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メトホルミンとエクメットの違いを比較解説

メトホルミンとエクメットの違いを比較解説

メトホルミンとエクメットは、どちらも2型糖尿病の治療薬ですが、いくつかの違いがあります。

とはいえ
「メトホルミンとエクメットには具体的にどんな違いがある?」
「効果の強さは?」
「2つは併用できる?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか。

この記事では、メトホルミンとエクメットの違いを比較しながら、これらの疑問にお答えしていきます。

メトホルミンとエクメットのどちらがいいか悩んでいる人や、併用するか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

メトホルミンとエクメットの違いを比較

メトホルミンとエクメットの違いを、表にまとめて比較してみました。

メトホルミン エクメット
分類 ビグアナイド薬 DPP-4 阻害薬/ビグアナイド薬
有効成分 メトホルミン ビルダグリプチン
メトホルミン
商品名 メトグルコ
グリコラン
メルビン
エクメット配合錠
作用機序 ・肝臓での糖新生を抑制する
・末梢(筋肉や脂肪など)での糖の取り込みと利用を促進する
・腸管での糖の吸収を抑制する
・肝臓での糖新生を抑制する
・末梢(筋肉や脂肪など)での糖の取り込みと利用を促進する
・腸管での糖の吸収を抑制する
・DPP-4 の働きを阻害しGLP-1の血中濃度を高めてインスリン分泌を促進する
・DPP-4 を阻害してグルカゴン分泌を抑制する

メトホルミンとエクメットの大きな違いは、有効成分であるビルダグリプチンの有無です。
そのため、メトホルミンとエクメットは作用機序が異なり、副作用効果にも違いがあります。

また、エクメットは1錠にビルダグリプチンとメトホルミンの2つの有効成分が含まれている配合薬です。

そして、メトホルミンは有効成分の名称で、エクメットは商品名という違いもあります。
メトホルミンの商品名は先発薬のメトグルコが有名です。

次の項目ではメトホルミン、エクメット、ビルダグリプチンについてそれぞれ詳しく解説していきます。

メトホルミンとは

メトホルミンは、ビグアナイド系に分類される糖尿病治療薬で、2型糖尿病の治療に使用されます。
先発薬はメトグルコです。

メトホルミンは、肝臓での糖新生の抑制や末梢での糖利用の促進、腸での糖吸収の抑制などの作用によって、血糖値を下げる効果があります。
さらに、食欲を抑制する効果や代謝が上がる効果もあるのです。
これらの効果は体重減少につながるため、ダイエットにも活用されています。

また、2型糖尿病だけでなく不妊治療にも活用されています。
メトホルミンを使用した不妊治療では、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発や多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激の効果が認められているのです。

このように、メトホルミンには様々な効果があり、2型糖尿病の治療だけでなく、不妊治療やダイエットにも活用されています。

エクメットとは

エクメットは、有効成分のビルダグリプチンメトホルミンを含有する配合薬です。

1つの医薬品に2つの有効成分を配合する理由は、2つの医薬品を併用するよりも服薬錠数が減り、治療の負担を軽減できるからです。

エクメットは、ビルダグリプチンとメトホルミンを併用する場合と比べて錠剤を飲む数が減り、費用も安くなるため患者さんの負担を減らせます。
また、飲み忘れのリスクも低下します。

そのため、ビルダグリプチンとメトホルミンを1つの錠剤に含んだエクメットが開発されました。
エクメットは1錠で、ビルダグリプチンとメトホルミンを併用したときと同等の効果を得られることが、臨床試験で確認されています。

ビルダグリプチンとは

ビルダグリプチンは、DPP-4 阻害薬に分類される2型糖尿病治療薬です。
先発薬はエクアで、以下の作用機序によって血糖値を下げる効果を発揮します。

・GLP-1(インクレチン)を分解するDPP-4 という酵素の働きを阻害し、インスリン分泌を促す

・DPP-4 を阻害して濃度が高まったGLP-1がグルカゴン分泌を低下させる

ビルダグリプチンは、血糖値に応じてインスリン分泌を調整するため、血糖値が下がりすぎず低血糖を引き起こしにくいです。

ビルダグリプチンは、2つの作用によって血糖値を下げる医薬品です。
なお、血糖値に合わせてインスリン分泌を促すため、低血糖を引き起こしにくく、初めて2型糖尿病の治療をおこなう人にもよく使用されています。

メトホルミンとエクメットはどっちがいい?

