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メトホルミンとジャディアンスは併用可能?
メトホルミンとジャディアンスはどちらもダイエットに活用されている医薬品で、併用が可能です。
また、この2つは健康な人であっても安全に飲むことができます。
この記事では、メトホルミンとジャディアンスを併用することで得られる効果や飲み方についてなど、メトホルミンとジャディアンスの併用について詳しく徹底解説していきます。
メトホルミンとジャディアンスの併用によるダイエット効果
メトホルミンとジャディアンスは、併用することでより高いダイエット効果を期待することができます。
併用による具体的な効果は以下の通りです。
・単剤での使用よりも体重減少効果が大きい
・筋肉を落とすことなく痩せることができる
・空腹感が抑えられる
また、これらの効果は、
◎単剤では足りない働きをもう1つの医薬品が補う
◎2つの医薬品の相乗効果で作用が強まる
という併用における2つのメリットから生まれています。
一体どういうことなのか、もう少し具体的に説明をします。
ジャディアンスには糖を排出する働きがありますが、実はこの働きにより、ジャディアンス単剤での使用では空腹感が感じやすくなってしまうのです。
また、通常のダイエットと同じように、ジャディアンスの効果だけでは体重が減るとともに筋肉量も減ってしまいます。
そのジャディアンスにおける足りない部分を、メトホルミンの働きによって補うことができるというわけです。
また、メトホルミンもジャディアンスも余分な糖を排出する働きがあるため、併用することでこの働きが強まります。
この2つのメリットから、メトホルミンとジャディアンスの併用はより高いダイエット効果が期待できるといえるでしょう。
では、メトホルミンとジャディアンスは、単体での使用においてはそれぞれどのようなダイエット効果があるのでしょうか?
次の項で分かりやすくまとめました。
メトホルミン単体でのダイエット効果
メトホルミンのダイエットにおける効果は以下の通りです。
・血糖値を下げる
→余分な糖の排泄を促す働きと肝臓での糖新生を抑制する働きによる効果
・食べ過ぎ防止
→過剰な食欲を抑制する働きと満腹感を持続させる働きによる効果
・代謝が上がる
→筋肉を増やす働きと脂肪燃焼を促進する働きによる効果
これらの効果から、メトホルミンには、通常のダイエットで減りがちな筋肉量を増やしながらも痩せることができるという特長があることが分かります。
では、次の項でジャディアンスの効果も見ていきましょう。
なおメトホルミンを使用したダイエットについては、こちらの記事で詳しくまとめています。
メトホルミンダイエットのやり方や成功させるコツ、口コミまで幅広く解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
ジャディアンス単体でのダイエット効果
ジャディアンスのダイエットにおける効果は以下の通りです。
・血糖値を下げる効果
→余分な糖分を尿から排出する働きによる効果
・体重減少効果
→糖が排出され、体内に吸収されるカロリーが少なくなることによる効果
(※ジャディアンス自体に食欲を抑制する効果はない)
どちらの効果も、ジャディアンスが持つ余分な糖分を尿から排出する働きによるものです。
この働きにより、ジャディアンスを飲むだけで糖質制限と同じ効果を得ることができるため、食事量を減らさなくてもダイエット効果を得ることができます。
一方で、やはりジャディアンスには食欲を抑制する働きと筋肉量を増やす働きはありません。
この部分をメトホルミンとの併用することで補うことができ、ダイエットにはより効果的となります。
ちなみに、ジャディアンスを使用したダイエットについてもこちらで詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。
メトホルミンとジャディアンス併用の効果的な飲み方
メトホルミンとジャディアンスを併用するときの効果的な飲み方は、メトホルミンとジャディアンスを食前または食後に1錠ずつ飲むだけです。
ただし、ジャディアンスは1日に1回朝食の前か後に飲む医薬品のため、朝食のときに1錠飲んで終了となります。
そのタイミングでメトホルミンの1回分を一緒に飲むか、時間をずらしてメトホルミンを昼食と夕食のときに飲むかはどちらでも問題はありません。
なお、メトホルミンとジャディアンスをそれぞれ単体で飲む場合の飲み方は以下の通りです。
・メトホルミン
→ダイエット目的の場合は500㎎を1日2~3回、食前または食後に飲む
・ジャディアンス
→ダイエット目的の場合、10㎎を1日1回朝食前または朝食後に飲む
10㎎を飲んでも効果が不十分な場合は、25㎎に増量する
メトホルミンとジャディアンスを併用するときの注意点
メトホルミンとジャディアンスを併用するときは、低血糖と脱水に注意が必要です。
低血糖は、2つを併用することで血糖値を下げる効果が強くなるため起こりやすくなります。
脱水は、ジャディアンスの利尿作用により引き起こされる可能性がある症状です。
脱水症状が重症化すると、乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症などの命に関わる危険な疾患につながる恐れがあります。
