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メトホルミンとボグリボースの併用方法と違いを比較解説

メトホルミンとボグリボースの併用方法と違いを比較解説

メトホルミンとボグリボースは、どちらも糖尿病治療に使用される医薬品で、併用が可能です。

「メトホルミンとボグリボースの併用方法は?」
「併用するとどんな効果がある?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか。

この記事では、メトホルミンとボグリボースの違いを比較しながら、これらの疑問にお答えしていきます。

糖尿病予防に興味がある人や、体重が気になっている人は、ぜひ最後までご覧ください。

メトホルミンとボグリボースの併用方法

メトホルミンとボグリボースの併用方法

メトホルミンとボグリボースを併用するときの飲み方は、以下の2パターンが挙げられます。

①食直前にメトホルミンとボグリボースを一緒に飲む
②食直前にボグリボースを飲み、食後にメトホルミンを飲む

ボグリボースは、食事の直前に飲むことで効果を発揮する医薬品です。
一方、メトホルミンは、飲むタイミングによる効果の現れ方に違いはありません。
そのため、ボグリボースを飲むタイミングに合わせて2つ一緒に飲むか、タイミングをずらして別々に飲むかの2パターンになります。

飲み忘れが心配な人は、食直前にメトホルミンとボグリボースを一緒に飲む方法がおすすめです。

なお、メトホルミンとボグリボースをそれぞれ単体で飲む場合の飲み方は、以下の通りです。

〈メトホルミン〉
メトホルミンは、1日2~3回食前または食後に飲みます。
飲む量は、効果や副作用の程度に合わせて調整できます。
ただし、飲み始めたときや、飲む量を増やしたときに副作用が現れやすいため、最初は250mgから始めて少しずつ量を増やしていくことが多いです。
なお、1日に飲める量は最大2250mgまでです。

〈ボグリボース〉
ボグリボースは、1回0.2mgを1日3回食直前に飲みます。
なお、糖尿病治療で1回0.2mgでは効果が不十分な場合は、経過を観察しながら1回0.3mgまで増量可能です。

以上がメトホルミンとボグリボースの飲み方です。
併用する場合も、それぞれを単体で飲む場合も用法用量を守って飲みましょう。

併用するときは低血糖に注意

メトホルミンとボグリボースを併用するときは、低血糖に注意が必要です。

メトホルミンとボグリボースには、どちらも血糖値を下げる効果があり、併用によって効果が強くなると血糖値が下がりすぎる可能性があるためです。

低血糖の症状が現れた場合は、すぐにブドウ糖を補給してください。
ボグリボースを飲んでいるときの低血糖では、砂糖が含まれるジュースやチョコレートではなく、ブドウ糖を取る必要があります。
ボグリボースの作用によって砂糖(ショ糖)などの二糖類は吸収が抑制されてしまい、なかなか血糖値が上がらないからです。

低血糖が不安な人は、ブドウ糖を持ち歩くようにしましょう。

ただ、メトホルミンとボグリボースの併用によって、必ずしも低血糖を引き起こすわけではありません。
しかし、それぞれを単体で飲む場合よりも低血糖を引き起こす可能性が高くなるため、併用するときは特に低血糖に注意してください。

メトホルミンとボグリボース併用による効果

メトホルミンとボグリボース併用による効果

メトホルミンとボグリボースを併用すると、以下の効果が得られます。

・糖質の吸収を抑える効果が強くなる
・血糖値の上昇が抑えられる

これらの効果が得られる理由は、メトホルミンとボグリボースはどちらも糖質の吸収を抑えて、血糖値をコントールする作用があるからです。

なお、糖質の吸収や血糖値の上昇が抑えられると体重減少につながるため、ダイエットにも効果的です。

ちなみに、海外ではメトホルミンとボグリボースが1つの錠剤に入っている、配合剤も販売されています。
配合剤には、錠剤の数が減らせることや、費用を抑えられるなどメリットがあります。

