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メトホルミンを飲むと吐き気がする?気持ち悪いときの対処法

メトホルミンを飲むと吐き気がする?気持ち悪いときの対処法

メトホルミンを飲むと吐き気の症状が起こることがあります。

メトホルミンによる吐き気は一過性で軽度なことが多いのですが、まれに重大な疾患の初期症状の場合もあるため、正しい知識を身に着けておくことが大切です。

そこで今回は、
「なぜメトホルミンで吐き気が起こるのか?」
「メトホルミンを飲むとなんとなく気持ち悪い」
「いつまで吐き気が続くのか?」
といった疑問や不安を抱えた人に向けて、メトホルミンと吐き気の関係について徹底解説していきます。

メトホルミンによる吐き気

メトホルミンによる吐き気

吐き気は、メトホルミンによる副作用のひとつです。

メトホルミンによる副作用では、吐き気を含む下痢や腹痛などの消化器症状がよく起こるとされています。
その中でも、吐き気は下痢に次いで2番目によくある症状で、メトホルミンを飲むことで吐き気が起こる確率は15.4%となっています。

では、このメトホルミンによる吐き気は、症状が出始めてからいつまで続くのでしょうか?
次の項で解説していきます。

なお、吐き気の症状を含めたメトホルミンによる副作用全般について、別の記事で詳しく解説しています。
メトホルミンを飲むと、吐き気以外にもさまざまな副作用が現れることがあるため、ぜひこちらもあわせてお読みください。

メトホルミンによる吐き気はいつまで続くのか

メトホルミンによる吐き気はいつまで続くのか

メトホルミンによる吐き気などの消化器症状は、一過性で軽度である場合がほとんどです。

そのため、症状が出始めてから1~2週間程度で改善するといわれています。
また、メトホルミンを飲み続けることで体が慣れていき、症状が軽減するというケースも多いです。

