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高齢者の不眠症 - 60代の眠れない原因と対策
年齢とともに睡眠の質は変化していきます。
高齢者の場合、加齢以外にも体内リズムやホルモン分泌の変化、生活習慣に乱れに伴って睡眠時間や睡眠の質は低下します。
しかし、生活習慣の改善や食事、睡眠薬の服用などを意識することで不眠の改善につながります。
この記事では高齢者の不眠症について解説しています。
高齢者特有の眠れない原因や対策についても紹介していますのでぜひ、参考にしてください。
高齢者の不眠症の原因は加齢
高齢者の不眠は老化現象の一つであり、加齢によって起こります。
基礎代謝量が多い人ほど睡眠時間が長い傾向があります。
高齢になると、加齢とともに基礎代謝量が低下するため、睡眠時間も短くなるとされています。
また、日中の活動が減り、日常のメリハリがなくなることや外出が減り、日光に当たる機会が減少することも不眠につながるといわれています。
さらに、認知症やストレス、精神疾患などの病気、生活習慣の乱れなどの影響で眠れなくなる場合もあります。
次項で詳しく解説していきます。
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- 不眠症の症状や種類について解説
認知症による不眠の可能性
不眠の理由として、認知症による不眠が考えられます。
認知症を発症すると眠りが浅くなるとされ、さまざまな睡眠問題が起こります。
夜間の不眠で昼寝が増え、昼夜が逆転して睡眠リズムが乱れてしまうことがよくあります。
なお、しっかりと目が覚めていないもうろう状態(せん妄)が現れやすく、攻撃的になる場合もあります。
■認知症の人の睡眠改善法
・午前中に日光を浴びる
・起きる時間や食事の時間を規則正しく整える
・認知症治療薬の午後以降の服用を避ける
夜間の睡眠の妨げになる原因を減らし、規則正しく生活リズムを保つことを心がけてください。
不眠を引き起こす病気の影響
不眠を引き起こす病気があります。以下の通りです。
・周期性四肢運動、むずむず脚症候群
・睡眠時無呼吸症候群
・レム睡眠行動障害
・うつ病
・排出障害や頻尿
・関節炎や神経痛
どれも深い眠りを妨げる原因になります。
排出障害や頻尿は夜中に何度もトイレで起きてしまうため深い眠りが妨げられ、熟睡できなくなります。
また、生活習慣病を患っている場合も不眠を引き起こすことがあります。
身体に異常を感じた際は、まずは病院で受診してください。
- 関連ページ
- うつ病で眠れないときの睡眠薬の取り入れ方について
60代の不眠症対策
不眠症による対策は以下の通りです。
・朝日を浴びる
・日中の活動量を増やす
・睡眠のメリハリをつける
・就寝前は水分の過剰摂取を控える
・アルコールやカフェイン摂取、喫煙を控える
・眠くなるまで寝室に入らない
睡眠のメリハリを意識して、昼寝は30分以内にしてください。
また、高齢者になると眠れないことへの不安や焦りを感じ、より眠れなくなる場合が多くあります。
年を重ねると睡眠時間が短くなることは、ごく自然なことなので思いつめる必要はありません。
就寝前はリラックして、眠くなってから寝室に入るようにしましょう。
メラトニン分泌を増やして不眠改善
年齢とともにメラトニンの分泌が低下します。
メラトニンの分泌を増やすことで不眠の改善につながります。
■改善法
・適度な運動
・太陽光を浴びる
・強い光は避ける
・メラトニンの分泌を促す食材を食べる
ウォーキングなど軽い運動をするとメラトニンの分泌を促すとともに体内リズムを整えることができます。
さらに、太陽の光を浴びることでより効果的にメラトニンが分泌されるのです。
また、蛍光灯やLEDの強い光はメラトニンの分泌を抑制するため、就寝前は光を調節しましょう。
次項ではメラトニンの分泌を促す食材について詳しく解説していきます。
メラトニンの分泌を促す食材
