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フォシーガの副作用と発症した時の対処法

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フォシーガは、SGLT2阻害薬に分類される糖尿病治療薬です。
血液中の余分な糖を尿へ排出する作用があり、ダイエット効果も期待されています。

フォシーガは副作用が発生しにくいという特徴がありますが、医薬品である以上、リスクは0ではありません。

この記事では、フォシーガによる副作用の症状や起きたときの対処法副作用を防ぐ方法についても解説します。

安全に、そして効果的にフォシーガを服用できるよう、正しい知識をつけていきましょう。

フォシーガの主な副作用

フォシーガの主な副作用

フォシーガの主な副作用は、以下のとおりです。

  • 性器・尿路感染
  • 便秘
  • 頻尿、尿量増加

※いずれも発生頻度1~5%前後

フォシーガは尿から糖を排出するので、尿中の糖が増加して菌が繁殖しやすくなるため、性器や尿路の感染症を引き起こす可能性があります。

また、排泄を促すことで体内の水分量が減り、便秘が起こる場合もあります。

いずれの副作用も、起こった場合は症状に合った対処をすることが大切です。

次の項目から、これらの副作用における具体的な症状と対処法をそれぞれ解説していきます。

なお、より発生頻度の低い症状も含めたフォシーガの副作用一覧を以下の表にまとめましたので、こちらもあわせてご覧ください。

5%以上 1~5%未満 1%未満 頻度不明
感染症 性器感染(膣カンジダ症など) 尿路感染(膀胱炎など)
血液 ヘマトクリット増加
代謝および栄養障害 体液量減少 ケトーシス、食欲減退、多飲症
消化器 便秘、口渇 下痢、腹痛、悪心、嘔吐
筋・骨格系 背部痛、筋痙縮(きんけいしゅく)
皮膚 発疹
腎臓 頻尿、尿量増加 腎機能障害、排尿困難
精神神経系 頭痛、振戦、めまい
眼乾燥
生殖器 陰部そう痒症 外陰腟不快感
循環器 高血圧、低血圧
その他 倦怠感、無力症、体重減少、異常感

(※参照:フォシーガ錠5mg・10mg

性器・尿路感染症の症状と対処法|陰部のかゆみに注意

フォシーガによる性器・尿路感染症の症状は、以下のとおりです。

  • 陰部のかゆみ
  • 排尿時の痛み
  • 陰部の灼熱感
  • 残尿感
  • トイレが近い
  • おりものの匂いが強い、色が変わる(女性の場合) など

フォシーガの服用により、尿中の糖が増加し菌が繁殖しやすくなるため、カンジダ膀胱炎などの性器・尿路感染症が起こる可能性があります。

排泄時はウォシュレットを使用するなどして、陰部を清潔に保つことで感染リスクをおさえられるので、フォシーガ服用中は日頃から意識しましょう。

なお、性器・尿路感染症は放置すると症状が悪化し、重大な疾患につながるおそれがあります。
万が一症状があらわれたら、すぐに医療機関を受診してください。

便秘の対処法

フォシーガの服用により便秘になることがあります。

糖を尿から排出する際に一緒に水分も排出するため、体内の水分量が減少してしまうのです。

便秘になった場合は、こまめな水分補給はもちろん、食物繊維乳酸菌といった腸内環境を整える食材やサプリメントを摂取することが大切です。
食物繊維や乳酸菌が豊富な食材を以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

  • 【食物繊維が豊富な食材】
    ごぼう、きのこ類、海藻類、アボカド、大豆、ひじき など
  • 【乳酸菌が豊富な食材】
    キムチ、納豆、ヨーグルト、チーズ、ぬか漬け、味噌 など

頻尿、尿量増加の対処法

フォシーガには利尿作用があるため、服用によって頻尿になったり、尿量が増加したりする可能性があります。

頻尿や尿量増加の症状が起こった場合は、脱水状態にならないよう、こまめに水分補給をしましょう。

ただし、水分補給の際はカフェイン入りの飲料を避け、水や麦茶を飲んでください。
カフェインにも利尿作用があるため、フォシーガと一緒に飲むと相乗効果により脱水が起こりやすくなってしまいます。