ただし、メトホルミンとボグリボースの併用では、低血糖を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

メトホルミンとボグリボースは、併用が可能です。
併用すると、相乗効果により糖質の吸収を抑制する効果や、血糖値の上昇を防ぐ効果が強くなります。

メトホルミンとボグリボースの違いを比較

メトホルミンとボグリボースの違いは、以下の通りです。

メトホルミン ボグリボース
分類 ビグアナイド系血糖降下薬 αグルコシターゼ阻害薬
効果 血糖値を下げる 食後の血糖値の上昇を抑える
作用機序 ・肝臓での糖新生を抑制する
・末梢(筋肉や脂肪など)での糖を取り込みと利用を促進する
・腸管での糖の吸収を抑制する
腸管においてαグルコシターゼを阻害し、糖質の吸収と消化を遅らせる
治療の適応となる疾患 ・2型糖尿病
・多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発と調節卵巣刺激
・糖尿病
・耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制
飲むタイミング 食前または食後 食直前

メトホルミンとボグリボースの主な違いは、作用機序飲むタイミングです。

メトホルミンは、肝臓での糖新生の抑制・末梢での糖吸収と利用の促進・腸管での糖吸収の抑制といった作用によって、インスリンを効きやすくすることで血糖値を下げます。
一方、ボグリボースは糖質を吸収するスピードを調整することで食後の血糖値が急上昇しないように作用します。

つまり、メトホルミンとボグリボースでは、インスリンを効きやすくして血糖値を下げる医薬品と、糖の吸収を調整して血糖値をコントロールする医薬品という違いがあるのです。

次の項目で、メトホルミンとボグリボースがそれぞれどのような医薬品かについて、詳しく解説します。

メトホルミンとは

メトホルミンは、ビグアナイド系に分類される2型糖尿病の治療薬です。
先発薬には、メトグルコなどがあります。

メトホルミンの主な効果は、血糖値を下げる効果です。
その他にも食欲を抑制する効果や、代謝を上げる効果もあります。

メトホルミンは、他の糖尿病治療薬と違って体重を増やしません。
さらに、メトホルミンの効果は体重減少につながるため、ダイエットにも活用されているのです。

また、不妊治療にも効果があり、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発や、多嚢胞性卵巣症候群の生殖補助医療における調節卵巣刺激で使用されています。
メトホルミンによる不妊治療は、2022年から保険適用となりました。

メトホルミンには様々な効果があり、2型糖尿病の治療だけでなく不妊治療やダイエットにも活用されています。

ボグリボースとは

ボグリボースは、αグルコシターゼ阻害薬に分類される糖尿病治療薬です。
先発薬はベイスンです。

ボグリボースには、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。
糖尿病治療や、耐糖能異常がある人の2型糖尿病の発症を抑制するために使用されています。

ボグリボースもメトホルミンと同じように、体重が増えにくい医薬品です。
そして、食後の血糖値の上昇を抑える効果は、ダイエットにも有効です。

なお、ボグリボースは、食事から摂取した糖質の消化と吸収を遅らせて、食後の血糖値の上昇を防ぎます。
そのため、食事の直前に飲む必要があります。
一般的には5~10分程度前とされているので、その間に飲んでも構いません。

ボグリボースは、食事から摂取した糖質の消化と吸収を遅らせることで、食後の血糖値の急上昇を防いで血糖値をコントロールします。

メトホルミンとボグリボースはどっちがいい?

メトホルミンとボグリボースは、飲む目的によって使い分けましょう

その理由は、メトホルミンとボグリボースは医薬品の分類や、作用機序が異なるからです。
メトホルミンとボグリボースは、それぞれ以下のような人におすすめです。

メトホルミン ボグリボース
・空腹時血糖値が高い人
・費用を抑えたい人
・体重を減らしたい人
・食後の血糖値だけ高い人
・2型糖尿病の予防をしたい人
・副作用が少ないものがいい人

空腹時の血糖値が高い人はメトホルミン、食後の血糖値のみが高い人はボグリボースが向いています。
ボグリボースは食後の血糖値のみに作用するため、空腹時の血糖値が高い人には効果が期待できません。

