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メトホルミンは食事しない時に飲んでもいい?
メトホルミンは、食事をしない時に飲まないほうがいい医薬品です。
そのため、メトホルミンと一緒にファスティングや断食などの方法を取り入れる予定の人は、飲み方にちょっとした工夫が必要です。
この記事では、食事をしない時にメトホルミンを飲まないほうがいい理由について詳しく解説し、さらにメトホルミンと食事の関係にも触れています。
メトホルミンと食事には深い関係があるため、食事によるメトホルミンへの影響や気を付けるポイントについて、正しい知識を学んでおきましょう。
メトホルミンはなぜ食事しない時に飲まない方がいいのか
メトホルミンを食事しない時に飲まないほうがいい理由は、空腹時にメトホルミンを飲むことで副作用が出やすくなるためです。
メトホルミンを空腹時に飲むリスクは以下の通りです。
・血糖値が下がり過ぎる
→空腹時はすでに血糖値が下がっているため、メトホルミンを飲むことで血糖値がさらに下がり低血糖を起こす可能性が高くなります。
・下痢や吐き気が起こりやすくなる
→空腹時にメトホルミンを飲むと、メトホルミンの吸収スピードが速いため副作用である消化器症状が出やすくなります。
メトホルミンによる副作用は、食前か食後にメトホルミンを飲むことで出にくくなるため、空腹時にメトホルミンを飲むことは避けましょう。
では、糖尿病治療としてメトホルミンを飲んでいる人であっても、食事を取れない場合はメトホルミンを控えるべきなのでしょうか?
次項で解説していきます。
また、メトホルミンには基本的な飲み方以外にも、ダイエット効果をより高める飲み方が存在します。
メトホルミンの痩せる飲み方については別の記事で詳しく解説していますので、興味のある人はぜひご覧ください。
メトホルミンはシックデイの時は飲まない
シックデイや病気になった時は、メトホルミンを休薬してください。
体調不良により食事や水分補給が満足に取れなくなると、体内の栄養や水分が不足し、血糖値の乱れや脱水といった症状が出やすくなるためです。
そのような状態でメトホルミンなどの血糖降下薬を飲むと、重大な副作用である低血糖や乳酸アシドーシスになる可能性が高くなってしまいます。
また、普段は血糖値が安定している人でも、シックデイのときは血糖コントロールが乱れて糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こす場合があるため、体調の変化に十分注意してください。
食事しない時は、糖尿病治療かダイエット目的かに関わらず、メトホルミンを飲まないようにしましょう。
メトホルミンと他のダイエット方法を組み合わせる場合
一切何も口にしない断食や水だけを口にする水断食を行う場合は、メトホルミンを休薬してください。
断食や水断食を行うことで栄養不良や脱水を起こしやすい状態になるため、メトホルミンを飲むと重大な副作用につながる危険性が高まるのです。
以下の表に、メトホルミンと他のダイエット方法を組み合わせた時の相性をわかりやすくまとめました。
メトホルミンとの相性 | |
---|---|
ファスティング | ◯ |
断食(食事しない時) | ✕ |
水断食(水だけ飲む) | ✕ |
食事制限 | ◯ |
デトックス | ◯ |
ジュースクレンズ | ◯ |
この表から、「栄養分を全く取らなかったり、胃に何も入れなかったりするダイエット方法はメトホルミンとの相性が悪い」ということがわかります。
メトホルミンを飲んでいるときは、完全に食事を抜くことは避けて、ジュースやゼリーでいいので最低限の栄養や水分を摂取してください。
では、次項で実際にメトホルミンとファスティングを組み合わせる時の注意点について解説していきます。
メトホルミンを飲んでいる時にファスティングをするとどうなる?
メトホルミンとファスティングを組み合わせると、副作用が出やすくなります。
どうしても組み合わせる場合は、事前に副作用対策をしておくことでリスクを減らしましょう。
おもな副作用対策は以下の通りです。
・ファスティングする回数を1日のうち1食分のみにして、食事を取る回でメトホルミンを飲む
・全く何も取らないファスティングではなく、食事をスムージーなどに置き換えるファスティングを行う
胃に少しでも何か入れて栄養を取ることで、メトホルミンによる副作用を抑えることができます。
ちなみに、ファスティングと糖尿病の関係については現在も研究がすすめられています。
しかし、ファスティングによって2型糖尿病が改善したという研究もあれば、逆にファスティングは2型糖尿病の発症リスクを高めるという報告もあり、結論はまだはっきりと出ていません。
また、研究はいずれも小規模な試験であったため、ファスティングと糖尿病の関係における結論とするには、データが不足している状況です。
ファスティングは取り入れやすいダイエット方法ですが、糖尿病の人やメトホルミンを飲んでいる人が君あわせる時は、ちょっとした工夫が必要だということを覚えておきましょう。
では、実際にファスティングを行う時、置き換え食として人気なサプリ、プロテインをメトホルミンと併用することはできるのでしょうか?