激しい喉の渇きやめまいなどを感じたら、すぐに水分を補給し安静な体勢を取ってください。
また、メトホルミン、ジャディアンスともに食事をしないときは飲むことを控えましょう。
栄養が不足している状態でメトホルミンやジャディアンスを飲むと、低血糖や脱水症状が起こりやすくなるためです。
どちらかの単剤であっても、併用であっても、飲むときは食事を摂り安全に使用してください。
ジャディアンスを飲むときに食事を抜くことの影響については、こちらの記事でも詳しく説明しています。
メトホルミンとジャディアンスを安全に飲むために
メトホルミンとジャディアンスを安全に飲むために必要なことは以下の通りです。
・飲む量を守る
・こまめな水分補給
メトホルミンとジャディアンスの1日に飲むことができる最大量は、メトホルミン2250㎎、ジャディアンス25㎎までとなっています。
1日の最大量以上飲んでも効果は変わらないうえ、副作用が出るリスクが高くなるため、この最大量を超えて飲むことはやめましょう。
また、ジャディアンスを飲むと利尿作用により尿量が増え、脱水を起こしやすくなります。
脱水は、重症化すると乳酸アシドーシスや糖尿病性ケトアシドーシスなど重篤な疾患の発症につながるため、ジャディアンスを飲んでいる期間はこまめな水分補給を心がけてください。
メトホルミンとジャディアンスの違いを比較
メトホルミンとジャディアンスの主な違いは作用の仕方です。
◎メトホルミンの作用機序
・インスリン抵抗性を高める
・肝臓での糖新生抑制
・抹消での糖利用促進
・ブドウ糖を排泄する など
◎ジャディアンスの作用機序
・腎臓でSGLT2を阻害し尿としての糖排泄を促進する
・ナトリウムの再吸収を抑制する
作用機序は異なりますが、メトホルミンとジャディアンスのどちらも血糖値を下げる効果があります。
また以下の表で、メトホルミンとジャディアンスの違いについて分かりやすくまとめました。
メトホルミン | ジャディアンス | |
---|---|---|
分類 | ビグアナイド系経口血糖降下薬 | SGLT2阻害薬 |
成分 | メトホルミン | エンパグリフロジン |
対象となる疾患 | 2型糖尿病 | 2型糖尿病 |
多嚢胞性卵巣症候群 | 慢性心不全 | |
飲む回数 | 1日2~3回 | 1日1回 |
1日の最大量 | 2,250mg | 25mg (慢性心不全の治療に対しては10mgまで) |
それぞれの主な特徴など、次項でより詳しく解説します。
メトホルミンとは
メトホルミンは、ビグアナイド系に分類される経口薬です。
通常は2型糖尿病治療で使用され、血糖値を下げる、食欲を抑制するなどの効果があります。
主な副作用は下痢や吐き気などの消化器症状と低血糖です。
1日2,250㎎まで飲むことができ、効果を感じられない場合などは飲む量を増やすことで対処します。
ただし、飲む量を増やすことで効果は高まりますが、その分副作用も現れやすくなります。
ジャディアンスとは
ジャディアンスは、SGLT2阻害薬に分類される経口薬です。
2型糖尿病、慢性心不全の治療で使用され、余分な糖を尿から排出して血糖値を下げる効果があります。
ジャディアンス特有の作用により、副作用は脱水、尿路・性器感染症と特徴的です。
ダイエットでの使用の場合、通常は10㎎から飲み始めますが1日25㎎まで飲むことができます。
そのためジャディアンスも、効果が感じられない場合は25㎎に増やすことが可能です。
また、同じSGLT2阻害薬に分類されるフォシーガもダイエット効果が期待できます。
ジャディアンスとフォシーガの違いについてはこちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事でここまで解説したことをまとめました。
- メトホルミンとジャディアンスは併用可能
- 併用によってより高いダイエット効果が期待できる
- ただし、併用するときは低血糖や脱水など副作用に注意が必要
- 安全に使用するためには飲む量を守ること、こまめに水分補給をすることが大切
メトホルミンとジャディアンスの併用によって、より高いダイエット効果を期待できる一方で副作用のリスクも高くなります。
正しい併用方法を守り、安全に使用しましょう。
Q&A
メトホルミンとジャディアンスの併用について、よくある質問をまとめました。
Q.ジャディアンスはなぜ朝に服用するのですか?
A.ジャディアンスは1回飲むと、血糖値を下げる効果が1日持続するためです。
ジャディアンスの効果持続時間は約24時間で、朝飲めば朝食から夕食時まで血糖値を下げる効果が期待できます。
また、夜飲むと利用作用により尿量が増え就寝中にトイレに行きたくなってしまうことも、朝がベストなタイミングとされている理由のひとつです。
Q.メトホルミンダイエットで痩せないのはなぜ?
A.痩せない場合、以下の原因が考えられます。
・服用期間が短い
・食べ過ぎ
・運動不足 など
メトホルミンは、一定期間継続して飲み続けることで効果が現れる医薬品です。
まだ飲み始めて間もないという場合は、根気強く飲み続けて効果が現れるのを待ちましょう。
また、摂取カロリーが消費カロリーを上回らないよう食事内容を見直したり、運動習慣をつけたりすることも大切です。
メトホルミンだけに頼るのではなく、生活習慣も整えてより高いダイエット効果につなげてください。