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メトホルミンとグリピジドは併用できる?
メトホルミンとグリピジドは、併用することができます。
また、併用することで、より高い効果を得ることができます。
とはいえ、
「どうやって併用するの?」
「メトホルミンとグリピジドって何が違うの?」
「併用するときの注意点は?」
とお悩みの人も多いでしょう。
そこでこの記事では、メトホルミンとグリピジドの併用や2つの違いについて、わかりやすく解説していきます。
メトホルミンとグリピジド|併用の飲み方
メトホルミンとグリピジドを併用するときは、メトホルミンとグリピジドを起床後の食前に一緒に飲み、残りのメトホルミンはそのあとの食前か食後に飲みましょう。
グリピジドは、朝食もしくは最初の主食の30分前に飲む医薬品です。
メトホルミンは、食前・食後のどちらで飲んでも効果が変わらないため、グリピジドに合わせて飲むことができるのです。
グリピジドは1日1回、メトホルミンは1日2~3回飲みます。
始めて飲むときは、グリピジド2.5㎎、メトホルミン250㎎と、少なめの量から開始しましょう。
そのあとは、副作用がひどくなければ、少しずつ飲む量を増やして効果を高めていくことができます。
飲み忘れに注意して、副作用の様子を見ながら飲む量を決めましょう。
メトホルミンとグリピジドそれぞれの飲み方は、以下のようになります。
【メトホルミンの飲み方】
・1日2~3回に分けて、食前か食後に飲む。
・次に飲むタイミングまでは、6時間以上(最低3時間)空ける。
・1日500㎎から飲み始め、効果や副作用を見ながら、1か月ごとに増量していく。
・1回に飲める量は1000㎎まで。1日に飲める量は2250㎎まで。
・飲み忘れたら、食後30分以内であればすぐに飲む。30分以上経っていたらその回はスキップする。
・飲み忘れたからといって2回分を1度に飲むことは絶対に避ける。
【グリピジドの飲み方】
・1日1回、朝食またはその日の最初の主食と一緒に飲む。
・1日5㎎から開始、効果や副作用を見て、量を増減していく。
・1回に飲める量は20㎎まで。
・飲み忘れたら、食後30分以内であればすぐに飲み、30分以上経っていたら、スキップするか何か胃に入れて飲む。
・飲み忘れたからといって2回分を1度に飲むことは絶対に避ける。
・低血糖になるリスクが高い人は、1日2.5㎎の量を飲む。
メトホルミンとグリピジドそれぞれの飲み方を守って併用する場合、起床後の食前に一緒に飲み、残りのメトホルミンはそのあとの食前か食後に飲む形になります。
メトホルミンとグリピジド|併用の効果
メトホルミンとグリピジドを併用することで相乗効果を得られます。
これは、メトホルミンとグリピジドの作用が合わさって、一部の効果が強くなるためです。
たとえば、「グリピジドを飲んでいるけれど、あまり効果が出ない」という場合にメトホルミンと併用すれば、より血糖値が下がりやすくなるため、高い効果を実感することができます。
また、メトホルミンとグリピジド併用のメリットは、以下の通りです。
・グリピジドの体重が増える作用をメトホルミンの体重減少効果で打ち消せる
・インスリン不足またはインスリンが効きにくい人のどちらでも効果が出る
上記は一例ですが、メトホルミンとグリピジドの併用は、お互いの足りないところを補い合いつつ相乗効果を得られます。
メトホルミンとグリピジド|併用の副作用
メトホルミンとグリピジドを併用すると、副作用として低血糖や消化器症状が起こる可能性があるため注意しましょう。
副作用が起こる原因は、メトホルミンとグリピジドの相乗効果による血糖値の下がり過ぎや、共通の副作用である消化器症状が出やすくなるためです。
低血糖と消化器症状のサインは、以下の通りです。
低血糖:手の震え、冷や汗、空腹感、倦怠感など
消化器症状:下痢、吐き気、腹痛など
必ずこういった副作用が起こるわけではありませんが、メトホルミンとグリピジド併用時は体調の変化をチェックしておきましょう。
