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メトホルミンとエクアの違いを比較|併用や配合剤について

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メトホルミンエクアは、どちらも2型糖尿病の治療薬であり、併用することでより効果が高まる関係です。
また、メトホルミンとエクアの配合剤も存在します。

「メトホルミンとエクアって何が違うの?」
「併用する時はどう飲んだらいいの?注意点はあるの?」
などの疑問をお持ちの人も多いでしょう。

そこでこの記事では、メトホルミンとエクアの違いや併用などについて解説します。
メトホルミンとエクアを飲む人が知りたい情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

メトホルミンとエクアの違いを比較

メトホルミンとエクアを比較すると、メトホルミンの方が効果は高く、エクアの方が持続時間は長くなっています。
そのほかの詳しい違いは以下の通りです。

メトホルミン エクア
特徴 価格が安い 12~24時間効果が持続
効果 血糖値を下げる 血糖値を下げる
副作用 出ても弱い 出ても弱い
対象となる疾患 2型糖尿病 2型糖尿病
血中半減期 2.9時間 2.4時間
作用時間 6~14時間 12~24時間
飲み方 1日2~3回朝夕に服用(1回1錠) 1日2回朝夕に服用(1回1錠)
成分名 メトホルミン ビルダグリプチン
分類 ビグアナイド系経口血糖降下剤 DPP-4阻害剤
代表的な商品名 メトグルコ エクア
※違う部分は太字で記載しています。

メトホルミンよりもエクアの効果が弱い理由は、メトホルミンとエクアでは血糖値を下げる作用が違うためです。

私たちの体では、インスリンという血糖値を下げるホルモンが、すい臓から分泌されています。
メトホルミンは、このインスリンを効きやすくすることで血糖値を下げています。
一方でエクアは、血糖値の上昇に応じてインスリンを出しやすくしています。
つまり、血糖値が高いとき以外はインスリンに作用しないので、血糖値を下げる作用としては弱いのです。
ただ、エクアは1度飲むと効果が24時間続く医薬品のため、1日1回飲めばゆるやかに作用し続けてくれます。
反対に、メトホルミンの効果が続く時間は6~14時間のため、1日2~3回飲むことがおすすめです。

このように、メトホルミンとエクアでは、メトホルミンの方が効果は高いものの、エクアの方が持続時間は長いという違いがあります。

ここまで、メトホルミンとエクアの違いについて解説しました。
ここからは、メトホルミンとエクアの、それぞれの基本情報や長所・短所について解説していきます。

メトホルミンとは

メトホルミンとは

メトホルミンは、ビグアナイド系の血糖降下薬で、2型糖尿病の治療に使用されています。

メトホルミンには、
・インスリン抵抗性を改善する
・肝臓での糖新生を抑制する
・糖を便中へ排泄する
などの作用があり、これによって2型糖尿病の治療に効果を発揮しています。

インスリン抵抗性とは、体の中の筋肉や臓器がインスリンに反応せず、血液中の糖分を吸収しなくなってしまうことです。
体の中の筋肉や臓器がインスリンに反応することを、インスリン感受性といいますが、このインスリン感受性が弱くなることで、インスリン抵抗性ができてしまい、血糖値が下がらなくなってしまいます。
メトホルミンは、筋肉などに働きかけて、糖を積極的に取り込むようにしてくれるため、インスリン感受性が高まり、インスリン抵抗性が改善するのです。

また、肝臓で新しく糖が作られるのを防ぐ、糖を便に排泄するなど、体内の余分な糖を除去してくれるため、体重を減らす効果があります。
さらに、脂肪燃焼を促進する、筋肉を増量させるなどの作用もあり、最近ではダイエット薬としても人気が高い医薬品となっています。

メトホルミン塩酸塩を有効成分としたメトホルミンは、このようなたくさんの作用から、血糖降下薬として、2型糖尿病の治療に役立てられています。

エクアとは

エクアとは

エクアは、DPP-4阻害薬に分類される血糖降下薬で、2型糖尿病の治療に使用されています。

エクアには、
・血糖値の上昇に応じてインスリンを出しやすくする
・血糖値を上げるグルカゴンというホルモンを抑制する
といった作用があり、これによって2型糖尿病の治療に効果を発揮しています。

