です。
日常生活の中で血糖値を確認できるため、血糖コントロールがしやすくなります。

血糖測定器は、注射薬による薬物療法をおこなっている患者であれば、公的医療保険が適用される場合がありますので確認してみましょう。

まとめ

糖尿病の治療法について、ここまでの解説を以下にまとめました。

  • 糖尿病の治療法は食事療法、運動療法、薬物療法の3つ
  • 糖尿病を発症した原因や病状に合わせて治療法を組み合わせる
  • 食事療法は食生活を整え、膵臓の負担軽減や薬による血糖管理をおこないやすくする
  • 運動療法は有酸素運動や筋力トレーニングによってインスリンの働きを高め、血糖値を下げる
  • 薬物療法は、食事療法と運動療法では血糖値をコントロールできない場合におこなわれ、内服薬と注射薬がある

Q&A

Q&A

糖尿病の治療法についてよくある質問にお答えしていきます。

Q.糖尿病で透析治療をする可能性はある?

A. 糖尿病性腎症という合併症を引き起こし、重症化した場合には透析治療が必要になることがあります。

糖尿病性腎症とは、糖尿病が原因で腎機能が低下することです。
血糖値の高い状態が続くことによって、腎臓にある尿を濾過する組織が傷つけられるために発症します。

ただし発症後すぐに透析治療が必要になることはありません。
食事療法や薬物療法でしっかりと血糖コントロールできれば、悪化は防ぐことができます。

Q.糖尿病で入院することはある?

A. 糖尿病で入院するケースは「教育入院」「検査入院」「治療入院」の3つです。

「教育入院」は食事療法や運動療法、薬物療法をおこないながら、糖尿病への理解を深める入院です。
治療について知識を深めるだけでなく、正しい食事や生活習慣を身につけることも目的としています。

「検査入院」はさまざまな検査をおこない、糖尿病や合併症の進行具合を把握するための入院です。
適切な治療法を調べることができます。

「治療入院」は糖尿病の合併症が進行してしまった場合の入院です。
命に危険のある状態まで進行した場合や、緊急で治療が必要になった場合に入院が必要になります。