メトホルミンとグリピジドの併用は、副作用として低血糖や消化器症状が起こる可能性があるため注意が必要です。
メトホルミンとグリピジド|副作用の対処法
メトホルミンとグリピジドを併用して副作用が起こったときの対処法は、以下の通りです。
【低血糖が起こったとき】
・ブドウ糖、もしくはブドウ糖の入った飲みもの(コーラやファンタなど)を摂取して、安静にする。
・万が一、重度の症状(眠気、めまい、けいれん、意識が悪くなるなど)が出たら、すぐに医療機関を受診する。
【消化器症状が起こったとき】
・症状が我慢できる程度であれば、1~2週間は併用を続けて様子を見る。
・我慢はできるけれど症状がつらいという場合は、整腸剤を飲む。
・症状が我慢できないほど重い場合や、1~2週間以上治らない場合は、医療機関を受診する。
メトホルミンとグリピジドを併用して副作用が起こったときは、これらの対処法を参考にしてください。
メトホルミンとグリピジド|併用の注意点
メトホルミンとグリピジドを併用するときは、副作用のリスクを防ぐため以下の点に注意してください。
・低血糖のリスクが高まるため、食事をしないときはメトホルミンもグリピジドも飲まない
・1日に飲める最大量を守る(メトホルミン:2250mg、グリピジド:20mg)
・重大な副作用を引き起こす恐れがあるため、過度のアルコール摂取は避ける
・激しい運動は副作用を引き起こす恐れがあるため避ける
メトホルミンとグリピジドを併用するときは、これらの注意点を守り、副作用を防ぎましょう。
メトホルミンとグリピジドの配合剤
メトホルミンとグリピジドには、配合剤があります。
配合剤を飲むことで、メトホルミンとグリピジドのそれぞれの特徴を活かしながら、飲む人の悩みや負担を減らすことができるのです。
たとえば、「グリピジドを飲んでいるけれど効果が出ない」と悩んでいる場合や、「メトホルミンとグリピジドを併用しているけれど、飲む錠剤が多くて大変」という場合、配合剤に切り替えることで、これらの問題を解決することができます。
メトホルミンとグリピジドの配合剤は、より高い効果が欲しい人や、併用の負担を減らしたい人にとって、良い選択肢といえるでしょう。
このような理由から、メトホルミンとグリピジドの配合剤が製造・販売されています。
メトホルミンとグリピジドの違いを比較
メトホルミンとグリピジドは、同じ2型糖尿病の治療薬でも、低血糖のリスクや体重への影響に違いがあります。
理由は、メトホルミンとグリピジドの作用に違いがあるためです。
以下の表は、メトホルミンとグリピジドを比較した内容になります。
メトホルミン (ビグアナイド系血糖降下薬) |
グリピジド (スルホニルウレア系血糖降下薬) |
|
---|---|---|
対象となる疾患 | 2型糖尿病 | 2型糖尿病 |
効果 | 血糖値を下げる | 血糖値を下げる |
作用機序 | ・インスリンを効きやすくする ・肝臓での糖新生を抑制する ・抹消(筋肉など)での糖の取り込み、利用を促進する ・脂肪燃焼を促進させる ・糖を便に排出させる など |
・すい臓を刺激してインスリンを出しやすくする |
低血糖リスク (単体で使用する場合) |
低い | 高い |
体重への影響 | 変わらないもしくは減る | 増えやすい |
メトホルミンは、インスリン抵抗性を改善させる作用により、インスリンを効きやすくする医薬品です。
インスリンの分泌には直接作用しないため、メトホルミンだけを飲んだときは低血糖のリスクが低く、体重も増えません。
一方グリピジドは、すい臓に働きかけることでインスリン分泌を促進する医薬品です。
インスリンの分泌に直接作用するため血糖値を下げる効果は高いものの、メトホルミンよりも低血糖のリスクが高く、体重が増えてしまいます。
こういった作用の違いから、メトホルミンとグリピジドは同じ糖尿病の治療薬でありながら、低血糖のリスクや体重への影響などにも違いがあります。
メトホルミンとグリピジドはどっちがいい?