しかし、吐き気はメトホルミンの重大な副作用である乳酸アシドーシスの初期症状である場合もあります。
乳酸アシドーシスは、進行すると命に関わる危険な疾患です。

自分の症状がただの副作用なのか、乳酸アシドーシスの初期症状なのかをしっかりと判別することは難しいため、不安があればすぐに医療機関を受診しましょう。

では、実際にメトホルミンを飲んで吐き気の症状が起きた場合どのように対処すればよいのでしょうか?
次の項で分かりやすくまとめました。

メトホルミンによる吐き気の対処法

メトホルミンによる吐き気は、メトホルミンを飲み続けて様子を見ることが一般的な対処法です。
このとき、吐き気止めなどの市販薬は使用しないでください。

メトホルミンによる消化器症状は、メトホルミンを飲み続けることで体が慣れることが多いため、症状が軽ければ改善するまで様子を見ましょう。

また、吐き気の症状が出ている場合でも、食事や水分は必ず摂ってください。
胃に負担のかからない消化の良いものを少しずつ食べて、栄養を摂取することが大切です。

メトホルミンによる吐き気の症状が重い場合、メトホルミンの量を減らしたり飲むことを中止したりすることでも改善はします。

ただし、糖尿病治療としてメトホルミンを飲んでいる人は、自己判断でメトホルミンを減薬・休薬しないでください。
必ずかかりつけの医師に相談し、指示に従いましょう。

その他の吐き気を抑える方法は以下の通りです。

メトホルミンによる吐き気の対処法

・レモン水、お茶、氷水、炭酸水でうがいする
→ 口の中を清潔にさっぱりさせることで、吐き気を抑えることができます。

・横向きで寝て安静にする
→ 顔を横向きにすることで、万が一嘔吐しても、吐いたものが喉から気管に入ることを防ぐことができます。

・背中をさすってもらう

・窓を開けて空気を入れ替える

・意識的に深呼吸をする

・内関というツボを押す
→ 気持ち良い程度の強さで、ゆっくり深呼吸しながら親指で押すと効果的です。

・食事は冷ましてから食べる
→ 食事のにおいで吐き気が起こる場合、冷ましてから食べるとにおいが気になりにくくなります。

メトホルミンによる吐き気はなぜ起こるのか

メトホルミンによる吐き気はなぜ起こるのか

では、次にメトホルミンによる吐き気が起こる原因について解説していきます。

実は、メトホルミンによって起こる消化器症状の正確なメカニズムはいまだに不明です。
現在は以下の現象が原因として挙がっています。

・小腸からの糖の吸収を抑制する際に起こる腸内フローラの変化
・ブドウ糖代謝の変化
・セロトニン腸分泌の刺激
・胆汁酸塩の吸収不良

なお、これらの原因がひとつずつ単体で消化器症状を起こしていることもあれば、いくつかの原因が組み合わさっていることもあると考えられています。

ただし、「メトホルミンを飲み続けても吐き気の症状が続いている」、「症状が重くつらい」という場合は、上記以外の原因が考えられます。

どのような原因があるのか、次の項で紹介します。

メトホルミンによる吐き気が続く場合

メトホルミンによる吐き気が続く場合

・メトホルミンを飲み続けてもなかなか吐き気が治まらない
・吐き気だけではなく、激しい嘔吐1日に複数回の下痢がある

このような症状が起きている場合、メトホルミンの重大な副作用である乳酸アシドーシスの可能性があります。
乳酸アシドーシスを発症している場合、適切な検査と治療が必要であるため、心当たりがある人はすぐに医療機関を受診してください。

また、糖尿病とも関係のない、胃腸炎などの一般的な病気に由来して吐き気が起こっている可能性もあります。
この場合でも、原因によっては迅速な治療が必要になることもありますので、不安な症状や特徴があれば医療機関を受診しましょう。

糖尿病治療中の人の場合は、糖尿病による吐き気が起こっている可能性が考えられます。
糖尿病による吐き気について、次の項から詳しく解説します。

糖尿病で吐き気の症状がおこる?

糖尿病で吐き気の症状がおこる?

糖尿病によって起こる吐き気の原因は、主に以下の通りです。

・糖尿病治療薬の副作用
・低血糖症状/高血糖症状
・糖尿病性ケトアシドーシス
・胃不全麻痺
 など

これらの原因について、それぞれの原因や吐き気以外の症状をひとつずつ分かりやすく紹介していきます。

糖尿病治療薬の副作用

糖尿病の治療においては、血糖管理を行うときにさまざまな血糖降下薬を使用します。

その中でも、メトホルミン以外では、GLP-1受容体作動薬、αグルコシダーゼ阻害薬の2種類が吐き気の副作用が多い医薬品として知られています。

これらの医薬品を使用して吐き気が起こった場合でも、軽度であれば様子を見ることが一般的ですが、症状が重い、不安があるといった場合はすぐに医師に相談しましょう。

低血糖症状/高血糖症状

血糖値が下がり過ぎたり、上がり過ぎたりすると、吐き気を引き起こすことがあります。
血糖値が下がりすぎた状態は低血糖、上がりすぎた状態は高血糖と呼ばれ、どちらも深刻な症状です。

低血糖・高血糖が起こる原因は以下の通りです。

・低血糖の場合
→ 低血糖によるエネルギー不足や、血糖値を改善しようとする作用が効きすぎていることが原因。

・高血糖の場合
→ 糖尿病性ケトアシドーシスが原因。正常な血糖値は99mg/dL以下だが、血糖値が500mg/dL以上になることもある。

低血糖による吐き気が起こったら、すぐにブドウ糖(10g)砂糖(20g)を摂取してください。
この場合、ブドウ糖を含むコーラやポカリスエットなどのジュースを150~200ml飲むことも効果的です。
また、洋菓子やチョコレートは、油分が多く糖分がすぐに吸収されないため低血糖改善にはおすすめできません。

