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メトホルミンとフォシーガ併用ダイエットの効果と飲み方
メトホルミンとフォシーガは併用可能で、相乗効果が見込めます。
「併用したら効果は上がるの?」
「併用するときの飲み方は?」
とはいえ、このような疑問をお持ちではないでしょうか。
そこでこの記事では、併用したときの効果や飲み方について、メトホルミンとフォシーガの違いを比較しながら、わかりやすく解説していきます。
メトホルミンとフォシーガを併用するか悩んでいる人や、効率的にダイエットを進めたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
メトホルミンとフォシーガ併用によるダイエット効果
メトホルミンとフォシーガを併用することで得られる効果は、以下の3点です。
・糖分の排出量が増える
メトホルミンとフォシーガは、どちらも余分な糖を体外へ排出する働きがあります。
併用することによって糖の排出量が増加し、体内に糖を蓄積しにくくなるため、体重の減少へとつながるのです。
・筋肉の減少を抑え脂肪燃焼が促進される
フォシーガだけで飲む場合、筋肉を減少させる可能性があります。
しかし、メトホルミンの働きによって筋肉の減少が抑えられ、さらに脂肪燃焼を促進させます。
・空腹感が抑えられる
フォシーガを飲むと、糖を排出する働きにより空腹を感じやすくなります。
しかし、メトホルミンによって食事の満腹感が長続きするため、食べ過ぎを抑えることが可能です。
また、2型糖尿病の患者さんを対象とした研究では、メトホルミンとフォシーガを併用し始めて24週で約2.96㎏減少したという結果もあります。
こういった様々な理由から、メトホルミンとフォシーガを併用することで、より高いダイエット効果を得られるといえるでしょう。
ただし、メトホルミンと他の医薬品の併用は、フォシーガのように相乗効果が見込める飲み合わせもあれば、副作用を引き起こしやすくなる相性の悪い飲み合わせもあります。
メトホルミンとの飲み合わせについては別の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてお読みください。
メトホルミンとフォシーガ併用の飲み方
メトホルミンとフォシーガを併用するときは、食前または食後に1錠ずつ飲みます。
できれば、目覚めてから最初の食事の前か後に一緒に飲んでしまうことがおすすめです。
フォシーガは1日1回だけ飲み、メトホルミンは1日2~3回食前または食後に飲んでください。
メトホルミンだけ、もしくはフォシーガだけで飲む場合、それぞれの飲み方は以下の通りです。
〈メトホルミン〉
ダイエット目的の場合は500mgを1日2~3回、食事の前または食事の後に飲みます。
飲み始めたときと飲む量を増やしたときに副作用が現れやすいため、最初は1回250mgから始めて少しずつ飲む量を増やすことが多いです。
メトホルミンは、効果や副作用の程度に合わせて飲む量を調節できますが、1日に飲める量は最大2250mgまでです。
〈フォシーガ〉
ダイエット目的の場合5mgを1日1回、水かぬるま湯で飲みましょう。
フォシーガの効果は1回の服用で24時間持続するため、1日1回だけ飲みます。
なお、5mgを飲み続けても効果を感じられない場合は、10mgへの増量が可能です。
フォシーガは1日の中でいつ飲んでも構わないのですが、トイレが近くなるので起床後の食事に合わせて飲みましょう。
寝る前に飲むと、就寝中にトイレへ行きたくなって目が覚めてしまいます。
そのため、起床時の食前後にフォシーガとメトホルミンを飲み、そのあとの食事の前後に残りのメトホルミンを飲むようにするのが良いでしょう。
なお、フォシーガの効果については別の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてお読みください。
メトホルミンとフォシーガ併用の注意点
メトホルミンとフォシーガを併用するときの注意点は、以下の通りです。
・低血糖
・食事しない時は飲まない
・脱水症状
メトホルミンとフォシーガは、どちらも血糖値を下げる効果があります。
そのため、併用すると効果が強くなって血糖値が下がりすぎてしまい、低血糖を引き起こす可能性があるのです。
また、食事しない時にメトホルミンやフォシーガを飲む場合も、低血糖を引き起こしやすくなるため、併用するときはとくに注意してください。
そして、脱水症状にも注意が必要です。
フォシーガを飲み始めて1週間程度は尿量が増えるため、体内の水分量が減り脱水を引き起こしやすくなります。
脱水は、メトホルミンの副作用である乳酸アシドーシスを引き起こす要因にもなります。
脱水症状を予防するためにも、こまめな水分補給を意識してください。
食事してから飲むこと、こまめに水分補給すること、こういった注意点に気を付けながらメトホルミンとフォシーガを飲みましょう。
メトホルミンとフォシーガの違いを比較
メトホルミンとフォシーガの違いは以下の通りです。
