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ゼニカルとメトホルミンの併用について|違いを比較解説
ゼニカルとメトホルミンは、併用可能な医薬品です。
「併用ってどうなの?」
「併用するときはどう飲むの?」
「併用したら危険じゃないの?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、併用したときの効果や飲み方、注意点について、ゼニカルとメトホルミンの違いを比較しながら解説しています。
ゼニカルとメトホルミンを併用するか悩んでいる人は、ぜひ最後までご覧ください。
ゼニカルとメトホルミンの併用で得られる効果
ゼニカルとメトホルミンを併用すると、以下3つの効果が得られます。
・脂質の吸収を抑制する
・糖質の吸収を抑制する
・過剰な食欲を抑制する
ゼニカルとメトホルミンの併用によって、皮下脂肪の原因となる脂質と糖質の両方をカットできます。
さらに、メトホルミンには食欲を抑制する効果もあるため、より高いダイエット効果をもたらすのです。
他の医薬品とメトホルミンの併用は、ゼニカルのように相乗効果を発揮する飲み合わせもあれば、逆に副作用を引き起こしやすくなる相性の悪い飲み合わせもあります。
メトホルミンの飲み合わせについては、別の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
ゼニカルとメトホルミンを併用するときの飲み方
ゼニカルとメトホルミンを併用するときの飲み方は、食後にメトホルミンとゼニカルを一緒に飲むか、食前にメトホルミンを飲んで食後にゼニカルを飲みましょう。
ゼニカルとメトホルミンの併用による体重への影響を調べた研究においても、同時または順番に飲むことで効果を測定しています。これを参考に同時または順番に1錠ずつ飲みましょう。
同時か順番かは、併用するときの飲み方について明確に定められているわけではないため、どちらを選んでも大丈夫です。
次の項目では、ゼニカルの飲み方、メトホルミンの飲み方を順番に紹介しているので、あわせて確認しておきましょう。
ゼニカル単体での飲み方
ゼニカルを単体で飲む場合の飲み方は、以下の通りです。
・1回1錠(120mg)
・1日最大3錠まで
・食事中または食後1時間以内に飲む
ゼニカルは食事内容に合わせて飲めるので、脂質が少ない食事のときは飲まなくても問題ありません。
そのときの食事内容から飲むかどうか判断しましょう。
また、1回に120mg以上飲んでも効果は強くなりません。
飲み過ぎは副作用を引き起こしやすくなることも懸念されるため、1回の用量以上は飲まないでください。
なお、ジェネリック医薬品では1錠に含まれる有効成分の量が、60mgと120mgのものがあります。
食事内容に合わせて判断することと、用法用量を守ってゼニカルの効果をしっかり得られるようにしましょう。
メトホルミン単体での飲み方
メトホルミンを単体で飲む場合の飲み方は以下の通りです。
・500mgを1日2~3回
・食前または食後に飲む
ただ、飲み始めたときと飲む量を増やしたときは副作用が現れやすいため、最初は250mgから始めて少しずつ増量していきます。
また、メトホルミンを飲むときは食前と食後のどちらでも問題ありません。
しかし、食事を取らないときに飲む場合は、副作用が現れやすくなるので注意してください。
なお、メトホルミンは効果や副作用の程度によって飲む量を調節できますが、1日の最大量である2250mgを超えて飲んではいけません。
用法用量を守って正しく飲みましょう。
ゼニカルとメトホルミン併用の注意点
ゼニカルとメトホルミンを飲むときの注意点は、主に以下の3つです。
・1日の最大量以上飲まないこと
・油漏れと下痢
・ビタミン不足
1日の最大量を超えて飲んでしまうと、副作用を引き起こしやすくなる可能性があります。
ゼニカルの1日に飲める量は最大3錠まで、メトホルミンは最大2250mgまでです。
副作用を防ぐため、用量を必ず守ってください。
そして、ゼニカルとメトホルミンはどちらも副作用に下痢の症状があります。
さらに、ゼニカルには油漏れという特有の症状もあるため2つが重なると、便意のコントロールが難しくなったり排便回数が増えたりすることが考えられます。
また、ゼニカルを飲んでいるとビタミン不足になりやすいです。
これは、ゼニカルの脂肪の吸収を抑制する効果によって、脂溶性ビタミンの吸収まで阻害されてしまうからです。
ビタミンが不足するとビタミン欠乏症を引き起こす可能性があります。
そのため、マルチビタミンを飲むなどの対策が必要です。
これらの注意点に気を付けて、安全にゼニカルとメトホルミンを飲みましょう。
ゼニカルとメトホルミンの違いを比較
はじめに、ゼニカルとメトホルミンの違いを比較した以下の表をご覧ください。
ゼニカル | メトホルミン | |
---|---|---|
分類 | 脂肪吸収阻害薬(リパーゼ阻害薬) | ビグアナイド薬 |
有効成分 | オルリスタット | メトホルミン |
適用 | 肥満症 | 2型糖尿病 |
作用機序 | ・リパーゼ(消化酵素)の働きを阻害し、脂肪を体内に吸収されにくくする ・分解できなかった脂肪は体内に吸収せず、便として排出する |
・肝臓での糖新生を抑制と余分な糖の排泄を促すことで血糖値を下げる ・脂肪燃焼を促進する ・GLP-1ホルモンの分泌量増加によって過剰な食欲を抑制する |
効果 | 脂肪の吸収を抑制する | ・血糖値を下げる ・代謝を上げる ・食べ過ぎを防止する |
主な副作用 | ・油漏れ ・放屁増加 ・下痢 ・脂肪便 ・排便回数の増加 ・便意をコントロールできない ・ビタミン不足 |
・下痢 ・吐き気 ・食欲不振 ・腹痛 |
重大な副作用 | ・重い肝機能障害 ・腎機能障害 ・胆石症 |
・乳酸アシドーシス ・低血糖 ・重い肝機能障害、黄疸 ・横紋筋融解症 |
ゼニカルとメトホルミンの主な違いは作用機序、効果、副作用です。
共通点としてはダイエット効果が挙げられます。
ゼニカルは、脂肪の吸収を抑制し、分解されなかった脂肪を便として排出することで摂取カロリーを抑えます。
そしてメトホルミンは、血糖値を下げる効果と代謝を上げる効果により体に糖を蓄積しにくくするのです。
さらに、メトホルミンには食欲抑制効果もあり、食事量が自然に減らせるため体重減少につながります。
ゼニカルとメトホルミンの併用は、異なる作用機序と効果によって、無理なく体重減少を目指せる飲み合わせなのです。
ゼニカルとメトホルミンはどっちがいい?