低血糖による吐き気は、低血糖症状の中でも軽い症状です。
重症化を防ぐためにも、吐き気が起こったら落ち着いてすぐに対処しましょう。

高血糖の原因である糖尿病性ケトアシドーシスについては、次の項目で詳しく解説します。

糖尿病性ケトアシドーシス

重度の吐き気を感じた場合、糖尿病性ケトアシドーシスの可能性があります。

糖尿病性ケトアシドーシスの主な症状は以下の通りです。

・高血糖
・口が渇く
・吐き気
・嘔吐
・腹痛
・脱力感
・フルーティーな香りの息

これらの症状が進行し重篤化すると、意識障害や呼吸困難に陥ります。

糖尿病性ケトアシドーシスは、1型糖尿病を発症したときや、1型糖尿病、膵臓全摘後などでインスリンが枯渇している人がインスリンを自己中断したときなど、インスリン作用が極度に低下した場合に起こります。

インスリンが絶対的に枯渇している1型糖尿病に多く見られる疾患ですが、2型糖尿病においても起こる可能性はあるため、疑わしい症状が出たらすぐに医療機関を受診しましょう。

胃不全麻痺

胃不全麻痺とは、胃の動きが悪いために胃の中に入った食物を空にする働きが通常よりも遅くなる状態のことです。

主な症状は以下の通りです。

・胃の膨満感
・食後の満腹感
・吐き気
・胸のむかつき
・食欲低下

胃不全麻痺になる原因は、腸管神経の損傷ウイルス感染、手術の合併症、糖尿病による自律神経障害などが挙げられます。

胃不全麻痺の場合、糖尿病と同じく治すというよりも管理することが基本となるため、胃不全麻痺と診断されたら服薬と食事療法で慢性的な症状を和らげましょう。

ここまで、メトホルミンや糖尿病による吐き気の症状の原因について詳しく紹介してきました。

では、そもそも吐き気を事前に予防する方法はあるのでしょうか。
次の項では、メトホルミンによる吐き気の予防法について紹介していきます。

メトホルミンによる吐き気の予防法

メトホルミンによる吐き気の予防法

メトホルミンによる吐き気の予防法は以下の通りです。

・メトホルミンを少量から飲み始めて徐々に増量していく
→ メトホルミンを少量から飲んで体を慣れさせていくことで、副作用が出にくくなります。

・1回分の飲む量を250㎎にする
→ 1回500㎎以上飲んでいて吐き気がひどい場合は、1回分の量を250㎎にすると症状が改善することがあります。

・食後に飲む
→ 食後にメトホルミンを飲むことでメトホルミンの吸収スピードが遅くなるため、副作用が出にくくなります。

・アルコールと一緒に飲まない
→ アルコールと一緒にメトホルミンを飲んでしまうと、副作用が強く出る、乳酸アシドーシスを引き起こす原因になるなどの危険があります。

・他の医薬品との飲み合わせを見直す
→ 併用している医薬品によって副作用が強く出ている可能性があります。
不安な場合は医師や薬剤師に相談してください。

メトホルミンで吐き気はないけど気持ち悪いとき

メトホルミンで吐き気はないけど気持ち悪いとき

メトホルミンを飲むことで、「吐き気までは起こらないけどなんとなく気持ち悪い」、「体の調子が悪い」ということが起こる場合もあります。

実は、メトホルミンによる気持ち悪い感覚や体の不調の原因には、吐き気のほかにもこれらの症状が挙げられます。

・下痢
・嘔吐
・胃もたれ
・眠気
・めまい

これらの症状について、ひとつずつ解説していきます。

下痢

下痢は、メトホルミンの副作用として吐き気よりも多く見られる症状です。

吐き気と同じく、下痢の症状も1~2週間で治まることが多いため、メトホルミンを飲み続けながら様子を見ましょう。

嘔吐

嘔吐も、メトホルミンの副作用のひとつです。

嘔吐してしまった場合は、まず顔を横向きにして横になり、少し落ち着いたら水分カリウムを摂取しましょう。

ぬるま湯や経口補水液、味噌汁の上澄みを少しずつ飲むことがおすすめです。
オレンジジュースなどの柑橘系の飲料や牛乳などの乳性飲料は、嘔吐を誘発しやすいため飲むことを控えてください。