また、フォシーガを夜に服用すると尿意で睡眠が妨げられる可能性があるので、朝の服用がおすすめです。

フォシーガの服用中は、普段よりも多く水分補給をして脱水症状を防ぎましょう。

フォシーガの重大な副作用

フォシーガの重大な副作用

フォシーガの重大な副作用は、以下のとおりです。

  • 低血糖
    血糖値が正常な範囲を下回った状態で、冷や汗、意識障害、動悸などの症状が起こります。
  • 脱水
    体に必要な水分や電解質が不足している状態で、免疫力や体の機能に異常が起こります。
  • 腎盂腎炎、フルニエ壊疽、敗血症
    性器や尿路の感染症を放置することで重症化し、感染が腎臓や血液中に広がった状態です。
  • ケトアシドーシス
    血液が酸性に傾いた状態で、吐き気や息切れなどの症状が起こります。
  • 皮膚障害
    発疹や紅斑、かゆみなどのアレルギー症状が皮膚に起こっている状態です。

これらの症状が起こる頻度は非常に低いものの、放置すると命に関わるおそれもあるため、迅速に適切な対処や治療をおこなうことが大切です。

次の項目から、症状や対処法についてひとつずつ解説していきますので、心当たりがある場合や異常を感じた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

低血糖の症状と対処法|手足の震えや冷や汗に注意

低血糖の主な症状は、以下のとおりです。

  • 手足の震え
  • 冷や汗
  • 倦怠感
  • 動悸
  • 意識障害 など

初期症状として、倦怠感や手足の震え、冷や汗などが起こります。

初期症状が起こった場合は、すぐにブドウ糖タブレット糖を含む飲料を摂取して安静にしてください。
ただ、洋菓子やチョコレートは油分が多く、糖の吸収を遅らせて症状を悪化させるおそれがあるので避けましょう。

フォシーガの服用中は、常にブドウ糖を携帯しておくことがおすすめです。

糖を摂取しても回復しない場合や、意識障害が起こるなど重症化した場合は、すぐに医療機関を受診してください。

脱水の症状と対処法|のどの渇きやめまいに注意

脱水の主な症状は、以下のとおりです。

  • のどの渇き
  • めまい
  • 疲れやすい
  • 食欲がない など

症状が軽い場合は、水分補給をおこない安静にすることで回復するケースがほとんどです。

ただし、脱水状態を放置すると血液が濃縮されて血流が悪くなり、脳梗塞のリスクが高まるため、これらの症状が起こったら迅速に対処しましょう。

症状が重い場合は、意識や呼吸に異常が生じたり、全身がけいれんしたりといった症状が起こります。

経口もしくは点滴による輸液などの処置が必要となるため、すぐに医療機関を受診してください。

フォシーガ服用中は、のどが渇いたときや運動後など脱水が起こりやすい状況に注意し、意識的に水分補給をおこないましょう。

腎盂腎炎、フルニエ壊疽、敗血症の症状と対処法

腎盂腎炎、フルニエ壊疽、敗血症の症状は、以下のとおりです。

  • 寒気
  • 発熱
  • わき腹や背中の痛み
  • 関節や筋肉の痛み
  • 陰部の赤みや腫れ

腎盂腎炎、フルニエ壊疽、敗血症は、性器・尿路感染症が重篤化することで発症する疾患です。

性器や尿路で感染した細菌は、放置すると腎臓や血液へ侵入し、炎症を引き起こします。

いずれも致死率の高い重篤な疾患であるため、症状が起こった場合はすぐに医療機関を受診してください。

また、これらの発症を防ぐために、性器・尿路感染症は早期に治療することが大切です。

ケトアシドーシスの症状と対処法|激しいのどの渇きに注意

ケトアシドーシスの主な症状は、以下のとおりです。

  • 激しいのどの渇き
  • 全身倦怠感
  • 息切れ
  • 吐き気や嘔吐
  • 腹痛
  • 意識障害 など

ケトアシドーシスは、過度な糖質制限や脱水の放置が原因で起こります。

血液は本来弱アルカリ性を保っていますが、糖質不足や水分不足が起こるとケトン体という物質が増加し、血液が酸性に傾きます。
これによって吐き気や嘔吐といった症状が起こり、悪化した場合は意識障害や血圧低下、心不全といった命に関わる状態になるのです。