私たちの体では、食事をとると、インクレチンというホルモンが分泌されます。
インクレチンは、すい臓に対して、インスリンを分泌することと、グルカゴンを抑制することを働きかけるホルモンです。
この2つの役割によって血糖値を下げているのですが、DPP-4という酵素が、血糖値が下がりすぎないようにとインクレチンを分解してしまいます。
エクアは、このDPP-4を阻害することで、インクレチンの働きを高め、インスリンを分泌させているのです。

なお、インクレチンは、食事をとって血糖値が上がったときだけ分泌されるホルモンなので、エクアの作用も、血糖値が上がったときだけ働きます。
そのため、エクアの効果自体はゆるやかで、必要以上に血糖値を下げないため、低血糖が起こりにくいという長所があります。

また、その他の長所として、食欲を増進させないため、体重が増えにくいという結果も挙げられました。

このような作用や長所から、エクアは、DPP-4阻害薬の血糖降下薬として、2型糖尿病の治療に役立てられています。

メトホルミンとエクアの併用

メトホルミンとエクアの併用

メトホルミンとエクアは、併用することがおすすめされています。

メトホルミンとエクアの作用が違うので、併用することで2つの作用が合わさり、より高い効果が期待できるためです。

エクアは、単体で飲んだときの作用がやや弱いといわれています。
そこで、メトホルミンと併用することで、血糖値を下げる作用が強まり、体重を減らす効果も加わって、2型糖尿病の治療により有効になるのです。
また、2型糖尿病の早期治療に、メトホルミンとエクアを併用することが効果的であるという報告も挙がりました。

このような相乗効果から、メトホルミンとエクアの併用が広くおすすめされています。

ただし、どちらも血糖値を下げる医薬品なので、低血糖には注意しましょう。

メトホルミンとエクア併用の飲み方

メトホルミンとエクアを併用するときは、コップ1杯程度の水かぬるま湯で、1日2回、朝・夕の食前か食後に一緒に飲みます。
メトホルミンを1日3回飲む時は、昼食のときにメトホルミンだけ飲んでください。

エクアとメトホルミンは、食前・食後のどちらで飲んでも効果は同じです。
また、メトホルミンは1日2~3回、エクアは1日2回飲むため、同じタイミングで一緒に飲むことができます。

メトホルミンとエクアの、それぞれ単体での飲み方については、以下に詳しくまとめました。

【メトホルミンの飲み方】
・1日2~3回に分けて、食前か食後に飲む。
・次に飲むタイミングまでは、6時間以上(最低3時間)空ける。
・1日500㎎から飲み始め、効果や副作用を見ながら、1か月ごとに増量していく。
・1回に飲める量は1000㎎まで。1日に飲める量は2250㎎まで。
・飲み忘れたら、食後30分以内であればすぐに飲む。30分以上経っていたらその回はスキップする。
・飲み忘れたからといって2回分を1度に飲むことは絶対に避ける。

【エクアの飲み方】
・1日2回、朝・夕の食前か食後に飲む。重い腎機能障害や腎不全がある人は、1日1回、朝だけ飲む。
・飲む量は1回1錠50mgずつ。
・次に飲むタイミングまでは5時間以上空ける。
・飲み忘れたら、気が付いたタイミングで1回分飲んでも良い。ただし次の飲むタイミングまで5時間未満であれば、その分はスキップする。
・飲み忘れたからといって2回分を1度に飲むことは絶対に避ける。

このように、メトホルミンとエクアの飲み方には少し違いはありますが、併用する場合は、朝と夕の食前か食後に一緒に飲む方法がおすすめです。
メトホルミンを1日3回飲む場合は、昼食のときに、メトホルミンだけで飲むことを忘れないようにしましょう。

メトホルミンとエクアの配合剤エクメット

メトホルミンとエクアの配合剤エクメット

メトホルミンとエクアの配合剤として、エクメットという商品が販売されています。
エクメットには、メトホルミンの有効成分であるメトホルミン塩酸塩と、エクアの有効成分であるビルダグリプチンが配合されています。