また、糖尿病の人の場合は、糖尿病性ケトアシドーシスによって嘔吐している可能性もあるため、体調の変化には十分注意しましょう。

胃もたれ

胃もたれも、発現率0.09%と頻度は低いもののメトホルミンの副作用のひとつです。

実際にメトホルミンを飲んだ人に口コミでも、胃もたれについて言及されていることがあります。

メトホルミンによって吐き気と胃もたれの症状がある場合は、常温の水や白湯、リンゴジュース、経口補水液を飲むことがおすすめです。
反対に、コーヒーや緑茶などのカフェインや冷たい飲み物は、胃を刺激するため飲むことを控えましょう。

眠気

メトホルミンを飲むと、眠気が起こることがあります。
眠気も、発現率1%未満と頻度としては少ないものの、メトホルミンの副作用のひとつです。

また、食後に耐えられないほど眠くなるという場合は血糖値スパイクの可能性があります。

血糖値スパイクとは、食後の血糖値が急上昇したあとに急降下する現象のことを指します。
血糖値スパイクが起こる原因は以下の通りです。

・空腹時に大量の糖質を短時間で摂取する
・食べ過ぎ、飲み過ぎ、早食いの習慣がある
・過度なストレスや睡眠不足
・肥満
・すい臓の機能低下

心当たりがある人は、生活習慣を見直す、定期的に健康診断を受けるなどの方法で改善していきましょう。

めまい

めまいもメトホルミンの副作用のひとつです。
起こる頻度は1~5%といわれています。

また、吐き気を放置していたらめまいが起こり始めたという場合、低血糖の可能性もあります。
低血糖によるめまいであれば症状が重度まで進行しているため、すぐにブドウ糖を摂取するなどして対処をし、不安があれば医療機関を受診してください。

まとめ

この記事でここまで解説したことをまとめました。

  • 吐き気は、メトホルミンの副作用
  • 糖尿病による吐き気の場合もある
  • 低血糖による吐き気の場合もある
  • メトホルミンによる消化器症状は一過性で軽度なものが多く、一般的に1~2週間程度で改善するとされている
  • メトホルミンを少量から飲み始めて徐々に増量していくことで副作用が出にくい。
  • 自己判断でメトホルミンの量を減らしたり中止したりすることは危険。
  • 低血糖による吐き気はブドウ糖を摂取する

メトホルミンを飲むときは副作用についての知識をつけて、安全に使用し自身の健康生活に役立ててください。

Q&A

Q&A

メトホルミンと吐き気についてよくある質問にお答えします。

Q.メトホルミンは食事をしない時に飲んでもいいか?

A. メトホルミンは、食事をしない時は飲むことを控えてください。

栄養不良状態や脱水になりやすい状態でメトホルミンを飲んでしまうと、乳酸アシドーシスを起こす可能性が高くなります。

Q.メトホルミンや糖尿病以外の吐き気の原因は?

A. メトホルミンや糖尿病以外で考えられる吐き気の原因は以下の通りです。

・胃腸炎などの感染症
・胃がんなどの胃の病気
・逆流性食道炎
・腸閉塞などの腸の病気
・膵炎、胆嚢炎
・肝炎
・脳腫瘍などの脳の病気
・メニエール病
・ストレス
・妊娠時のつわり など

これらの原因の中には、糖尿病の人がかかりやすい疾患もあります。
糖尿病の人は、自身の体調の変化に十分注意し予防に努めてください。