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痛風とは

痛風とは

痛風とは、体内の尿酸値が高い状態が続くことで起こる疾患です。

患者数は約60~70万人とされ、痛風予備軍は約600~650万人いるといわれています。
発症確率は40代からが高いとされていますが、最近では20代後半でも痛風発作を引き起こす人が増えています。

痛風は名称どおり風に吹かれただけでも痛みを感じるとされ、そのうちの約95%は男性です。
女性の場合は女性ホルモンの分泌が減少する閉経後に発症しやすくなります。

痛風の症状

痛風の症状

痛風の症状は、主に関節の激しい痛みや腫れです。

関節の痛みは突然起こるのですが、このことを「痛風発作」といい、主に足の親指の付け根あたりの関節が突然痛みだします。

痛風発作が起きてから約1~2時間で赤または紫色ぽく腫れ上がり、熱を持ち硬くなります。
激痛は約24時間でピークに達し、この状態が約2~3日継続、約1~10日ほどで症状が落ち着いてきます。

症状が悪化すると足、足の甲、手首、膝、アキレス腱、といった膝関(しつかん)にも症状があらわれ、まれに発熱、頻脈、倦怠感、悪寒の症状がおこることもあります。

また、痛風患者は、痛風でない人よりもED(勃起不全)を併発する確率が1.5倍高くなるといわれています。

重症化すると?

痛風は痛みや症状、そして「高尿酸血症(体内の尿酸値の数値が高い状態)」を放置することで重症化します。

重症化すると身体のさまざまな部位で尿酸が過剰に蓄積し結晶化され、コブのようなものができます。

この症状を「痛風結節」といい、関節の付近や耳たぶなどの体温の低い(血液の流れが悪い)部位にできやすくなります。
大きさはニキビのような小さいサイズからリンゴほどの大きさになるものまであります。

治療をせずに放っておくと1年以内に再発しやすく、この流れを繰り返すうちに間隔が短くなり重症化してしまい、様々な病気につながったり、腎臓に悪影響を及ぼすことがあります。

尿酸とは

尿酸値とは

尿酸とは食品から供給されるプリン体という物質が体内で分解されたあとにできる老廃物のことを意味します。

尿酸値とは

上述した尿酸の血液中の濃度を数値化したものです。

厚生労働省による尿酸値の定義は、「血液中に存在する尿酸値が7.0mg/dL以下なら正常だが、超えてしまうと高尿素血症」とされています。

尿酸値が8.0mg/dL、9.0mg/dL以上になると腎臓病や糖尿病といった合併症を引きおこしやすくなるといわれています。

尿酸値は血液検査で確認することができます。

痛風でおこりやすい合併症

痛風でおこりやすい合併症

痛風患者の約10~30%の人は合併症を併発しているといわれています。

なかでも生活習慣病が多く、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を併発しやすいです。
内蔵脂肪型肥満と高血圧、高血糖が加わった、メタボリックシンドロームも合併症の1つです。

他にも、結晶化した尿酸が関節障害を引きおこしたのちに腎障害も起こす可能性があります。
尿路や膀胱に尿路結石ができやすくなることがあり、この症状が起こると激しい腹痛や血尿、腰や背中の痛みを引き起こしたりします。

勃起不全

勃起不全

痛風が引き起こす合併症の中にED(勃起不全)があります。

EDと痛風になりやすい人の特徴で共通しているのは「生活習慣病」「動脈硬化」「ストレス」です。これらは血流を悪くします。

痛風が直接的な原因ではありませんが、痛風から合併症を併発することで男性器が勃起するために十分な血液を送れずEDを発症します。

現在、EDは治療薬の普及により高い確率で改善することが出来ますが、合併症を併発している場合がほとんどなため、すべての疾患をしっかりと治療することが大切になります。