短期間で体重を減らしたい人や、脂質の多い食事をしている人はゼニカルがおすすめです。
一方、ダイエットを急いでいない人や糖質の多い食事をしている人、食欲を抑えたい人はメトホルミンが向いています。
ゼニカルは脂肪の吸収を抑えることで、体重減少や体型維持の効果が期待できます。
また、他の減量に使用する医薬品と違って便の様子が変わる症状以外は、心身への影響や副作用が少ないという特徴もあります。
そして、メトホルミンも単体で使用する場合は低血糖を引き起こしにくく、安全性の高い医薬品です。
食欲を抑制する効果もあるため、食事制限をしなくても無理なく体重減少が目指せます。
メトホルミンに関しては糖尿病の治療薬ですが、健康な人がダイエット目的で飲んでも体に害はありません。
ゼニカルとメトホルミンのどちらがいいかに関しては、求める効果やダイエットにかけられる期間、普段の食事内容に合わせて選ぶといいでしょう。
どちらの方が痩せる?
ゼニカルとメトホルミンの痩せる効果を比較すると、ゼニカルの方が体重減少効果は高いでしょう。
海外の臨床試験において、ゼニカル120mgを1年間継続して飲んで6.1kgの減量に成功したという結果があります。
この試験を受けた1,561人のうち元の体重から5%以上減った人は45.3%、10%以上減った人は20.2%でした。
また、ゼニカルは飲み始めて2~3週間程度で体重が減少し始めるといわれています。
一方でメトホルミンは、国内の試験において飲み始めてから26週で体重減少が確認されました。
さらに54週間(約1年)継続して飲んだところ、1.2kgの体重減少という結果があります。
臨床試験の結果からは、ゼニカルの方が短期間で体重減少が望めるといえるでしょう。
ただし、どちらも効果を実感するまでにかかる期間には個人差があるため、一定の期間継続して飲むことが必要です。
なお、ゼニカルを使用したダイエットについては、別の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。
まとめ
ゼニカルとメトホルミンの併用についてまとめると、以下の通りです。
- ゼニカルとメトホルミンは併用可能
- 併用するとダイエット効果がアップ
- ゼニカルとメトホルミンの違いは作用機序、効果、副作用
- ゼニカルとメトホルミンを飲むときは副作用(油漏れと下痢)やビタミン不足に注意
ゼニカルとメトホルミンの併用は作用機序の違いから、異なるアプローチでダイエット効果を高めてくれます。
ただ、いずれも効果を実感するまでにかかる時間は個人差があるため、一定期間継続して飲むことが大切です。
Q&A
ゼニカルとメトホルミンについてのよくある質問にお答えします。
Q.ゼニカルの「油漏れ」とは?
A. 油漏れはゼニカルのよくある副作用のひとつで、体内で吸収しきれなかった脂肪が漏れてしまう症状のことです。
脂肪は無意識に排泄されるため、完全に防ぐことは難しいとされています。
対策としては、油漏れの量を減らすために脂質の少ない食事を選んだり、油を吸収する紙おむつやナプキンを使用したりするなどが挙げられます。
Q.メトホルミンはダイエット薬?
A. メトホルミンはダイエット薬ではありません。
メトホルミンは2型糖尿病の治療薬です。
食べ過ぎを防止する、血糖値を下げる、代謝が上がるなどの効果が体重減少につながると考えられるため、ダイエット効果も期待できます。
なお、ダイエット目的でメトホルミンを飲む場合は自由診療になります。
Q.メトホルミンとフォシーガとゼニカルは併用できる?
A. メトホルミン、フォシーガ、ゼニカルは併用が可能です。
メトホルミンやフォシーガ、ゼニカルは、いずれも異なる作用機序によって体重減少が期待できます。
そのため、併用によりさらなる相乗効果が見込めるのです。