症状が起こった場合は迅速な処置が必要になるため、すぐに医療機関を受診してください。

皮膚障害の症状と対処法|全身の発疹や強いかゆみに注意

皮膚障害の主な症状は、以下のとおりです。

  • 皮膚の乾燥
  • 発疹
  • かゆみ
  • 粘膜のただれ など

皮膚の乾燥やかゆみなど、症状が軽い場合は水分不足が原因であるため、水分補給保湿をおこなうことで改善が可能です。

ただし、全身に発疹が広がったり、我慢できないほど強いかゆみや痛み、ただれなどが起こったりした場合は、過敏症によるアレルギー反応である可能性があります。

過敏症は、免疫系が特定の成分に過剰に反応することで起こります。
重症化すると、皮膚障害だけではなく呼吸困難になるなど命に関わるおそれがあるため、症状が起こったらすぐに医療機関を受診してください。

フォシーガの副作用を防ぐ方法

フォシーガの副作用を防ぐ方法

フォシーガの副作用を防ぐ方法は、以下のとおりです。

  • 過度な糖質制限をしない
  • 普段より500ml以上多く水分を摂取する
  • 陰部を清潔に保ち、トイレを我慢しない
  • 禁忌に注意

フォシーガ服用中は自然と体内の糖の量が減るため、過度な糖質制限を避けましょう。

また、水分不足に備えて、普段よりも多く水分を摂取することが大切です。

その他にも、排尿時の注意や禁忌など、フォシーガの副作用を防ぐためのポイントが多くあります。

フォシーガの副作用を防ぐ方法について次の項目からひとつずつ解説していきますので、服用を検討している方は事前にご確認ください。

過度な糖質制限をしない

フォシーガの服用中は、過度な糖質制限を避けましょう。

過度な糖質制限は、重大な副作用であるケトアシドーシスを引き起こすおそれがあります。

フォシーガ服用中は、糖が尿から排出されるため通常よりも体内の糖が少なくなります。
それに加えて過度な糖質制限をおこなってしまうと、体内の糖が極限まで不足し、ケトアシドーシスの発症につながるのです。

ケトアシドーシスが起こると、脳への酸素供給に障害が起こったり、筋肉や神経の働きが正常にできなくなったりといった異常が起こります。

命に関わる症状なので、ケトアシドーシスを防ぐためにも、フォシーガ服用中の過度な糖質制限は避けましょう。

普段より500ml以上多く水分を摂取する

フォシーガの服用中は、利尿作用により脱水のリスクが高くなっているため、普段より500ml多く水分を摂取してください。

フォシーガ服用中は、平均して1日約400ml尿量が増えると言われています。
通常よりも約400ml水分が足りなくなるため、それを補えるよう、意識的にペットボトル1本分(500ml)の水分を補給しましょう。

とくに、暑い時期や運動後は汗をかくことでさらに水分が不足するため、よりこまめな水分補給が必要です。

フォシーガ服用中は普段よりも多く水分補給をおこない、万が一脱水症状が起こった場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

陰部を清潔に保ち、トイレを我慢しない

フォシーガ服用中は、陰部を清潔に保ち、トイレを我慢しないことが大切です。

フォシーガを服用することで、尿中の糖が増えて陰部に菌が繁殖しやすくなるため、カンジダや膀胱炎といった性器・尿路感染症のリスクが上がります。

そのため、排泄時はウォシュレットを使用して陰部の清潔を保つことで、原因菌の繁殖を防ぎましょう。
また、トイレを我慢すると膀胱炎になりやすくなるため、フォシーガ服用中はなるべく尿意を我慢せず過ごしてください。