メトホルミン | フォシーガ | |
---|---|---|
特徴 | 低血糖を起こしにくい | 糖質カット効果が高い |
成分 | メトホルミン | ダパグリフロジン |
分類 | ビグアナイド系経口血糖降下剤 | 選択的SGLT2阻害剤 |
作用機序 | ・肝臓での糖新生を抑制する | 腎臓でのグルコースの再吸収を抑制し、尿中への糖の排泄を促す |
・末梢(筋肉や脂肪など)での糖の利用を促進する | ||
・腸での糖の吸収を抑制する | ||
注意 | 下痢、吐き気 | 脱水症状 |
メトホルミンとフォシーガの大きな違いは、作用機序です。
作用機序に違いがあるため、併用しても副作用が重複しにくく、相乗効果で血糖値を大きく下げてくれます。
ただし、血糖値を下げる効果が強まるため、低血糖の症状には注意してください。
次の項目ではメトホルミンとフォシーガについて、それぞれ詳しく解説していきます。
メトホルミンとは
メトホルミンは、ビグアナイド系に分類される経口薬で、2型糖尿病の治療に使用されます。
肝臓での糖新生を抑制する働き、末梢で糖利用を促進する働き、腸での糖吸収を抑制する働きによって血糖値を下げる効果を発揮します。
また、メトホルミンを飲むとGLP-1の分泌量が増加するため、過剰な食欲を抑制する効果も得られるのです。
なお、主な副作用は下痢や吐き気などの消化器症状です。
重大な副作用には、乳酸アシドーシスなどがあります。
とはいえ飲み方を守っていれば、メトホルミンは重大な副作用である低血糖を引き起こしにくく副作用も少ない医薬品です。
フォシーガとは
フォシーガは、SGLT2阻害薬に分類される経口薬で、糖尿病の治療に使用されます。
また、1型糖尿病や2型糖尿病の治療だけではなく、慢性心不全や慢性腎不全の治療にも使用される医薬品です。
フォシーガは、腎臓での糖の再吸収を抑制して尿中に糖を排出することで、血糖値を下げる効果を発揮します。
その他にも、利尿作用や腎保護作用があることが分かっています。
なお、メトホルミンとは異なり食欲を抑制する効果はありません。
フォシーガの主な副作用は低血糖と尿路感染症、性器感染症です。
フォシーガの副作用については、別の記事で詳しく解説しています。
安全に使用するため、こちらもあわせてご確認ください。
メトホルミンとフォシーガはどっちがいい?
短期間で体重を落としたい人はフォシーガ、副作用を抑えたい人はメトホルミンがおすすめです。
他にも、それぞれ以下のような人におすすめです。
〈メトホルミン〉
・食事制限が難しい人
・ダイエットを急いでいない人
〈フォシーガ〉
・ダイエット効果の強いものを求めている人
・むくみが気になる人
メトホルミンとフォシーガは、それぞれ異なる作用機序によって血糖値を下げる効果や、食欲抑制効果、利尿作用などを発揮します。
求める効果や目的、ダイエットにかけられる期間にあわせて使い分けましょう。
もちろん、ダイエットに時間をかけたくない人には、メトホルミンとフォシーガの併用がおすすめです。
なお、フォシーガ単体でのダイエットについて、別の記事で詳しく解説しています。
こちらもあわせてお読みください。
まとめ
ここまでにお伝えしたことのポイントをまとめました。
- メトホルミンとフォシーガは併用可能
- メトホルミンとフォシーガの併用は低血糖と脱水に注意
- メトホルミンとフォシーガは作用機序が違うため副作用が重複しにくい
メトホルミンとフォシーガは、併用することでより高いダイエット効果が期待できます。
また、メトホルミンとフォシーガのどちらかだけを飲む場合は、求める効果や目的に合わせて使い分けましょう。
Q&A
メトホルミンとフォシーガについてよくある質問にお答えします。
Q.フォシーガは健康診断前に飲んではいけない?
A. フォシーガは、健康診断の前は休薬する必要があります。
フォシーガは尿中に糖を排出する働きがあり、フォシーガを飲んでいるときに尿検査をすると尿糖+と出てしまいます。
これによって、糖尿病ではなくても糖尿病であるという検査結果が出てしまうのです。
そのため、健康診断で尿検査がある場合は、検査前の1週間程度はフォシーガを休薬してください。
Q.メトホルミンはどのくらい痩せる?
A. メトホルミンは、飲み始めてから54週間後に1.2㎏の体重減少が認められたという試験結果があります。
ただ、メトホルミンを飲み始めてから痩せるまでにかかる時間は個人差があり、一定期間継続して飲むことが重要です。
さらに、ダイエット効果を高めるためには、他の医薬品との併用や適度な運動、栄養バランスのとれた食事などを取り入れてみましょう。
Q.フォシーガと併用できる医薬品は?
A. フォシーガは、メトホルミンやリベルサスなどと併用できます。
なお、フォシーガに併用禁忌薬はありません。
しかし、以下の医薬品との併用には注意が必要です。
①他の糖尿病治療薬
②血糖値を下げる作用を増強する医薬品
③血糖値を下げる作用を減弱する医薬品
④利尿薬
⑤リチウム製剤
メトホルミンとリベルサスは、①の糖尿病治療薬に該当するため、併用するときは体調の変化に十分注意しましょう。