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ニキビにステロイドは逆効果?正しい使い方を解説
高い抗炎症作用があり、湿疹などの治療に用いられるステロイド薬。
同じく炎症を起こす皮膚疾患であるニキビにも、ステロイドは治療効果があるのでしょうか。
この記事ではニキビに対するステロイドの効果や、実際の有効例などを解説していきます。
ニキビにステロイドは効果的ではない
早速ですが、ニキビに対してステロイドは効果的ではありません。
ニキビは過剰な皮脂により毛穴が詰まり、その中で増殖したアクネ菌が原因で炎症が起こる皮膚疾患です。
ステロイドは抗炎症効果に優れる反面、免疫力が落ちてしまうためニキビ治療には適さないどころか、むしろ悪化につながる恐れもあります。
ニキビ治療においてステロイドが処方されることもありますが、基本的には医師が必要と判断したケースに限ります。
自己判断でニキビにステロイドを使用するのは控えましょう。
ニキビにステロイドを使うメリット
ニキビ治療にステロイドを用いることで、症状を抑えられるという利点があります。
ステロイドは、抗炎症作用や血管収縮作用を持つ治療薬です。
ニキビに対してもステロイドの作用は有効であり、腫れや痛み、赤みを改善することができます。
しかしステロイドに殺菌作用などはなく、ニキビを根本的に治療することはできません。
炎症を和らげるため、一時的に使用されるものであることに注意してください。
※参考:日本皮膚科学会|尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023(PDF)
ニキビにステロイドを使うデメリット
ニキビ治療にステロイドを用いる場合、特に注意したいのは以下のような副作用のリスクです。
・ニキビができやすくなる
・皮膚が薄くなる
・乾燥肌
「ステロイドによりニキビが悪化する」と言われる理由は、ステロイドの免疫抑制作用にあります。
使用した部位の免疫力が落ちてしまうため、その場所に細菌が付着するとニキビが作られやすくなってしまうのです。
ステロイドによるニキビ治療の例
ステロイドは、基本的にはニキビ治療には適していません。
しかし次のような症例に対しては、ステロイドによる治療が有効となります。
・しこりニキビ
・ニキビ跡
それぞれの症例について、詳しく説明していきます。
しこりニキビ
しこりニキビは炎症が激しくなり、患部が腫れ上がった状態となります。
跡になる恐れもあるしこりニキビですが、治療にはステロイドが有効です。
貼付薬を使用、あるいは注射などにより患部にステロイドを届けることで、しこりニキビによる腫れや痛みの症状が緩和します。
しかし根本的な治療にはならないため、あくまでも一時的な症状緩和を目的として使用されます。
ニキビ跡
できたばかりのニキビ跡であれば、ステロイドが有効性を示します。
ステロイドが持つ抗炎症作用により、ニキビ跡の赤みを改善することが可能です。
ただし長期的に使用すると副作用により、ニキビが悪化する恐れがあります。
医師の指導を受け、慎重に使用するようにしてください。
また古いニキビ跡にはステロイドは使用されないため、他の治療法を検討する必要があります。
ステロイドの種類
ステロイドにはさまざまな種類が登場しており、強さによって5段階に分けられています。
作用の強さ | 代表的な製品名 | 市販薬 |
---|---|---|
strongest (最も強い) |
デルモベート ジフラール |
なし |
very strong (とても強い) |
フルメタ トプシム リンデロンDP |
なし |
strong (強い) |
ボアラ プロパデルム フルコート |
あり |
medium (普通) |
リドメックス キンダベート ロコイド |
あり |
weak (弱い) |
プレドニゾロン コルテス |
あり |
炎症を抑える目的で一時的に市販のステロイドを使用したい場合、フルコートやプレドニゾロンなど作用が「強い~弱い」に分類される治療薬であればドラッグストアなどで手軽に購入できます。