次項から、メトホルミンとサプリ、プロテインの飲み合わせについて解説していきます。
メトホルミンはサプリやプロテインと併用できる?
メトホルミンをサプリやプロテインと併用することは可能です。
ただし、サプリの種類やプロテインの飲み方によっては、メトホルミンとの併用に注意が必要な場合もあります。
サプリと併用する場合、プロテインと併用する場合について、飲み方や注意点をそれぞれ詳しく解説していきます。
サプリと併用する場合
メトホルミンとサプリは併用可能ですが、含まれている成分によっては、飲み合わせに注意しなければなりません。
例えば、健康食品として有名なグァバ葉ポリフェノールやイチョウ葉エキスは、糖尿病の薬と併用して飲むことで血糖値が下がりすぎる可能性があるといわれています。
ほかにも、キシリトールを含むサプリとメトホルミンを併用する場合、キシリトール自体に便を柔らかくする効果があるため、メトホルミンの副作用である下痢がひどくなることもあるのです。
ちなみに、血糖値を下げる作用のあるクロムという成分が含まれるサプリとメトホルミンを併用した場合、大きな血糖値降下作用は見られますが安全性については実証されていません。
サプリとメトホルミンを併用する場合は、サプリの成分が持つ特徴をしっかりと確認しておきましょう。
また、サプリを置き換え食としたファスティングをしている場合、空腹が収まっていないことが多いため、メトホルミンを飲むと重大な副作用の危険性が高くなります。
サプリはあくまでも足りない栄養を補うものとして使用してください。
プロテインと併用する場合
メトホルミンとプロテインは併用可能ですが、注意点もあります。
プロテインは、食事の前に飲むことで食後の血糖値の上昇を抑える働きがあります。
また、メトホルミンにもプロテインにも筋肉増強の効果があるため、併用することで相乗効果によりさらに引き締まった美しい体型を目指すことができます。
ただし、プロテインをファスティング中の置き換え食としている人は、栄養不足・脱水を起こしやすい状態のため低血糖や副作用に注意してください。
副作用が心配な人は、3食中1食だけファスティングという方法を取り、食事を取る回のみメトホルミンを飲むことがおすすめです。
また、糖尿病治療中の人はプロテインの飲みすぎに注意してください。
実際に、糖尿病治療中の人がパウダータイプのプロテインを多めに飲んでいたところ、腎機能が急激に悪化したという報告があります。
さらに、糖尿病三大合併症のひとつである糖尿病腎症を発症する可能性もあるため、糖尿病治療中の人はプロテインを飲みすぎないようにしましょう。
メトホルミンとプロテインの相乗効果をうまく活用して、より高い効果に役立てたいですね。
メトホルミンと食事の影響
メトホルミンは、今の生活を変えることなく、毎日の食前か食後に飲み続けるだけで痩せていく医薬品です。
さらに、メトホルミンを飲むことに加えてバランスの良い食事と適度な運動をあわせて取り入れると、筋トレとプロテインのような相乗効果による高い効果を期待できます。
これは、2型糖尿病の治療でもダイエットでも共通していますので、興味のある人はぜひ試してみてください。
ただし、「今の生活を変えることなく」というのは、基本的な生活習慣に問題がない、不摂生をあまりしないという人が当てはまる条件です。
そこで、メトホルミンによる効果を発揮させるためにどのようなことに気を付けるべきか、次項で例を挙げながら詳しく解説していきます。
また、メトホルミンを食前に飲む場合と食後に飲む場合の違いについては、別の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
食事量と回数
健康的な生活における食事量は、「消費カロリー≧摂取カロリー」の考え方が推奨されています。
糖尿病治療やダイエットを行う人は、まず自分の1日の消費カロリーを知るところから始めましょう。
食事の回数に関しては、1日の食事量が同じである場合、3食に分けて少量ずつ食べるのと1食で大量に食べるのでは血糖値の上がり方が変わってきます。
1度に大量に食べると血糖値が急上昇し、体がダメージを受けてしまうのです。