メトホルミンとエクメットは、どちらかがより優れているということはないため、目的に合わせて使い分けると良いでしょう。

メトホルミン エクメット
・メトホルミン単体で十分な効果が得られている人
・体重減少も目指したい人
・併用療法が適していると言われた人
・既に2剤併用していて、錠剤の数や薬代を減らしたい人

例えば、メトホルミンは血糖値を下げる、食欲を抑制する、代謝を上げるなどの効果が体重減少につながるため、ダイエットをしたい人におすすめです。

エクメットは、既にメトホルミンとビルダグリプチンを飲んでいる人や、医師から2つの併用が適切だと言われている人におすすめです。
なお、配合薬に切り替えると飲む錠剤の数が減り、飲み忘れを防ぐことができます。
さらに、2つの医薬品を併用するより費用を抑えられるメリットもあります。

メトホルミンとエクメットは、飲む理由に合わせて使い分けることが大切です。
ただし、2型糖尿病治療の場合は、自己判断は危険なため医師の指示に従ってください。

メトホルミンとエクメットの効果

メトホルミンとエクメットの効果は、以下の通りです。

メトホルミン エクメット
・血糖値を下げる
・食欲を抑制する
・インスリン抵抗性を改善する
・血糖値を下げる
・食欲を抑制する
・インスリン抵抗性を改善する
・DPP-4 を阻害してGLP-1を増強しインスリン分泌を促進する

メトホルミンとエクメットの主な効果として、血糖値を下げる効果が挙げられます。

共通する効果がある理由は、エクメットに有効成分としてメトホルミンが配合されているためです。
なお、DPP-4 を阻害してインスリンの分泌を促進する効果は、ビルダグリプチンの作用によるものです。

メトホルミンとエクメットは、インスリン抵抗性を改善してインスリンを効きやすくしたり、インスリンの分泌を促進して血糖値を下げます。
そのため、2型糖尿病に対する血糖コントロールの改善に有効です。

メトホルミンとエクメットの副作用

メトホルミンとエクメットの副作用は、以下の通りです。

メトホルミン エクメット
主な副作用 ・下痢
・腹痛
・吐き気など
・便秘
・下痢
・吐き気
・めまい
・アミラーゼ増加など
重大な副作用 ・乳酸アシドーシス
・低血糖など
・乳酸アシドーシス
・肝炎、肝機能障害、黄疸
・血管浮腫
・低血糖など

メトホルミンとエクメットに共通する副作用には、主に吐き気や下痢などの消化器症状があげられます。

また、どちらも重大な副作用に乳酸アシドーシスがあります。
乳酸アシドーシスとは、血中の乳酸が過剰になり血液が酸性になることです。
初期症状として、嘔吐や下痢、吐き気など消化器症状があり、軽度の副作用との判別が難しいとされています。
乳酸アシドーシスは進行すると、命に関わるためすぐに治療が必要です。

メトホルミンやエクメットを飲んでいる期間中は体調の変化に注意して、異常がある場合は医師へ相談しましょう。

メトホルミンとエクメットを飲むときはアルコールの量に注意

メトホルミンとエクメットを飲むときはアルコールの量に注意

メトホルミンとエクメットを飲むときは、アルコールの摂取量に注意が必要です。

メトホルミンやエクメットを飲むときに、過度にアルコールを摂取すると乳酸の代謝が低下して重大な副作用である乳酸アシドーシスを引き起こす可能性があるからです。

また、乳酸アシドーシスは脱水時にも起こりやすいといわれています。
アルコールを摂取すると脱水状態になることがあり、乳酸アシドーシスのリスクが高まるため危険なのです。

そのため、メトホルミンやエクメットを飲んでいるときの過度のアルコール摂取は禁忌とされています。

メトホルミンやエクメットを飲んでいる期間中は、アルコールを摂取しないか、量を控えて飲むようにしましょう。

エクメットの禁忌

エクメットには、禁忌があります。
以下の禁忌事項に該当する人は、エクメットを飲めないので注意してください。

  1. エクメットの成分またはビグアナイド系薬剤に対して過敏症の既往歴がある人
  2. 乳酸アシドーシスの既往歴がある人
  3. 重度の腎機能障害のある人
  4. 透析をしている人
  5. 嘔吐や下痢など消化器症状により脱水状態が懸念される人
  6. 心血管系、肺機能に重度の障害のある人や、低酸素血症を伴いやすい状態の人
  7. アルコールを大量に摂取している人
  8. 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の人
  9. 重度の肝機能障害のある人
  10. 衰弱状態、栄養不良状態、飢餓状態、副腎機能不全、脳下垂体機能不全の人
  11. 妊娠中または妊娠している可能性がある人
  12. 手術前後、重症感染症、重篤な外傷のある人

また、禁忌に該当していなくても、健康状態などによってはエクメットを飲めない場合もあります。
そのため、気になる点がある場合は、医師または薬剤師に相談しましょう。

メトホルミンとエクメットは併用できる?