エクメットを利用することで、それぞれの有効成分の特徴や長所を活かしつつ、併用するときの負担を減らすことができるのです。

たとえば、エクアとメトホルミンを併用していて、1日に飲む錠剤の数が多くて面倒な場合や、2つの医薬品を購入し続けるのが金銭的に大変な場合、エクメットに変更することでこの問題を解決できます。

また、エクメットは、
・低用量LD(ビルダグリプチン:50mg/メトホルミン:250mg)
・高容量HD(ビルダグリプチン:50mg/メトホルミン:500mg)
の2種類存在します。
そのため、自分の血糖値や効果に合わせて、どちらを飲むか選ぶことが可能です。

さらに、エクメットは、低血糖を起こすリスクが低いことが分かっています。
安全性が高い配合剤ですが、透析を行っている人は併用禁忌にあたり飲めないため、注意してください。

このような長所から、エクメットは、メトホルミン塩酸塩と、ビルダグリプチンを配合した医薬品として販売されています。

エクメットの飲み方

エクメットは、1日2回1錠ずつ、朝・夕の食前か食後に飲みます。
低用量LDでも高容量HD でも、飲み方は同じです。

エクメットは、食前・食後のどちらで飲んでも効果が同じであるため、自分が飲みやすいタイミングで飲むことができるのです。

また、飲むときは、必ずコップ1杯程度の水かぬるま湯で飲みましょう。
万が一飲み忘れた場合は、気が付いたときに1回分飲んでも大丈夫です。
ただし、次の飲むタイミングまで5時間未満であれば、その回はスキップしましょう。
くれぐれも、飲み忘れたからといって、1度に2回分飲むことはしないでください。

このように、エクメットは、低用量LDでも高用量HDでも飲み方は変わらず、1日2回、食前か食後どちらでも飲むことができます。

ここでは、エクメットの基本的な飲み方を解説しました。
次項では、エクメットの副作用と注意点について解説していきます。

エクメットによる死亡例

エクメットは、以下に当てはまる人に禁忌となっています。
・乳酸アシドーシスを起こしやすい
・乳酸アシドーシスになったことがある
・過度のアルコールを摂取する

エクメットは、まれに重大な副作用である乳酸アシドーシスを引き起こすことがあり、死亡した例もあるためです。

食事をとれず栄養不足な人や、過度のアルコールを摂取した人などは、乳酸アシドーシスのリスクが高くなっています。
また、手術前や造影剤を使用する場合も、当日を含めた前後48時間は休薬が必要です。
75歳以上の高齢者に関しては、エクメットの禁忌ではないものの、乳酸アシドーシスのリスクが高いため、新たに飲み始めることはおすすめできません。

このような理由から、乳酸アシドーシスのリスクが高い人は、エクメットを飲むことができません。

ここまで、エクメットの飲み方や注意点について解説しました。
次項からは、メトホルミンとエクア単体での注意点や、副作用などについて解説していきます。

メトホルミンとエクアの注意点

メトホルミンとエクアの注意点

メトホルミンとエクアを飲むときは、副作用のリスクを防ぐために、以下の点に注意してください。

【メトホルミンの注意点】
過度のアルコールを摂取したときは、絶対にメトホルミンを飲んではいけない。乳酸アシドーシスのリスクが高い。
造影剤を使用するときは一時的にメトホルミンを休薬する。造影剤はメトホルミンによる乳酸アシドーシスのリスクを高める。
食事をしないとき、激しい運動をしたときは、メトホルミンを飲んではいけない。重い副作用が出るリスクが高い。

【エクアの注意点】
・スルホニルウレア剤やインスリン剤との併用に注意。低血糖のリスクが高い。
・ACE阻害剤との併用に注意。副作用である血管浮腫のリスクが高い。

このようなリスクを最小限に抑えられるよう、メトホルミンとエクアを飲むときは注意点を必ず守りましょう。

メトホルミンとエクアの副作用

メトホルミンとエクアには、リスクは高くないものの、いくつか副作用が報告されています。
万が一、重大な副作用や、不安な症状があらわれた場合は、医師に相談してください。
メトホルミンとエクアの副作用は、以下の通りです。