万が一症状が起こってしまった場合は、重症化しないようすぐに医療機関を受診してください。

禁忌に注意

以下の方はフォシーガの禁忌となるため、フォシーガを服用できません。

  • フォシーガに配合された成分に対して過敏症の既往歴がある方
  • 糖尿病性昏睡や重症ケトーシス、前昏睡の方
  • 重篤な外傷や重症感染症、手術前後の方

また、このほかにもフォシーガの服用に注意が必要な方や、フォシーガとの併用に注意が必要な医薬品などがあります。

持病がある方や健康状態に不安がある方、現在使用中の医薬品がある方は、フォシーガの飲み方から事前に禁忌事項・注意事項を確認してください。

フォシーガの副作用と対処法を知り、安全に服用しよう

フォシーガは比較的副作用の心配が少ない医薬品ですが、性器・尿路感染症、便秘、尿量の増加などが起こる可能性があります。

これらの副作用は、血液中の糖を排出する作用によって起こるものであり、こまめな水分補給や、陰部の清潔を保つ習慣によって防ぐことができます。

副作用は放置すると重症化するおそれがありますが、症状が軽い段階で適切な処置をおこなうことで回復に向かうケースが多いです。

フォシーガによる副作用や対処法をしっかりと理解して、効果的に活用していきましょう。

フォシーガの副作用に関するよくある質問

フォシーガの副作用に関するよくある質問にお答えします。

SGLT2阻害薬の中で副作用のリスクが低いものはなんですか?

SGLT2阻害薬の中で副作用のリスクが低いものは、カナグルジャディアンスです。

SGLT2阻害薬の有効成分を比較した海外の臨床試験において、カナグルの有効成分であるカナグリフロジンと、ジャディアンスの有効成分であるエンパグリフロジンが、性器カンジダや尿路感染症、ケトアシドーシスの発症率が低いという結果が報告されました。

※参照:Comparative efficacy of sodium glucose cotransporter-2 inhibitors in the management of type 2 diabetes mellitus: A real-world experience

ただし、副作用のリスクが低い分、血糖値改善効果や体重減少効果はフォシーガよりも低いことに注意が必要です。

なお、フォシーガの効果については別の記事で詳しく解説しています。
フォシーガの服用でどのくらい体重が減るのか、効果があらわれるまでの期間はどのくらいかなどを知りたい方はぜひご覧ください。

フォシーガの副作用に眠気はありますか?

フォシーガの副作用に眠気はありません。

フォシーガ服用後に眠気を感じる場合は、低血糖ケトアシドーシスが起こっている可能性があります。

低血糖やケトアシドーシスは、放置すると重症化するおそれがあるため適切な対処が必要です。

眠気は、フォシーガ自体の副作用ではありません。

フォシーガの服用後に眠気を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

フォシーガの副作用で死亡した例はありますか?

フォシーガは副作用が起こりにくい医薬品ですが、極めてまれに服用後の死亡例も報告されています。

ただし、死亡例はもともと持病を抱えていたり、複数の医薬品を使用していたりという特殊なケースであるため、明確にフォシーガが原因であるとは判明していません。

フォシーガは腎臓に負担をかけますか?

フォシーガは慢性腎臓病の治療にも使用されており、腎保護作用があるため、基本的には腎臓に負担がかかることはありません。

※参照:Dapagliflozin and Anemia in Patients with Chronic Kidney Disease

ただし、場合によっては腎臓の働きを示すeGFRが低下し、腎機能障害が悪化するおそれがあります。

そのため、重度の腎機能障害がある方や、末期腎不全の方はフォシーガを服用できません。

腎機能に不安がある場合は、フォシーガ服用前に医師へ相談しましょう。

フォシーガの腎臓への効果については別の記事で詳しく解説しているので、興味のある方はあわせてご覧ください。