また、2型糖尿病の予防をしたい人には、ボグリボースがおすすめです。
ボグリボースは、耐糖能異常がある人に対する2型糖尿病の発症抑制において、保険が適用されるからです。
そのため、まだ2型糖尿病とは診断されていないが血糖値の高さを指摘されたことがあるという人は、ボグリボースを検討してみるといいでしょう。

なお、メトホルミンには体重減少につながる効果があります。
体重が気になっている人は、ダイエット効果が期待できるメトホルミンがおすすめです。

このように、メトホルミンとボグリボースは、自分が糖尿病治療薬を飲む理由に合わせて使い分けることが大切です。

メトホルミンとボグリボースの副作用

メトホルミンとボグリボースの副作用をまとめました。

メトホルミン ボグリボース
主な副作用 ・下痢
・腹痛
・吐き気など
・下痢
・放屁
・お腹の張りなど
重大な副作用 ・低血糖
・乳酸アシドーシスなど
・低血糖
・腸閉塞
・劇症肝炎など

メトホルミンとボグリボースは、どちらも副作用として下痢などの消化器症状が現れやすいです。
ただ、軽度で一過性であることが多いため、様子を見ながら飲み続けていれば1~2週間で自然に改善していきます。

また、共通する副作用として低血糖があります。
しかし、メトホルミンもボグリボースもそれぞれ単体で飲む場合は、低血糖が起こりにくいので安心してください。

なお、メトホルミンの重大な副作用に乳酸アシドーシスがあります。
非常に稀な副作用ですが、重症化すると命に関わることもあり、速やかな治療が必要です。
乳酸アシドーシスとは、血液中の乳酸が異常に増えて血液が酸性に傾いた状態のことです。
初期症状に消化器症状があり、メトホルミンの副作用による消化器症状との判別が難しいとされています。

そして、ボグリボースの重大な副作用には、腸閉塞があります。
腸閉塞とは、何らかの原因で腸が狭くなったり詰まったりする疾患です。
ボグリボースによる腸閉塞は、吸収が阻害された糖質が大腸に流れ、腸内細菌によって発酵して発生したガスが溜まることが原因と考えられています。

メトホルミンとボグリボースの副作用は、軽度で一過性のものが多く、重大な副作用は少ないです。
ただし、乳酸アシドーシスや腸閉塞など重大な副作用が現れた場合は速やかに治療を受ける必要があるため、体調の変化を見逃さないように注意しましょう。

まとめ

メトホルミンとボグリボースについて、ここまでにお伝えしたことのポイントをまとめました。

  • メトホルミンとボグリボースは併用できる
  • 併用するときは特に低血糖に注意する
  • ボグリボースを飲んでいて低血糖になった場合は、必ずブドウ糖を補給する
  • メトホルミンとボグリボースの主な違いは、作用機序と飲むタイミング

メトホルミンとボグリボースは、どちらも血糖値のコントロールに効果的です。
2つを併用すると、相乗効果が見込めます。
また、それぞれを単体で使用する場合は目的に合わせて使い分けましょう。

Q&A

Q&A

メトホルミンとボグリボースについてのよくある質問にお答えします。

Q.メトホルミンと併用できない薬は?

A. メトホルミンと併用できない医薬品はありません
ただし、併用するときに注意が必要な併用注意薬は複数あります。

メトホルミンの併用注意薬は、以下の通りです。
・副作用を引き起こしやすくする医薬品
・血糖値を下げる作用を強める医薬品
・血糖値を下げる作用を弱める医薬品
・その他の作用に影響する恐れがある医薬品

なお、医薬品ではありませんが、過度のアルコールを摂取したときにメトホルミンを飲むことは禁忌とされています。

Q.ボグリボースを飲み忘れたらどうする?

A. ボグリボースを飲み忘れたときの対応は、飲み忘れに気が付いたタイミングによって異なります

食事中に気が付いた場合は、すぐにボグリボースを飲みます。
また、食後に気が付いた場合はその分は飛ばして、次の食事の直前に1回分だけ飲んでください
1回分飛ばしてしまっても、1度に2回分まとめて飲んではいけません