メラトニンを増やすためには目覚めを促すセロトニンが重要です。
セロトニンは夜になるとメラトニンの原料となるため、必要不可欠なのです。
メラトニンの分泌を促す食材はいくつかあります。以下の通りです。
主成分 | 主な食材 |
---|---|
トリプトファン | 豆・ナッツ類、乳製品、マグロ、カツオ、鮭赤身肉、ごま、バナナ |
ビタミンB6 | キャベツ、玉ねぎ、キウイ、バナナ |
マグネシウム | わかめ、のり、こんぶ、ひじき |
タンパク質 | 卵、肉・魚類 |
炭水化物 | イモ類、米、パン、麺、バナナ |
「トリプトファン」は必須アミノ酸の1つで、セロトニンの材料となる成分です。
自分の体内では作成することができないため、食事からとる必要があります。
これらの食材をバランスよく摂ることで熟睡に導いてくれます。
特に、効果的な食材は3つの栄養素を含むバナナです。
また、セロリやパセリ、三つ葉はストレス解消や精神安定効果があるため日中忙しくてトリプトファンが摂れなかった場合に食べてみてください。
睡眠薬やサプリで不眠改善
高齢者による不眠は、睡眠薬やサプリの服用も改善方法のひとつです。
不眠の治療法としてよく導入されるのは、睡眠薬を使用した薬物療法です。
睡眠薬は種類や効能はさまざまあり、不眠の悩みや体質に合わせて選択する必要があります。
気になる方は、不眠症に効く治療薬一覧をご確認ください。
次項で高齢者におすすめの睡眠薬をご紹介します。
高齢者の不眠症におすすめの商品
主に非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬をよく使用されますが、高齢者の場合は副作用が現れやすく認知機能低下や転倒などのリスクがあるため、リスクが少ない商品を選抜しました。
高齢者におすすめの睡眠薬をご紹介します。
① ルネスタ
特徴:超短時間型で翌日の眠気が残りにくい。
筋弛緩作用が少ない。
② ロゼレム
特徴:依存性や転倒リスクが少ない。
体内リズムを整える働き。
③ ベルソムラ
特徴:即効性があり、依存性や転倒リスクが少ない。
自然な睡眠を促す働き。
④ メラトニンタイムリリース
特徴:主成分に「メラトニン」を含むサプリ。
副作用や依存性の心配がなく、睡眠サイクルを整える働き。
まとめ
ここまで解説してきたポイントをまとめてみました。
・高齢者の不眠症の原因は加齢、体内リズムやホルモン分泌の変化、生活習慣の乱れ
・そのほかにも、認知症や病気の恐れもある
・年齢とともに睡眠時間は短くなる
・メラトニンの分泌を促すことで不眠改善につながる
・睡眠薬やサプリも不眠改善の方法のひとつ
日々、対策を意識することで不眠は改善されます。睡眠薬の服用も含めて、不眠症を改善していきましょう。
よくある質問
ここからは不眠症の高齢者についてよくある質問に答えします。
60代の睡眠時間の目安は?
最適な睡眠時間は人それぞれ異なりますが、60代は6時間程度が睡眠時間の標準とされています。
一方で、床上時間(寝床で過ごす時間)が8時間以上は死亡リスクが上がるとされています。
長く眠ることよりも、よく眠れたと感じることが重要です。
床上時間を意識して、夜は眠くなってから寝室に入るようにしましょう。
高齢者の不眠症の治療法は?
高齢者の不眠症の治療法は生活習慣の改善や薬物療法などがあります。
薬物療法では、不眠症治療薬として睡眠薬が処方されるのです。
高齢者の場合は副作用が現れやすく、認知機能低下や転倒などのリスクがあるため、リスクや体質などを考慮して処方されています。
本サイトでは、副作用が少ないものや安全性の高い睡眠薬を取り扱っております。
メラトニン不足の原因は?
メラトニン不足は加齢が原因のひとつです。
ほかにも、昼間のストレスによる興奮状態が続いていると、ストレスホルモンの影響でメラトニンが十分に分泌されないことがあります。
また、生活習慣の乱れでも体内リズムが狂い、メラトニンの分泌が抑制されます。
昼寝をし過ぎると睡眠リズムが乱れるので注意しましょう。