しかしステロイドは使用する体の部位により吸収率が異なるため、症状の度合いや使用部位に合った種類を選ばなくてはなりません。
副作用を防ぐためにも、用法用量を必ず守って使用しましょう。
ニキビはステロイド以外の薬で治療する
ニキビ治療において、ステロイドの使用は基本的におすすめできません。
赤ニキビや黄ニキビなどの症状に対しては、ニキビ専用の治療薬を使用した方が良いでしょう。
ニキビに効果的な治療薬は以下を参考にしてください。
内服薬
・イソトレチノイン
外用薬
・クリンダマイシン
・アゼライン酸
上記は医療機関での処方や、個人輸入で入手が可能です。
どれもニキビ治療効果が高く、市販薬では改善が難しい症状にも効果が期待できます。
イソトレチノイン
イソトレチノインは、重症化したニキビの治療に適した内服薬です。
高い抗炎症作用や皮脂の分泌抑制作用によりニキビの症状を改善します。
外用薬を使用しても効果が現れない方や、重度の症状に悩んでいる方には特におすすめです。
また海外では主流のニキビ治療薬であるものの、国内では未承認薬のため保険が適用されません。
しかし個人輸入でもイソトレチノインは購入でき、安価に入手できます。
クリンダマイシン
クリンダマイシンは、ニキビに効果のある抗生物質です。
抗菌・殺菌作用があり、ニキビの原因となるアクネ菌の繁殖も抑制します。
ジェルタイプの塗り薬であるダラシンTゲルの有効成分としても知られています。
クリンダマイシンを含む外用薬は医療機関で処方される他、個人輸入を利用することで安価に購入することも可能です。
アゼライン酸
アゼライン酸は、皮脂の分泌を抑制する作用や抗菌、抗炎症作用などを持つ外用薬です。
アクネ菌の殺菌・繁殖の抑制や毛穴の詰まりの解消が期待できます。
ニキビの改善だけでなく予防にもなることから、ニキビ治療薬として使用されることも多いです。
さらにメラニンの生成を抑えることで、ニキビ跡の治療効果も期待できます。
アゼライン酸を含有する治療薬は医療機関で処方される他、市販でも化粧水や美容液などが購入できます。
また個人輸入でも入手でき、高濃度の製品が販売されているのが特徴です。
まとめ
ニキビに対するステロイドの使用について、ここまで解説したことをまとめました。
- ステロイドでニキビを根本的に改善することはできない
- 炎症を抑える目的であれば一時的に使用されることがある
- ニキビにはニキビ専用の治療薬を使用する方が効果を実感しやすい
ステロイドは優れた抗炎症作用により、幅広い病気の治療に用いられています。
ニキビに対して使用されることもありますが、根本的な改善にはならず、あくまでも一時的な使用に留まります。
従ってニキビを治療したい場合は、ニキビ専用の治療薬を使用する方が治りも早く、効果を実感しやすくなります。
Q&A
ニキビ治療とステロイドについて、よくある質問をまとめました。
疑問や不安な点がある方は、以下の内容を参考にしてみてください。
Q.ステロイドでニキビが増えるのはなぜ?
A. ステロイドの免疫抑制作用により、使用した部位の免疫力が低下するためです。
免疫力が低下すると、細菌やウイルスが付着した際にニキビができやすくなってしまいます。
炎症を抑える目的で短期的にステロイドを使用するのは有効ですが、長期的な使用には向かないため注意してください。
Q.かゆみを伴うニキビはステロイドを使用して良い?
A. ステロイドは誤った使い方を使用するとニキビが悪化する可能性があるため、自己判断での使用は推奨できません。
医療機関を受診し、医師の診察を受けた上で症状に合った種類のステロイドを処方してもらうようにしてください。
Q.ステロイドでできたニキビの治し方は?
A. ステロイド外用薬の使用によりニキビができてしまった場合、次のような対処が必要です。
・ステロイドの使用を中断、あるいは使用頻度を減らす
・他の医薬品へ変更する
医療機関から処方されたステロイドによってニキビができてしまった場合は、症状に合わせた治療が必要になりますので医師に相談しましょう。