【メトホルミンの副作用】
主な副作用:消化器症状(下痢、吐き気)
重大な副作用:乳酸アシドーシス、低血糖、肝機能障害、横紋筋融解症など

【エクアの副作用】
主な副作用:空腹、便秘、無力症
重大な副作用:肝炎、肝機能障害、血管浮腫、低血糖など

このように、メトホルミンとエクアには、飲めば必ず起こるというわけではありませんが、副作用も報告されています。
重大な副作用があらわれた場合や、不安な症状が続く場合は、医師に相談しましょう。

メトホルミンとエクアの禁忌事項

メトホルミンとエクアには、禁忌事項があります。
禁忌に当てはまる場合に飲んでしまうと、副作用のリスクが高まったり、効果が弱まったりして危険です。
メトホルミンとエクアを飲む前に、以下を参考にして、自分に当てはまるものがないか確認してください。

【メトホルミンとエクアの併用禁忌】
・メトホルミンとエクアに対して過敏症を起こしたことがある人
・過度のアルコール摂取をした人
・手術前後の人
・糖尿病性ケトアシドーシスの人
・重度肝機能障害の人
・重度腎機能障害の人
・1型糖尿病の人

【メトホルミンとエクアの併用注意】
・栄養不足状態の人
・妊婦や授乳中の人
・幼児や高齢者

このように、メトホルミンとエクアには、禁忌事項や注意事項があります。
メトホルミンとエクアを安全に飲むためにも、しっかりと確認しておきましょう。

まとめ

メトホルミンとエクアの違いについて、ここまで解説したことをまとめました。

  • エクアとメトホルミンを比較すると、メトホルミンの方が効果は高く、エクアの方が持続時間は長い
  • エクアは、単体で使用すると、副作用が少なく低血糖になりにくい
  • メトホルミンとエクアは併用可能
  • メトホルミンとエクアを併用するときは、朝と夕の食前か食後に一緒に飲む
  • エクメットは、メトホルミンとエクアの有効成分が配合された医薬品
  • エクメットには、低用量LDと高容量HDの2種類がある

エクア単体での治療は安全性に優れていますが、より効果が高まるのはメトホルミンとの併用です。
併用のほかにも、エクメットという併用の負担を解決できる配合剤も販売されています。
自分に合った飲み方を見つけて、メトホルミンとエクアをより有効に活用しましょう。

Q&A

Q&A

メトホルミンとエクアに関して、よくある質問をまとめました。

Q.エクアの一般名は?

A.エクアの一般名は「ビルダグリプチン」です。
エクアは商品名で、DPP-4阻害剤に分類される2型糖尿病治療薬です。

Q.エクア服用で低血糖になる?

A.エクアによる副作用では、まれに低血糖を引き起こすことがあります。
エクアによる低血糖は、起こりにくいとされていますが、飲んだ後は、念のため体調の変化に注意してください。

何らかの理由でエクアの作用が効きすぎたことで、血糖値が下がりすぎてしまうためです。

低血糖であらわれる症状には、めまいや発汗、手足の震えや無気力などがあります。
万が一、低血糖になった場合は、ブドウ糖を摂取して安静にしてください。

このように、エクアによる副作用のひとつに低血糖があります。
起こる頻度はまれですが、エクアを飲んだときは、体調の変化に注意しましょう。

Q.エクメットはメトホルミンと併用できますか?

A.エクメットは、メトホルミンと併用することができ、エクメットだけで飲むよりも高い効果を期待できます。

エクメットとメトホルミンを一緒に飲むことで、相乗効果が起こるためです。

早期の糖尿病治療においては、エクメットとメトホルミン併用が効果的との報告もあります。
ただし、エクメットとメトホルミンは、併用注意にあたります。
血糖値を下げる効果が高まるため、併用した後は体調の変化に注意してください。

このような相乗効果により、エクメットとメトホルミンは、有効に併用することができます。