痛風の原因

痛風の原因

痛風の主な原因は、腎臓で尿酸の排泄がうまく行われないことや、生活習慣の乱れです。

また、人間関係やプレッシャーによる精神的なストレスや緊張状態が続くと、尿酸が過剰に作りだされてしまい尿酸値を高める原因となります。

予防のためにストレスを発散することははもちろん大事ですが、暴飲暴食や激しい運動は短時間で身体に大きな負荷をかけるため、逆におすすめ出来ません。

やり方しだいですが、筋力トレーニングや短距離走は尿酸値をあげてしまい痛風の発作を起こす原因にもなるのです。

尿酸の過剰分泌

正常であれば体内で作られた尿酸は尿として排泄されます。しかし、過剰に分泌されると尿酸は身体の組織に移行、結晶化してしまい痛風を発症しやすくします。

・皮下脂肪型肥満の人(尿酸排泄機能の低下により過剰に分泌されやすい)
・プリン体の多量摂取

上記にあてはまる人は尿酸を過剰摂取しやすく、痛風の症状が起こりやすくなります。

特に男性は女性と比べると尿酸値が高くなりやすい傾向があるため注意が必要です。
女性の場合、女性ホルモンの中に尿酸を排泄させる作用があるので痛風になりにくいとされています。

腎障害

腎臓は血液中の尿酸をろ過する役割があります。

腎機能に障害が起こると尿酸が体外に排泄されにくくなり、結果、尿酸値が高まり痛風を発症します。

関節に尿酸がたまりやすい痛風ですが、関節の次に症状がおこりやすいのが腎臓です。

腎臓に尿酸がたまってしまうと腎機能が低下し、その後、尿酸はかたまりとなって尿路結石をつくりだします。

痛風の合併症のなかでも腎障害は注意が必要です。

痛風の検査

痛風の検査

痛風の症状に似ている病気は多いため、きちんと区別するためには検査が必要です。

似ている症状を例であげると

・外反母趾
・関節リウマチ
・変形性関節症
・偽痛風

といった病気があります。

これらの病気は自己判断で区別することは難しいとされています。

検査(診断方法)では、尿酸値、関節液の状態、発作や症状を調べ、痛風により関節への症状が出ていないかを診断します。

血液や尿の検査

痛風の診断をするのに血清尿酸血(血液の中の尿酸の量)を調べることは重要となります。

体内の尿酸の量は血液検査を行うことで簡単に調べられ、採血では尿酸値を測定するほかに、肝機能、腎機能、炎症反応、高脂血症、糖尿病、リウマチという合併症をおこしていないかも確認できます。

一般的な健康診断でも尿検査で尿酸を計測し診断結果で確認できます。
「7.0mg/dL以上」の場合は痛風のリスクがある高尿酸血症の状態となりますので注意しましょう。

X線検査や超音波検査

X線検査や超音波検査は痛風なのかそれとも似た病気とを鑑別するために用いられます。

超音波検査では痛みや腫れている部位の反射像を確認し、どれほどの尿酸がたまっているか知ることができます。

他にも

・尿路結石や腹部臓器の腫瘤
・骨や周りの組織の異常(痛風により関節や神経に症状が出るのため)

の確認も行います。

X線検査では

・骨の変形や破壊している部位の有無(慢性の痛風は関節の変形が見られるため)
・尿路に結石が出来ていないかの確認

これらの検査でも痛風なのかどうかを判断します。

痛風の治療と予防

痛風の治療と予防

痛風の治療法は医薬品にて行う方法もありますが、同時に生活習慣の改善がとても大切となります。

医薬品で治療をしたり、日々の生活を改めることで尿酸値を下げ再発を予防することができます。

再発を防ぐことができれば合併症が引きおこされる可能性も低くなります。

尿酸値は長い年月をかけて少しづつ上昇していきます。
何も対策をせず自然と尿酸値を下げることは難しいとされているため早めの対策を心がけるようにしましょう。

参考サイト:
MSDマニュアル 家庭版 痛風