つい1度に大量に食べてしまうという人は、適度な食事制限を行うなどの工夫をしましょう。
また、食事回数が少ないとついアメやチョコレートなどの間食で補ってしまいがちになってしまいますが、間食には糖質を含むものが多いため摂りすぎに注意してください。
ただ、糖質を完全にカットしていいかというとそうではありません。
そこで次項では、食事のバランスについて解説していきます。
食事のバランス
食事のバランスは、3大栄養素の比率のことを指します。
食事のバランスにおいて推奨されている比率は、
「炭水化物:たんぱく質:脂質=5:2:3」
とされています。
パーセンテージで表すと、「炭水化物:たんぱく質:脂質=45~60%:10~20%:25~35%」程度です。
近年糖質制限などが注目されていますが、糖質はエネルギー源としてある程度は必要です。
極端な偏食はせず、バランス良く栄養を摂取しましょう。
食事のとり方
食事のとり方では下記のポイントが大切になります。
・よく噛んで食べる
・早食いしない
食事は回数や量、栄養バランスだけでなく、よく噛んでゆっくり食べる事も大切です。
早食いせず、ゆっくり食べることで血糖値の上昇が緩やかになり、急いで食べるよりも臓器への負担も少なくなります。
そして、よく噛むことで満腹中枢が刺激され食欲が抑制されます。満腹感を得やすくなるため食べ過ぎも防止できるのです。
ただし、メトホルミンを飲むにあたって避けなければならない食品も存在します。
次項に一覧をまとめたので、メトホルミンを飲む前に押さえておきましょう。
メトホルミンを飲むときは避けるべき食品
メトホルミンを飲んでいるときに避けるべき食品は以下の通りです。
・アルコール
・まいたけ
・たらこ
・インスタントコーヒー
・らっかせい
・マグロ
・カツオ
・サバ
・レバー(牛・豚・鶏)など
この中で、アルコール以外はニコチン酸(ナイアシン)を多く含む食品になります。
ニコチン酸は、メトホルミンの血糖降下作用を弱めてしまうことがあるため、これらの食品を食べるときは少量に抑えましょう。
また、メトホルミンを飲むにあたり最も避けたいのはアルコールです。
過度のアルコール摂取は、メトホルミンの重大な副作用である乳酸アシドーシスを引き起こす可能性が高くなるためです。
このことから、過度のアルコール摂取はメトホルミンの併用禁忌とされています。
基本的に、糖尿病治療中やダイエット中のときはアルコール摂取を控えたほうが良いとされていますが、メトホルミンを飲んでいるときは特に飲みすぎに注意してください。
まとめ
ここまでこの記事で解説したことをまとめました。
- 食事をしない時はメトホルミンを飲まない
- メトホルミンをサプリやプロテインと併用することは可能
- ただしサプリやプロテインを置き換え食としてメトホルミンを飲むときは注意が必要
- メトホルミンを飲んでいるときは脱水を避けるためにこまめに水分補給をする
- 適度な運動も取り入れる
食事がメトホルミンに与える影響について知識を付けて、健康生活に役立ててください。
Q&A
メトホルミンや食事についてよくある質問にお答えします。
Q.メトホルミンを飲んで食事をしないとどうなる?
A.メトホルミンを飲んで食事をしない場合、低血糖などの副作用が起こる危険性が高まります。
ゼリーやフルーツなど、何か少しでも胃に入れば副作用は起こりにくくなるので、時間がなくても「メトホルミンを飲んで食事を取らない」といった状況は避けてください。
どうしても食事が取れない時はメトホルミンをスキップしましょう。
Q.メトホルミンは間食に効く?
A.メトホルミンには、食欲を抑える効果があります。
そのため、規則正しく栄養バランスの取れた食事にメトホルミンをあわせることで、ダイエット中の間食を減らすことができます。
Q.メトホルミンを飲むだけで痩せる?
A.メトホルミンを飲むだけでは、人によってはダイエット効果を実感しにくいことがあります。
その場合、メトホルミンを継続的に飲み続けることに加え、食事改善や適度な運動を取り入れることでより効果を実感しやすくなります。
ダイエットにおいては、医薬品の力だけに頼るのではなく、健康的な生活への心がけも大切です。