メトホルミンとグリピジドのどっちがいいかは、症状や飲む目的によって選びましょう。
メトホルミンとグリピジドが、それぞれどのような人に向いているのかを以下にまとめました。
【メトホルミンが向いている人】
・インスリンが効きにくい人
・体重への影響が気になる人
・副作用(特に低血糖)を抑えたい人
【グリピジドが向いている人】
・インスリンが不足している人
・肥満ではない人
メトホルミンとグリピジドはそれぞれ長所と短所があるため、どっちがいいかは症状や目的によって向いている場合と向いていない場合があります。
たとえば、メトホルミンの長所のひとつに、体重を減らす効果があります。
そのため、メトホルミンは肥満を解消したい人におすすめです。
一方で、グリピジドの長所は、インスリンを出しやすくすることと、血糖値を下げる効果が高いことです。
そのため、インスリンの量が足りていないことが理由で血糖値が高くなっている人におすすめとなります。
このような理由があるため、メトホルミンとグリピジドのどっちがいいかは、症状や飲む目的によって選びましょう。
メトホルミンとは
メトホルミンは、ビグアナイド系に分類される医薬品で、2型糖尿病治療の第一選択薬となっています。
2型糖尿病治療の第一選択薬である理由は、メトホルミンが複数の作用を持つためです。
メトホルミンの具体的な作用は以下の通りです。
・肝臓での糖新生を抑制する
・過剰な食欲を抑える
・余分な糖分を排出する
・インスリンを効きやすくする
メトホルミンの作用によって体重を減少させる効果もあり、肥満を伴う糖尿病患者の治療だけではなく、最近ではダイエット目的でも飲まれるようになりました。
そういった副次的な効果にも期待されているため、メトホルミンは2型糖尿病治療の第一選択薬となっています。
グリピジドとは
グリピジドとは、スルホニルウレア系に分類される2型糖尿病の治療薬で、吸収されやすく効果がすぐにあらわれるという特徴があります。
グリピジドの作用としては、すい臓に直接働きかけてインスリンの分泌を促進することで、糖尿病の症状を改善します。
また、ほかのスルホニルウレア系の医薬品よりも効果の持続時間が短いため、副作用が出ても長引きにくいのが特徴です。
副作用としてめまいや下痢もありますが、ほとんどの症状が軽く一過性なため、グリピジドを飲み続けることで体が慣れて副作用は起こらなくなります。
グリピジドは、吸収されやすく効果がすぐにあらわれるという特徴もつ2型糖尿病の治療薬です。
まとめ
メトホルミンとグリピジドの併用についてまとめました。
- メトホルミンとグリピジド併用は相乗効果を得られる
- 併用するときの飲み方は、メトホルミンとグリピジドを食前に一緒に飲み、その後はメトホルミンだけを食前か食後に飲む
- メトホルミンとグリピジド併用は低血糖と消化器症状の副作用に注意
- メトホルミンとグリピジドの配合剤もある
- メトホルミンとグリピジドのおもな違いはインスリンへの作用と体重への影響
- メトホルミンとグリピジドのどっちがいいかは症状や飲む目的で変わる
メトホルミンとグリピジドは、併用することで高い効果を得ることができます。
飲むときの注意点に気を付けながら、より効率的に自身の健康に活かしましょう。
Q&A
メトホルミンとグリピジドの併用に関連して、よくある質問をまとめました。
Q.メトホルミンはインスリン抵抗性を改善しますか?
A. メトホルミンは、インスリン抵抗性を改善する作用があります。
メトホルミンは、インスリンの働きを邪魔する脂肪肝を減少させるためです。
具体的には、肝臓の酵素を活性化させて代謝を上げることで、脂肪肝を減少させています。
この作用から、メトホルミンは、肥満を合併しており、かつインスリン抵抗性ができていると考えられる患者の治療において、優先順位第1位となっています。
このように、メトホルミンはインスリン抵抗性を改善させる医薬品として需要が高まっています。
Q.メトホルミンとグリピジドの併用禁忌は?
A. メトホルミンの併用禁忌に、過度のアルコールがあります。
メトホルミンを飲んでいるときに過度のアルコールを摂取すると、乳酸アシドーシスのリスクが高まるためです。
また、過度のアルコールは、グリピジドにおいても低血糖の可能性が高まるので危険であるとされています。
ちなみに、医薬品における併用禁忌は、メトホルミンとグリピジドともにありません。
メトホルミンとグリピジドを飲むときは、過度のアルコール摂取を避けてください。