メトホルミンとエクメットは併用できる?

メトホルミンとエクメットは、併用可能です。

その理由は、メトホルミンとエクメットが併用禁忌薬ではないからです。

メトホルミンとエクメットを併用すると、血糖値を下げる効果が強くなります
しかし、血糖値を下げる効果が増強されると血糖値が下がりすぎて、低血糖を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

メトホルミンとエクメットは併用禁忌ではないため、併用できます。
ただし、併用する場合は低血糖に注意しましょう。

メトホルミンとエクメット併用での飲み方

メトホルミンとエクメット併用での飲み方

メトホルミンとエクメットを併用する場合の飲み方は、以下の通りです。

・食前または食後に一緒に飲む
・メトホルミンは1日2~3回、エクメットは朝夕の1日2回飲む

この飲み方で併用する理由は、単体で飲む場合の飲み方が関係しています。
メトホルミンとエクメットの飲み方は以下の通りです。

〈メトホルミン〉
メトホルミンは、1日2~3回食前または食後に飲みます。
飲む量は、効果や副作用の程度に合わせて調整できる医薬品です。

ただし、飲み始めたときや飲む量を増やしたときに副作用が現れやすいため、最初は250mgから始めて少しずつ量を増やしていきましょう。
なお、1日に飲める量は最大2250mgまでです。

〈エクメット〉
エクメットにはLD錠とHD錠の2種類があり、メトホルミンの配合量が異なります。
飲み方はLD錠とHD錠どちらも同じで、1回1錠を朝夕の1日2回飲みます
食前や食後など飲むタイミングの指定はありませんが、毎日同じ時間に飲んでください

メトホルミンとエクメットは食前と食後どちらに服用しても問題ありませんが、飲み忘れに注意が必要です。

飲み忘れが心配な人は、食前に一緒に飲んでおきましょう
食前に飲むことにしておけば、もし飲み忘れた場合でも食後に飲めるからです。

また、初めてエクメットを飲む人はメトホルミンの含有量が少ないLD錠から飲み始めてください。

メトホルミンとエクメットは、併用する場合も、単体で飲む場合も用法用量を守って正しく飲むことが重要です。

まとめ

これまでに解説したメトホルミンとエクメットについて、違いや特徴を簡単にまとめました。

  • メトホルミンとエクメットの違いは、ビルダグリプチンの有無、作用機序など
  • メトホルミンとエクメットは目的に合わせて使い分けると良い
  • どちらも主な効果は、血糖値を下げる効果
  • メトホルミンとエクメットの副作用は消化器症状、乳酸アシドーシスなど
  • メトホルミンとエクメットは併用可能

メトホルミンとエクメットは、異なる作用機序によって血糖値を下げる2型糖尿病の血糖コントロールに有効な医薬品です。

Q&A

Q&A

メトホルミンとエクメットについてのよくある質問をまとめました。

Q.エクメットは食前と食後どちらに服用する薬ですか?

A. エクメットは食事の影響を受けないため、食前と食後のどちらに飲んでも問題ありません

ただし、効果を発揮するには血中濃度を一定に保つ必要があるため、毎日決まった時間に飲むようにしましょう。

飲み忘れた場合は、早めに気づいたときは飲んでも問題ありませんが、次に飲むまでの時間が短いときは飛ばしてください。

なお、次に飲むタイミングでは1回分だけ飲みます。
1回分飛ばしてしまっても、1度に2回分まとめて飲まないように注意してください。

Q.メトホルミンダイエットで何キロ痩せる?

A. メトホルミンは、飲み始めて54週間で約1㎏体重が減少したという報告があります。

日本人を対象とした臨床試験では、メトホルミンを飲んで26週間で体重減少が見られ、54週間後に約1㎏体重が減少しました。

メトホルミンには、食欲を抑制する効果や便に余分な糖を排出する作用など体重減少が見込めます。
ただし、この効果には個人差があります
飲んですぐに効果が得られるものではないため、一定期間継続して飲むことが大切です。